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    miNa1423

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    POIPOI 28

    miNa1423

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    アオオモがキスフレンドになった話。
    中身のない勢いだけの話です。
    あんまり分からないけど、アオ→オモ。
    オモダカさんがちょっと抜けた人になっているので注意。

    アオオモ キスフレ「~~というわけで、先方にはこの条件をのんでいただきたい。アオキは先方に要望を伝えていただけますか」
    「・・・分かりました」
    露骨に嫌そうな顔をしながらも資料を鞄の中にしまうアオキ。いやいやながらも結局成果を上げてくる男なのは分かっているので何も言わないが、このやる気のなさをどうにかできないかと頭を抱えてしまう。
    アオキは坦々と片付けを終えると席を立って、部屋から出て行く。
    かと思いきや、扉の前でピタと止まると、こちらに戻ってきて、顔を近づけてきた。何が起きているのか分からず呆然としている間にアオキは触れるだけのキスをして、そのまま出て行った。
    「いったい何なのでしょうか・・・」
    つぶやいたところで誰も答えてはくれなかった。


    このよく分からないキスが始まって、そろそろ一ヶ月だ。
    仕事の合間に、視察のついでに、重ねられるそれは不自然なものだった。
    こちらもアカデミーの学生というわけでもないので、それぐらいで慌てはしないのだが、思い当たる節が全くない。
    最初は親愛のキスだと思って、アオキの方から歩み寄ってくれるのを嬉しく思っていた。しかし、回数を重ねる度に、キスが深くなり、頬をなでられたり、髪を梳かれるうちに、これは違うのではと思い始めた。
    さりとて、他に愛の言葉があるわけでもなく、態度が変わるわけでもなく、その後もただ通常通り互いに仕事に励むぐらいだ。
    「というわけで、貴方がキスしてくる理由を聞きたいのですが」
    分からなければ聞けば良い。それなりに、これまでの経緯、人間心理、人間行動学に基づいて思案してきたが、全く答えが見つからなかった。
    そうなれば、本人に聞くしか無いと思った次第だ。
    「・・・貴方、これまで何も分からずにキスされてきたんですか」
    「えぇ、まぁ、嫌というわけではありませんが、理由が気になりまして」
    ハァと深いため息をついて、アオキは頭を抱える。
    「一ヶ月前に、貴方に呼び出されて一緒に食事をとった時です」
    そして、アオキが語ることには、親睦を深めるために二人でお酒を組みかわしていたとき、たまたま流れていた情報番組でキスの効能として、ストレス軽減や意欲向上が上げられ、毎日妻とキスをする夫は仕事も意欲的に取り組み成果を上がるという研究結果が出たという話をしていたそうだ。
    それを見た私は、アオキにキスすれば良いんじゃないかと、キスする相手はいないのかと、見事なセクハラをかまし、いないのなら自分とキスすれば良いと、募ったらしい。
    アオキはその言葉に従って私にキスしていたのだろう。

    「トップ、自分は突然キスしてくるようになった、おかしな部下だったわけですか」
    「いえ、ボディタッチの少ないアオキの方から触れていただけるので、良いことだと思っていました」
    その返答に再度アオキはため息をつく。
    ふと気になったことを聞いてみる。
    「どうなのですか、この一ヶ月間」
    私はともかく、アオキは意図を持ってキスをしてきたことになる。私の問いにアオキは渋い顔をして目をそらす。
    「トップこそ、どうだったのでしょうか」
    「私は・・・」
    立場上評価されることよりも評価することの方が多い。だから評価という点においては難しいが、やるべき事はすべて行い、やりたいことも着手できている。だが、それは今に始まったことでもなければ、何かが変わったわけでもない。
    このキスが始まって、変わったことと言えば、こう・・・二人きりになる度に、どのように青木が触れてくるのか、考えるようになった。
    その感情は、どうにも言語化できない。
    「分かりません」
    「そうですか」
    アオキもそれ以上追求することなく、手を伸ばす。
    指先が頬に触れて髪をかき上げる。あっと思っている間に距離は近くなり、目を閉じるべきか考えている間に、唇にあたたかいものが触れた。

    「すんませーん、急な来客はいってもうて・・・」
    ガチャリと音を立てながら、部屋にチリが入ってくる。
    「あ、チリ。だいじょうぶですよ。アオキと話をしてましたから」
    焦っている様子のチリを落ち着かせるように笑みを向けるが、
    「何も見てません、チリちゃん、何も見てへんから!!!」
    そういうと、すごい勢いで走り去って行ってしまった。


    その日の夜、嫌がるチリをつれて、食事に連れて行った。酔っていて覚えていないという話は流石に差し控えたが、経緯を説明すると、チリが絶叫する。
    「モチベーションアップのためにキスしてたぁ!!
    他のお客さんに迷惑ですとたしなめると、素直に周りにペコペコと頭を下げる当たり、彼女は本当に素直な子だ。
    「もし、ポピーにキスしてくれたら頑張れる、といわれたらキスしませんか?」
    「する!!それは毎日でもしたる!!」
    「でしょう?」
    「いや、それとこれとは別やろ?!」
    何が別なのかよく分からない。私の顔を見たチリが大きくため息をつく。
    「で、成果はどうなん?」
    「どうなのでしょうね」
    思い起こせば、アオキは先ほど明確には答えず、話をそらした。
    鞄の中に入っていたタブレットを操作してアオキのデータを開く。そこにはチャンプルジムの戦績がグラフ化されていた。
    ・・・見事な横線。
    「すごいやん、まったくかわってへん」
    「現状維持というか、効果なしと言うべきか」
    ついでにスワイプすれば、宝食堂の売り上げデータが出る。若干ではあるが右肩上がりのグラフが表示される。
    「あ、宝食堂の利益が上がってきています!!」
    「それアオキさん関係あらへん。がんばったんは女将やん!!しいていえば、よう食ってはったんちゃいます?」
    ぐでっと机に倒れ込むチリを横目で見ながら、再度データを確認する。バトルは数値がすべてではないが、何度見てもアオキに変化は見られない。
    「何かやり方が悪いのでしょうか?」
    あれから、キスについて他の文献もあさってみたが、概ね効果が出るという結果があった。思案していると、チリがガバリと顔を上げた。
    「あかん、あかん、これ以上はあかん。何なら、キスもあかんから」
    回数を増やす?これは、現状互いの業務もあるので不可能だ、
    アオキがやる気になれないのは何かが足りないのだろうか、
    いや、ちがう。
    そうじゃない、・・・

    翌日、会議終了後、アオキと二人で打ち合わせをしていると、ふと視線を感じた。
    触れてこようと近づいてくる唇を手で遮ると、アオキが問う。
    「やはり、やめますか」
    その声にも表情にも、感情は何も浮かばない。アオキは心底やめてもやめなくても、どちらでも良いと思っているのだろう。
    「いいえ」
    だがそれは私が許さない。
    貴方には才もあり、今、それを見せる機会もある。
    「アオキ」

    「見せて下さい貴方の本気を」

    かさついた唇を指先でなぞるが、アオキの反応はない。
    ただ一瞬、目が細められた。
    「報酬は、その後で」
    それだけ言うと、アオキの頬をなでそのまま立ち去った。

    それ以来、アオキが触れてこようとすることはなくなった。
    時折、向けられる熱い視線にぞくりと肌が粟立つ。獲物として狙われている。
    その緊張感が心地よくもあったが、決して振り返ることはしなかった。


    それから数週間後。
    四天王四人と視察の話をするという約束をしていたが、その前の会議が長引い手しまったので、いそいで向かうと、バトルコートに4人がそろっていた。
    「これは?」
    「あぁ、アオキさんがバトルしたいってみんなに言うて来てな、今、ハッサクさんと」
    「チリちゃんも、ポピーも、アオキのおじちゃんに負けてしまいましたの」
    悔しそうに口を膨らませるポピーと若干ふてくされているチリの様子に、どんな試合展開だったのか想像が付く。
    改めて、ハッサク・アオキ戦を見れば、両者譲らず、消耗戦になっている。
    「えっぐ」
    二人のバトルを眺めていると、隣にいたチリが声を漏らした。
    何があったのか視線をずらせば、チリが持っていたタブレットを私に見せる。それはある日を境に急上昇したグラフ。9割後半をたたき出す姿に思わず笑みが浮かぶ。
    バトルだけじゃない、四天王としての業務も意欲的に取り組み、アオキはかなりの成果を上げている。
    轟音と共に、決着が付いたようだ。
    才能のせめぎ合い、良いバトルだった。
    「素晴らしい」
    拍手でたたえながら二人の元へ向かう。
    「アオキ、私とも戦って下さいますか?」
    返事はないが、目をそらしながらもアオキは付いてきたので、胸が高鳴る。


    リーグ屋上のバトルコートに二人で立つ。少し強い風が身体を吹き抜けて心地よい。今は挑戦者のいない時期なので、この場に立つのも久々だ。
    「報酬をいただいておりませんが」
    アオキのぶすっとした言い草に口元が上がる。
    ネクタイをぐいと引いて、その唇にかみついた。何なら舌も入れてやった。
    ふぅと息をつきながら、アオキの目を見れば、普段は見せない情欲の色が見えた。ギラギラした瞳のままで、ペロリとキスで濡れた唇をなめる様に私も笑みを浮かべる。

    「さぁ、見せてもらいましょう」
    コートの定位置に付く。
    「私を越えて見せて下さいね、アオキ」
    握りしめたポケモンボールを投げた。
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