人には悩みというものが少なからずある。高校生の俺たちの悩みなんてもんは、部活、勉強、恋愛…なんてものなんだろうと思う。
そういう俺も最近、ある悩みで頭を痛めていた。
「御幸、そろそろミーティング」
ノックと共に開いたドアの向こう、倉持が簡潔に要件を口にした。
開いていても頭に入ってこなかったスコアブックを閉じて、「ああ…うん」と曖昧な返事をした。
「お前さ、最近おかしくね?」
「なにが?」
倉持の言葉は、的を射ている。表に出さないように気を付けてはいるが、観察眼のあるこいつの目には明らかにおかしく映っているだろう。
「いや…別にいいけど」
階段を下りた先に人影が見えて立ち止まる。沢村と小湊だ。
「いいって」
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