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    kouran0114

    @kouran0114
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    kouran0114

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    ⑧ワードパレットをお借りして書いたものです
    小生意気な口の端(わがまま、からかうように、口を塞ぐ)

    小生意気な口の端「今日は随分と大胆ですね?」
    いま俺は、ソファに座る恋人である入間銃兎に迫っている。とは言っても、ソファに沈む入間さんの適度に開かれた両足の隙間に片膝を立ててソファに乗り上げるようにしているだけであって、実際に迫っているとは言い難かった。
    「別にいいでしょう……俺だって、あんたに触りたいときくらい、ある……」
    「猫被りしなくなったことは素直に嬉しいですが……いや、まぁいいでしょう」
    尻すぼみになっていく声に小さく笑われた気がするが、うまく言い返すことはできない気がしておとなしく口を噤む。室内では外されている手袋の下にある、色白だがしっかりとした大きな手。その指先で優しく耳に髪をかけられてしまえば、くすぐったさに小さな声を漏らして体を震わせてしまうのが悔しい。でも、その感触が気持ちよくて言い返すこともできないのも確かで、混乱する頭を落ち着けようと浅く息を吐き出してなんとか持ち直した。
    「それで?どんなことをしてくれるんです?」
    「っそれ、は……っ」
    状況としては俺の方が有利であるはずなのに……それなのに、なぜ目の前の男は嬉しそうに笑っているのだろうか。完全に舐められている。そんなことは明白で、からかうようにも見える口元が少しだけ憎らしい。勢いに任せてシャツの襟を掴んだ両手に力を入れ、ぐっと引き寄せて強引に口を塞ぐ。驚いたように見開かれた目に、少しだけ気分がよくなった。

    「お、俺だってやるときはやるんですよ!馬鹿にしないでくださ、っうおぁ?!」
    そんな入間さんに、気が大きくなって煽るような態度をとってしまうが、すべて言い終わる前にソファに勢いよく押し倒されてしまったことで、素っ頓狂な声をあげてしまった。
    「色気のない声ですねぇ」
    「っな……!」
    さっきまで、少しは優位だったはずの体勢から一転。背中はソファに押し付けられて、肘置きのところに頭が乗っている。慌てて立ち上がろうともがく俺よりも先にソファから立ち上がった入間さんが俺の両足を手で割り開いてその間に体を滑り込ませた。
    下手に動いたせいで、さっきの位置だと寝転んだような格好だったが、少し体を起こしたことで対面で顔を合わせることになってとてもやばい。ましてや、この体勢は夜の行為を思い出してしまい、とても恥ずかしかった。逃げ出せず固まる俺を見て、さらに顔を近づけてきた彼の口元は笑っている。
    「それで?なんでしたっけ?やるときはやる、でしたっけ?」
    不自然なまでににっこりと自分を見るその目の奥は笑っていない。完全に選択肢を間違えた。俺は、このあとの展開が自分にとって言い方向へは進まないことを覚悟して目を閉じ、恋人である彼の次の行動を待つ。しかし、待てども待てどもなんのリアクションもなく不安になってきたので、閉じていた目をゆっくりと開けることにした。

    「もしかして……期待、しました?」
    ばちりと目が合った瞬間、身体中を尋常じゃない熱が駆け巡る。俺の反応を見るためにわざと泳がせたのだと気づいた頃には、誤魔化せないくらいに顔を赤く染めてしまっていた。声にならない悲鳴も、目の前の男の耳に届いているだろう。
    「……ほんとにかわいいな」
    「あっ、ちょ……んぅ……っ、んっ……」
    唇が触れ合う直前に聞こえた声に、愛しいっていう気持ちが滲み出ていて、それがいつも以上に体を震わせるのか、舌が絡み合うたびに感度と息があがっていく。長い間堪能するようなキスを何度もされて、完全に唇が離れる頃には呼吸もままならなくなっていた。
    「も……しつこい、っ」
    「すみません、セーブできなくて」
    悪いとは思っていないのではないかと思うくらいにいつも通りすぎだけれど、目元に唇を寄せてバードキスを降らせてくるのが心地よかったので、とりあえず不問にする。たくさん触れてくる唇に絆されている自覚はあるが、もう反撃をする気力もなくなっていた。

    「続き、してもいいですか?」
    このまま先に進めてくれればいいのに、わざと俺に言わせようとする。それでも、嫌だと言う選択肢は俺の中には存在しなかった。次はこの人の思い通りにならないような無理難題なわがままでも言ってみようか。入間さんが少しでも驚いてしまうような反撃くらいはしてやりたい。
    「責任、とってください……!」
    「はい。喜んで」
    まあ、今回はとりあえず、ちょっぴり意地悪だけど、たくさんの愛を与えてくれる愛しい恋人に同じだけの愛を返せるようにと、伸ばした両腕に力を込めて唇同士がゼロ距離になる直前にそっと囁いた。

    「……大好きです」
    ソファに身を沈めながらするキスはとても心地よくて、幸福感に包まれながら恋人としての時間をゆっくりと過ごした。
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