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    Hokke_is_SAIKOU

    @Hokke_is_SAIKOU

    妄想ぶん投げ🐟

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    Hokke_is_SAIKOU

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    🔮🐑
    ⚠️ちょっとした暴力あり
    ⚠️🔮の能力捏造あり

    久しぶりなのでご容赦ください

    #pcyborg
    #Cybussy
    #UKinky

    こんなお前を、俺は知らない。この世界で「VTuber」として世に出てもう数ヶ月。慌ただしい月日も、家族のようなメンバーと友人に支えられて乗り越えた。
    そして、何より。
    浮奇との出会いは自分からしたら刺激的で、言葉にすることが難しいが……少なくともこの時代ではとても、とても満たされている。浮奇とはデビュー当時から唯の友人以上の仲であった。
    そんな浮奇との念願のオフコラボ。今日のこの日が何より楽しみで、前日はよく眠れなかった。くわ、と何度も欠伸が出てしまう。
    待ち合わせは10時。そろそろか、と携帯を開くとちょうど浮奇からメッセージが来ていた。

    『ふーふーちゃん、どこにいるの?』
    『さぁ、どこだろうな?』
    『ねぇ』
    『冗談、時計台の下だ』
    『もう、今行くね』

    携帯を見ながらつい口元が緩んでしまう。待ち合わせをして、ちょっと冗談を言いながら、会話をする。こんなのはまるでティーンが好きな携帯小説みたいじゃないか。

    「ふーふーちゃん……?」
    「ん?おぉ!浮奇!!やっと会えっ、」
    背中に回された腕と、チークキス。
    慌てて肩を掴んで引き剥がす。
    「お、おい浮奇。ここは公共の場だぞ。そういうのは家に入ってからな。」
    いつも配信でやるように宥めると、
    「う、うん!へへ、やっと会えたね。」
    と腕にピッタリとくっつく。
    子供が欲しいものを貰ったような笑み、そんな子供っぽいところが可愛くて、いつまでもからかってしまうんだろうな。
    「う、うん!へへ、やっと会えたね。」
    「そうだな、まさかこんな早く会えるなんて……もう思い残すことは無いな。」
    一瞬、周囲の時間が止まった気がした。
    人が、喧騒が、無に変わる。
    浮奇と自分だけが動き、その視線が交差する。
    少し見上げてくる瞳が淡く光を放ち、虹彩が揺らめいていた。
    「……ねぇ、俺そういう冗談好きじゃないよ。ふーふーは俺と会うだけでいいの?まだオフでゲームもしてないしお酒も飲んでないんだけど?」
    どうやら浮奇の地雷を踏んだようだ。
    能力、というのはファンタジーではよくあるものの、現実でそういうモノを見るとやはり未知数で、自身の経験では計り知れないそれに恐怖を感じる。
    「浮奇、悪い悪い。もう言わないよ。よし、まだ日は長いしどこに行こうか?」
    「……お酒。」
    謝れば直ぐに浮奇の瞳は瞼に隠され、世界は回りだして元の五月蝿さを取り戻す。
    機嫌が治ったからか、昼間から酒をご所望のようで。
    自分たちは特に酒を飲むと配信しない方がいいのでは、と自負しているが。
    今日はオフ。自分でも驚くくらいには、すんなりOKを出していた。
    「潰れるまで飲むぞ浮奇!!」
    まずは昼からやってる酒場を探すか、と拗ねて少し俯いている浮奇の腕を引いて歩き始めた。




    「っ……あ?」
    頭がガツンと殴られたような痛みと、加えて二日酔いの症状で目を覚ます。
    右を見ても左を見ても暗闇。これは恐らく目隠しの類だろう。
    サラサラとしたシーツが引かれた作りの悪いベッドは、いくらもがけど擦れた音しかしない。
    義肢が全て外されていることは明らかだった。
    しかも服は完全に脱がされている。実にイイ趣味をしているようだ。最悪な気分に胸焼けが止まらない。
    思考がはっきりしてくれば、要らないことも考える。そして、雲が晴れていくように冷静に自身の状況を嫌でも理解していく。
    暗闇と、不自由な体。
    何も見えない、どうなるのか、只管に恐怖。
    呼吸が乱れ始める。
    落ち着け、落ち着けと念じるがそれはむしろ自身の心を不安定にさせるばかりだった。そして何より、1番の恐怖は『浮奇の声がしない』という事実だ。
    「っ、浮奇?浮奇!どこだ!!」
    必死で声を上げたが、コンクリートの壁に音が反響する。

    ベッドの前に人の気配がする。呼吸は落ち着いているため計画的なもの、もしくは自分がこの状況に陥ってから時間がだいぶ経ったのか。
    「おい!お前は誰だ!何が目的っ、う?!」
    バチり、と音がして目の前がスパークする。
    首につけている機械に突然走った感覚が全ての思考を中断させ、視界が白んで意識が飛びかけ、危うく走馬灯が見えるところだった。。
    「……ふーふーちゃん?大丈夫?」
    薄れゆく意識の奥から、浮奇の声が聞こえた気がした。
    「……ぅ、う、き?」
    「おれ、ここにいるよ?大丈夫。」
    安心すると同時に感じる違和感。
    何故浮奇の声が目の前からするのか、そして今までの自分の問いかけに答えなかったのは何故か。
    もしかすると、喋ることが出来ない状況に置かれていたのか。そう考えた瞬間に自分たちをこんな目に遭わせた輩に頭がきて、腹の中で怒りがふつふつと煮えるのが分かる。
    「おい、誰かわからないが姿を見せたらどうだ!俺の手足と視界を奪わないと勝てないのか?この弱虫野郎……!」
    少し遅いとは思うが平静を装い、状況を把握するためにわざと煽りを入れる。激情して殴りかかってくれば身体的特徴が、冷静に話しかけてくれば声と内面的特徴を知ることが出来る。
    相手があまりに短気で、首を絞められたとしても構わなかった。身体的特徴、それだけでも浮奇に伝えられれば自分の生死は思考になんて無く。
    浮奇さえ無事ならば、それで良かった。

    こつり、こつり。

    ゆっくりとした足音には焦りは見えない。
    かちゃりと何か金属が擦れる音がする。何かの器具、いや、これはまるでベルト……?
    目隠しに手がかけられ、薄暗い部屋の明かりにすら目が眩む。
    「おはようふーふーちゃん、って…やっぱり怒ってる?」
    ぼやけた視界が元に戻ったと思ったら、そこにはいつもの浮奇が眉をひそめて苦笑していた。
    「これは……どういうことだ、浮奇。」
    この部屋には誰もいない。
    浮奇と、自分。
    ということはこの状況をつくりあげたのは……
    「どうって……酔っ払ったふーちゃんを家に招待したらついてきてくれたんだよ?俺のお願いにも良いよって言ってくれた。」
    いつにも増して饒舌で、瞳は半月を描いていた。まるで大好きなおもちゃを得た子供みたいな、その無邪気さを感じる笑顔に鳥肌がたつ。午前に腕にくっついてきた時と同じ笑顔なはずなのに。
    離れなければ、と後退りをしようと思っても、無い手足では数mmしか動くことは出来ない。
    「しかもおれの好きって気持ちをね、ふーちゃんは受け止めてくれた。だから、教えてあげようと思ってね、おれがどれだけふーふーを愛してるか。酔いが覚めちゃって逃げられたら嫌だから、ちょっとだけ、あー、わかりやすく言うとスタンガン?みたいなのを付与しちゃったんだけど……あ、ふーちゃんが暴れない限りビリビリしないよ、大丈夫。」

    怖い、こわい、怖い、こわい。

    浮奇がサイキックということは公言していたが、まさか自分にその力が行使されるとは思わなかった。あははと笑うその手から、パチパチと音を立てて紫電が浮奇の指を走っている。
    自分の知らない面を剥き出しにした浮奇は、まるで別人のようで、ただ純粋な恐怖が心を支配する。
    「っ、う、浮奇。お前まだ酔ってるんだろ、なぁ?だからこんなことっ…!っ?!」
    左足の接合面ががしりと握られる。普段触られることは無いその面は、久しく感じていなかった体温にびくりと震える。じわりと広がる温度、そしてギチリと立てられた爪。
    「おれの、この思いを…おれが酔っ払ってるから見てる夢だって言うわけ?ひどい、ひどいよ、ふーふー。」
    喰いこんだ爪のあまりの痛さに歪む自分の顔を、紫の瞳が鋭く射抜く。怒りと悲しみを含ませた声は少し震えていて、顔を逸らそうとするが顎を反対の手で押さえつけられる。

    ーーーこっちを見て、目を逸らさないでーーー

    その言葉が脳内で反響してぐわんと頭が揺れる感覚、浮奇によって脳内に直接語りかけられた言葉は金縛りのように身体の自由を奪った。目が離せなくなって、首がつりそうだ。今の俺はきっとダッチワイフのように無抵抗で、哀れなんだろう。
    「教えてあげる、おれが純粋に、どれだけ愛してるか。大丈夫。おれに任せて、ね?いい子だから。」
    まるで犬を宥めるかのように声色を変えて頬に手を這わす。
    嗚呼、今のこいつに何を言っても無駄なんだ。固まっていた首が自由に動くことに気づく、きっと無意識の内にあの力を使っていたんだろう。
    すまない、俺はお前の望む良い子にはならないよ。
    「?!っ、た……」
    勢いよく浮奇の手の甲に噛み付く。すぐ離れていったその手にはくっきりと歯型が残り、1箇所からは血が垂れる。せめてもの反抗の意思だったが、こいつの表情は一瞬痛みに歪んだあとに恍惚に染まる。
    「っ、……へへ、ふーふーちゃん。ダメだよ、そんな可愛いことしちゃ。でも、嬉しいなぁ……やっぱりふーふーちゃんが一番だよ。」
    音を鳴らしながら舌先で血を舐めとるその姿に、何故か目が離せなかった。

    一体、【こいつ】は誰なんだろう。
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