無題(受けが紋々するガチャより)「あー……っ、痛ぇ」
目覚めて身体を起こした瞬間、覚えのある痛みをリオルは感じた。そのままもう一度ベッドに沈み込み、痛みをちょっとでも抑えるようにこめかみを抑える。
これは完全な二日酔いだ。昨夜そんなに飲んだだろうか。いや、昔はあれくらい普通に飲んでも翌日に残ることなどありはしなかったのだが……年は取りたくないものだ。
「今日は休みだってのに……あーーー」
それもアイツと示し合わせて休みにした手前、調子が悪いからなどど言って一日を寝て過ごすのも憚られる。同じ家にいるにしても、もうちょっと有意義に過ごしたいと思う。
(ま、これくらいは何とでも誤魔化せばいいか)
痛みを堪えて、リオルは今度こそ起きるべくベッドから身体を起こす。少しでも負担がないようにゆっくりと。その時、すでに起床していたマキシマが部屋に入ってきた。
「リオルさんおはようございます、朝食の用意ができてますよ」
「はよ。ありがとさん。今そっち行くわ」
努めていつも通りにを心がけつつ、リオルはベッドから起き上がろうとした。が、その時マキシマが近づいて来る気配を感じ、動きを止めた。
「何だよ?」
「……」
マキシマは無言でリオルに手を伸ばしてきた。その意図が分からなかったが避けるつもりもないリオルは相手を見上げていたが、そのまま両肩を掴まれ、もう一度ベッドに横にさせられた。リオルは困惑しつつ、マキシマに問う。
「おい、何だよ一体?」
「リオルさん貴方、調子悪いみたいですね」
「……」
なぜバレた。という内心の動揺は全く表に出さす、リオルはいつも通り返す。
「何言ってんだマキシマ、俺は別に」
「いつもよりちょっと動きが鈍いですよ。もしかして二日酔いですか」
結構飲んでましたもんね、とマキシマは再度起き上がろうとしたリオルを押しとどめる。
「だから昨夜言ったんですよ、あんまり飲みすぎないようにって」
「いや、昔はこれくらい全然平気だったし……」
リオルはマキシマから視線を反らして言い訳するが、そもそも昨夜も同じことを言われた手前、どうしても語気は弱くなる。
(いや、それにしても、なんで分かったんだコイツ。ちょっと動きが鈍いって、そんな程度で分かるもんか?)
それだけマキシマと長いこと一緒にいて、自分のことを理解されているということだろうか。
改めてそう思うと、リオルはなんだか気恥ずかしいような嬉しいような複雑な気持ちにさせられた。
「聞いているんですかリオルさん」
「聞いてる。悪かった。これから気をつける」
全く聞いていなかったが、平然とリオルはマキシマにそう答えた。マキシマはリオルの嘘を見抜いていたようだが、それ以上は何も言ってこなかった。小さくため息をついて、今日の予定の変更を提案する。
「今日は家でのんびり過ごしましょう」
「そうだな」
リオルは同意する。家にいるならそれでも全然構わない。結局のところ、二人で同じ時間を過ごせれば問題はないのだ。