始まりの鍵プロローグ
長かった授業を終えてお昼を食べ終わったあと。
どこで時間を過ごすかと学園内を歩いていた勇気。
「あれって、ワカサマだ」
見かけたのは一匹の子猫、この学園内にいる猫たちのボスだ。
どこかへ向かう様子が気になって、思わず後を追う。
校舎裏や海岸と色んなところを巡り、最後にたどり着いたのは
寮の裏手。金網と建物の壁というわずかな隙間に入っていった。
ここまで来たら行こうと、どうにか横歩きで潜り抜ける。
「……え」
先程まで校内に大勢の生徒がいたはずだったが、誰も外を歩いている人がいなくなってしまった。あの一瞬で時間が経過したのかと当たりを見渡していく。
そして、大切なことにも気づいてしまった。
「あれ、ワカサマもいない?!」
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