Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ヒロ・ポン

    支部ないです。ここに全部ある。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 117

    ヒロ・ポン

    ☆quiet follow

    広島と真鍋がどつきあっています

    拝啓おっぱい様ああ我が青春の

    揺れている。女性のそれではない。女性はサポーターでがっちりと固定して来ているから、微動だにしない。けど、こっちはそれはもう揺れている。
    「もう一本!」
    白いアンダーアーマーにハーフパンツ、その下にまたサポーターを身につけた南方立会人のそれが、揺れている。
    列になっている黒服たちが次々に挑んでは綺麗に投げ飛ばされていく。警察仕込みの柔道は型どおりに乱れがなく、喧嘩殺法の心得しかない黒服も安心して投げられると評判だった。
    5,6、7人目…と次々に投げ飛ばされ、ころりと綺麗に転がってまた列の後ろに並んでいく。そのたびに、揺れている。伸びて、力が入って、投げて、脱力して、そこでたわわに揺れるのだ。

    「おう、やっとるのう」
    白い長そでのアンダーアーマーを着用した門倉立会人が髪を結びながら入場してくる。次の番に控えていた黒服はたたらを踏み、頭を下げてその後ろの面々とともに散った。
    「何じゃ長袖なぞ着おって…墨でも入れたんか」
    「アホ、こないだまっさらなの見たろうが。ここの畳荒れとるからおろし金になるんよ」
    ああ、と南方立会人が素足のつま先で畳を擦る。畳にしては短期間で手入れと入れ替えがされてはいるが、一般的な同情とは威力と人数が違うので消耗が激しい。
    「じゃあ今日は安心して摩り下ろされてくれるっちゅう訳か。気ぃ使わせて悪いのぉ」
    「きょうじクンも国家権力に育ててもろうた自慢のデカ尻が割れんようにアンダー重ねて準備万端で偉いのォ~」
    ほとんど白目じゃん、みたいなメンチの切り合いをほとんどキスしてるでしょ、みたいな間合いでやってたかと思ったら、引く動作なく二人とも同時に相手に掴みかかった。
    先ほどまでの美しい型はどこへやら、体幹とバネに物を言わせためちゃくちゃな取っ組み合いが始まった。
    ギリギリ肉眼で追えるが、それは繰り出された後の拳くらいなもので次の動作に追いつけない。
    そして、今度は二人分が揺れている。門倉立会人の方がやや薄く広くついているが、上が薄い分下のふくらみが目立つ。
    男の膨らんで揺れてなどと言えば脚の間の逸物くらいなものだとお思いかもしれないが、まだそれの方が見て見ぬふりが出来たかもしれない。
    「らッ!死にくされ!」
    「おどれの前歯も半分インプラントにしたるわ!」
    「もう一本なっとるわバーカ!」
    「!?俺以外の奴に折らせたんか!?」
    物騒である。自分たちは南方立会人が道場にいるというのでこれはチャンスとやってきただけなのに、殺し合いを見せられている。
    手足は絶え間なく攻防をつづけ、しっかりと目で捉えて追えるのは胴体くらいなものだ。「俺たちは真剣に立会人の組手を見ております」といった体で、その胴体を、いや、胸部を凝視する。
    全体的にたわわとしか言いようがなく、肉の重みを感じる南方立会人。南方立会人と比較すると薄く見えるが、骨格が大きく密度を感じる門倉立会人。
    弛緩と緊張を絶え間なく繰り返す二人の胸部から目が離せなくなった。これでも自分は地元では女を専門的に泣かせた方で、そのはずで、そのはずなのだが…

    黒服一同に観戦されながら二人は絡みあい、その応酬の中不意に門倉立会人が南方立会人の脚を払った。
    自分の動作と力の方向を合わせて払われたため南方立会人はよろけ、それを門倉立会人が受け止め…担いだ。
    「フハハ!ええもん食うて重たくなったな!よう肥えとるなら出荷じゃコラァ!」
    ファイヤーマンズキャリーといったか。南方立会人を軽々と担いだ。そのまま諸々が平均以上の成人男性を持ち上げているとは思えない軽やかさでぐるぐると回り、遠投した。

    「あっ」

    門倉立会人の「やべ」という顔は初めて見たかもしれない。
    壁に衝突して跳ね返った南方立会人は、道場の隅で正座の練習といって我慢比べをしていたマルコと真鍋立会人の、真鍋立会人の上に降って来た。
    「まなべー!」
    マルコの悲痛な叫びが道場に響く。砂場を掘るような手つきで南方立会人を吹っ飛ばして撤去し、下敷きになった真鍋立会人を激しく揺すった。
    「まなべ!このあとコンビニ行くって言ったよ!卵買おうねって言ったよ!死ぬな!まなべ!」
    マルコが真鍋立会人の胸部を殴打する。血の一滴も流れていないのにこんなに簡単に地獄ってできるんだ、と眺めていることしかできない。
    まなべー!と泣きそうな顔になって来たマルコの胸を真鍋立会人の腕がそっと押し返す。
    反応が返ってきたことでマルコの顔がぱっと晴れたが、真鍋立会人は人形のように表情を消したままだ。
    ゆらりと立ち上がった真鍋立会人は道着の上衣を脱ぎ棄て、ピリピリとした空気の中にその素肌を晒した。

    「門倉立会人風に言うと…”売っとるんか”、というやつか…」

    かつての屋形越えに立ち会うために勃発したというハンカチ争奪戦。その中にあったという伝説のカードだった。
    「もー」と言いながら真鍋が捨てた道着を畳むマルコとマルコに道場の脇に寄せられそこで痙攣している南方立会人を除きその場が静かな熱狂に包まれる。
    特に気合いを入れるわけでも、助走をつけるでもなく、門倉立会人のみぞおちに衝撃波が見えそうなくらいの正拳突きが叩き込まれる。
    ハングマンの柱をうっかり落とした時に聞いたのと同じような音を立てながら門倉立会人は下駄箱まで吹き飛んでいった。

    「あ…」
    揺れてる…
    起き上がる門倉立会人に追撃せんと駆ける真鍋立会人を見て、隣にいる同僚が呆然とした顔のままで呟いた。
    言葉尻は空気に消えていったが、俺にはしっかりと聞こえていた。俺は黙って頷いた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited

    recommended works

    トーナ

    DONE初門梶SSですが、門倉さんあまり出ません。すいません…。

    裏ver書きたい。
    僕の秘密

     門倉さんに秘密にしていることがある。それは門倉さんがいない間に僕が彼のシャツを独り占めしてることだ。僕と門倉さんは恋人同士で今でもどうしてこの関係になったのかもわからない。きっかけはたぶん、プロトポロスでの出来事だろうと踏んでいる。お付き合いしてだいぶ経った頃に彼がある日仕事が長引いてなかなか会えなくて寂しくなった僕は洗濯物に混ざっているシャツを見つけた。シャツから香る門倉さんの匂い。たばこと体臭。最後に嗅いだのはいつだったか。そしてふと思いついて、実行すると寂しさが解消された。
     
     その日も僕はあることを始めた。洗濯せずに取っておいた門倉さんのシャツを抱きしめながら眠る。彼と一緒に暮らすようになって、いつしか彼の存在がそばにあるのが当たり前になっていた。だから、会えない間はそばにいないと僕は胸に穴が開いて落ち着けなくなってしまう。
    「…門倉さん」
    僕より大きいそのシャツから嗅ぎ慣れた匂いがした。その匂いがあるだけで門倉さんがいるんだと錯覚できる。だから、よく眠れるようになる。胸のあたりに顔を埋める。今は薄っぺらいシャツだけの感触しかないけど、ここには彼のたくましく厚い 1001

    トーナ

    DONEいとしい傷痕の対となってる門梶です。疵に贈るキス


     深夜に目を覚ました梶が最初に気づいたのは裸の背中に当たる大きな存在だった。梶の背中を覆うようにして眠る門倉がすぐ隣にいる。よほど深く寝入ってるようで寝息が耳元に当たる。そっと見上げると普段は鋭い隻眼が閉じられた、穏やかな寝顔があった。思いがけなく跳ねた胸の鼓動を宥めつつ、貴重な時に起きられた自分を褒めた。眠る門倉を見るのが小さな喜びであり、楽しみだった。
     ゆっくり身体の向きを変えて門倉に向き合う。前髪の分け目から見える、皮膚を抉ったような大きな傷痕。梶が雪出との勝負に負けた後に出来たものなのだと聞いた。傷が元で人格や体調に影響が顕れている。プロトポロスで見せた片鱗はたしかに門倉ではない、『なにか』だった。手を伸ばして優しく撫でる。起きないのを逆手に取っていたずらに指を這わせる。


     最初に出会った時とは違うかもしれない。それでも、根幹は門倉なのだと思う。梶は彼が普段から『なにか』を抑えつけているのをひそかに感じ取っていた。梶の前ではなんでもないように振る舞う。そんな彼を前に自分も知らないフリをした。何も出来ないのがもどかしかった。
     感触を感じるのか、眉間にしわ 615

    トーナ

    MOURNING一度は書いてみたかった門梶♀信号が赤から青に切り替わったのを機に、止めていたハンドルを動かす。時刻はすでに終電を迎える頃だった。遅くまでかかった残業を思うとはらわたが煮え繰り返る。同僚の立会人のせいで事後処理が遅れたのだ。必ず、この恨みは後日に晴らすとして。
    『門倉さん?』
    「聞こえていますよ。大丈夫です」
    『なんだか、機嫌悪くないですか?』
    「そりゃあ、どっかのバカのせいで仕事する羽目になりましたからね。せっかくの半休が台無しです」
    スピーカーホンにしたスマホから漏れる彼女のの乾いた笑い声がした。おそらく梶の脳裏には急務の報せを受けて凶相になった私を思い浮かべたかもしれない。
    『本当に、お疲れ様です…。門倉さんにしか出来ないことだから、仕方ないですよ』
    梶の宥めるような声がささくれ立った私を落ち着かせてくれる。
    「梶、眠くないん?」
    『んん…、もう少しだけ』
    「また薄着のままでいたら、あかんよ」
    『でも、かどくらさんとはなして、いたい…』
    どこか力が入らなくなってきてる彼女の声に眉をひそめる。共に過ごせなかった半日を名残惜しむのはいいが、前科があることを忘れてはいまいか。
    「明日、無理やり休みもぎ取ったから、い 1173