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    ヒロ・ポン

    支部ないです。ここに全部ある。

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    POIPOI 147

    ヒロ・ポン

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    めちゃ短い 今日久々にプレイリストで回って来たので。

    フロ梶「ふらいみー、とぅざーむーん…」
    「なんだなんだ、カタカナ英語にもほどがあるだろ」
    ハーネルともシナトラとも言い難い調子でそれを歌う梶をシーツの海に戻す。
    いくら夏が目を開けたと言ってもまだ雨の夜は冷たく、滲んだ汗はすぐに寒気を連れてくる。
    汗も拭かずに余韻だけを逃がして起き上がった梶が凍えぬよう、新しいタオルと毛布ですぐに包んだ。
    「なんか耳に残るんですよね、これ…この間ホテルで流しっぱなしにしてたアニメの曲がずっとこれで」
    「へえ、日本のアニメーションも洒落てるんだな」
    「けっこう難しい内容のアニメだったから何かそういうちなんだ曲なのかなって思ったら、歌詞はシンプルなんですよね」
    「Fly me to the moonか、まあポップスの歌詞だから英会話の文章とは違うさ」
    「いんあざーわーど…」
    「うん」
    「”言い換える”だっけ」
    「そう」
    梶は自分には学がないと言うが、それは学ぶ機会がなかっただけの話のようだった。教えればスポンジのように吸収し、尋ねれば教えた事がきちんと返ってくる。
    ニュアンスや意訳というものへの手札はまだ少ないようだったが、聞いて理解する分には徐々に引き出しが増えて行っているように思う。
    耳のいい梶は先に音声で聞き、それを分解して単語にする。テキストを与えた時よりも覚えが速かったので元来そちらの方が向いていたのだろう。
    「ほーるまいはんど」
    「Holdだ...手を握ってくれって?」
    「べいびー きすみー」
    「キスをしてくれって?」
    まだ聞いたままを復唱する程度の領域なのか、どことなく子供が話すそれのような音を残しながら梶が口ずさむ。
    「してくれる?」
    「いくらでも」
    ついばむようなキスに、求愛のために歌う小鳥を思い出す。そしてやはりこの男は教えた事を返すのだと思い口元が緩んだ。

    梶隆臣。お前はとっても小さな人間。叩けば揺らぎ、拐かすのも易く、探れば見つかる。けどまだ底が無い。
    こんなにも全てを知っているのに、浚って枯らす、暴いた証明が見つからない。
    恋人が抜け出して冷えていたベッドに熱が戻るのはすぐだった。満たされて形を決めた心がとろとろと融解を始めて、「もっと欲しい」と欲を詰めるためのスペースを空け始める。
    「俺はお前に誠実だ。お前が望むなら月にだって連れて行ってやる。」

    「じゃあ、月に陰謀を見つけなきゃ」
    ああ、お前ってやつは。クソ、愛してるぜ。
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    DONE初門梶SSですが、門倉さんあまり出ません。すいません…。

    裏ver書きたい。
    僕の秘密

     門倉さんに秘密にしていることがある。それは門倉さんがいない間に僕が彼のシャツを独り占めしてることだ。僕と門倉さんは恋人同士で今でもどうしてこの関係になったのかもわからない。きっかけはたぶん、プロトポロスでの出来事だろうと踏んでいる。お付き合いしてだいぶ経った頃に彼がある日仕事が長引いてなかなか会えなくて寂しくなった僕は洗濯物に混ざっているシャツを見つけた。シャツから香る門倉さんの匂い。たばこと体臭。最後に嗅いだのはいつだったか。そしてふと思いついて、実行すると寂しさが解消された。
     
     その日も僕はあることを始めた。洗濯せずに取っておいた門倉さんのシャツを抱きしめながら眠る。彼と一緒に暮らすようになって、いつしか彼の存在がそばにあるのが当たり前になっていた。だから、会えない間はそばにいないと僕は胸に穴が開いて落ち着けなくなってしまう。
    「…門倉さん」
    僕より大きいそのシャツから嗅ぎ慣れた匂いがした。その匂いがあるだけで門倉さんがいるんだと錯覚できる。だから、よく眠れるようになる。胸のあたりに顔を埋める。今は薄っぺらいシャツだけの感触しかないけど、ここには彼のたくましく厚い 1001