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    shin08_s

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    私もせっかくなので着地点決めてなくて終わらない書きかけコリ+ドイでこのコンビ推させて♡

    ##Jレミ

    ドイルさんのケアラーなコリーさん(notCP)「コリー」
     猟銃のメンテナンスで静かに部屋にひとり篭っていると、コンコンと控えめにドアをノックする音が耳に入った。
     たまに山から降りてきた時に使うこの部屋を訪れる人間はあまり居ない。家族同然なほどの顔見知りではあるけど、若い活気ある世代と自分では会話のテンポも全てが違う。必要なとき以外は個人で行動するのが常だ。他のメンバーも他人に過干渉な行動をとる人間じゃないから、彼らも必要なとき以外この部屋に訪れることはない。
     "基本的には"だ。ノックの後、控えめに呼ぶ声が誰なのかはすぐに分かった。その抑揚のない声に
    「またか」
    という気持ちもあった。小さく開かれたドアの向こうには眉をハの字に下げて部屋を覗き込む男が立っていた。
    「ドイル」
    「入っても?」
    「ミルクは切らしてる。コーヒーでいいか?」
    「ふふっ、相変わらずの子ども扱いどうも。砂糖は頼むぜパパ」
     銃器メンテナンスにより指先が黒くなった手をタオルで拭き取り、コーヒーサーバーの前に立つ。篭りきりになることの多い自分のために購入した物だ。
     部屋の中に踏み入れてドアを閉めたドイルが詰めていたであろう息を小さく吐いて、いつものソファに腰掛けた。彼の好きなフレーバーコーヒーが入ったマグカップを渡せば、改めてお礼の言葉が返ってくる。今回は結構スパンが短かったなとひとり脳内で日数をカウントしながら隣へと腰を下ろした。
    「邪魔したか?」
    「してても聞いて欲しかったんだろ?」
    「んー、悪ィなぁ。いつも」
    「気にしてない」
     静かにお互いがコーヒーを啜る音だけがたまに部屋に響いては沈黙が流れる。無理に話しかける必要もない。相手が求めてもいないからだ。
     自分の子にしてやるように無造作に頭を撫でてやれば、乾いた笑い声が隣で聴こえた。これもいつものことだ。一息と共に吐き出されていく澱み。軽く触れ合った肩にゆっくりと重みが寄せられる。
    「俺もまだまだだなあ」
    「八方美人も大変だな」
    「そんないいもんじゃない。これは」
     ただのエゴだ。
     甘えるように肩に額を押し付けて、溢した言葉。いつも笑って何でもないように振る舞う人間とは思えない、疲れた声が耳をくすぐる。自分にはドイルのこの姿が見慣れてしまっているせいか、いつもの笑っている姿の方が別人に感じるけと、それを話せば本人はどんな顔をするんだろうか。
     どちらも本当のドイルの姿であるのも確かだし、いつもの歯を見せて笑うあの笑顔が嘘だともひとつも思ってないけども、それが今のこの静かな人間と同一人物として結びつくかどうかは別だ。
     エゴに生きる人間が、他人の死を何度も懺悔するはずないのに。そう言ったとしても、ドイルがそれを認めたことなんて一度もないし、それが気休めにならないことなんてもう分かりきったことだ。この時間は沈黙が常であり、きっとそれが正解だ。
    「……狙いを、定めるんだ。人の身体に。引き金を引けば貫かれて穴が空く。それだけでそいつの人生を終わらせることも出来る。感触は銃の反動だけ。簡単過ぎる」
    「嗚呼、知ってる」
     その瞬間の人の命の軽さにドイルは何度もこうやって自分の心を殺す。
     何度も耳にしてきた懺悔。他人事とは思えない、自らも鮮明に記憶にある思考、感覚。否定出来るものは何ひとつありはしない。戦地、暴動、犯罪。引き金を引く理由なんてドイルの前にはいくらでも転がっている。
     一つの弾に、確かな覚悟。それが引き金に指を掛けるたびに軽くなっていってる感覚に囚われて怖いのだと、いつの日か言っていたことがある。
     本人曰く、いつもここで連れ立って隣に居る奴にはこんな姿は見せられないらしい。あいつだって同じなんだ。受け入れてくれるはずなのに。ドイルは自分が弱虫だからと、これ以上奴の負担を増やしたくないなどと、似合わない遠慮で弱音が吐けないままだ。
     アイツもなんだかんだで人の命を背負って独りで潰れる奴だけども、だからこそ受け入れられることもあるはずだと、毎回諭してはみるがあまり理解できないらしい。どうもお互いの中で『支え合う』という選択肢はないようだ。ややこしい奴ら。
    「コリーを好きになって、コリーに好きになってもらえたら、1番幸せなんだろうなあ」
    「無茶言うな」
    「アンタだけだよ、冗談でも寝てくれない人」
    「じゃあむしろ他がイカれてるな」
    「んへへへ、違いない」
     首筋に寄りかかる丸い頭の重みが増してきたので、手に持っていたマグをやんわり取り上げる。マグをテーブルへと避けてから肩を抱き寄せると、肩の力がゆっくりと抜け落ちて重みが増した。
    「これは浮気にならないのか?」
    「誰が? コリーが?」
    「お前だよ」
    「……誰と?」
     お互いの顔を至近距離で見合わせて数回瞬きし合ってから合点がいく。
    「俺が悪かった。お前ら本当にめんどくさいな」
    「あー……、ごめんて。アイツはそういうんじゃないから」
     頭を無造作に掻き撫でて盛大なため息をつく。
    「お前らなんか俺にしたらただの甥っ子だ。甥っ子」
    「えーん、フられたー」
     大袈裟な泣き真似をして腕に縋り付いてくるのを面倒臭そうに振り解けば、嬉しそうに恨み言葉を言われた。今回はスパンは早かったが、立ち直るのも案外早いかもしれない。
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