第62回「傷」「今日はありがとう。またよろしくね」
「おお、気にくわねぇやつがいたらいつでも言えや。オレがぶっ殺してやるからよ!」
殺すのはやめてね、なんてどうにも甘い言葉を告げた現在の主を見送る。ブリーフィングルームに向かった二つの背中は主従関係があるようにはとても見えない。マスターとサーヴァントであり、先輩と後輩でもあるらしい。先輩と後輩というのはよくわからないが、明確な主従を示した方が何事も便利だというのに今の主はそれをしたがらなかった。他のサーヴァントに対してもあくまでも対等な関係を築こうと努力している姿をよく見受けられる。実際信長が仕えていると聞くと違和感があるものだし、今まで上に立ってきたもの達が多いここでは主従に拘らない姿勢は正しく受け入れられているようだ。
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