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    ii0314

    今は主にピオイアや長晋、エドシロとか書いてます。他のもジャンル転々と書いたり書かなかったり。
    基本pixiv前に先行して投下してます。

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    ii0314

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    長晋ワンライ
    社長のことばかりセンチメンタルにさせてる気がしたから今回は森くんに弱ってもらった。

    #長晋
    changjin

    第62回「傷」「今日はありがとう。またよろしくね」
    「おお、気にくわねぇやつがいたらいつでも言えや。オレがぶっ殺してやるからよ!」
     殺すのはやめてね、なんてどうにも甘い言葉を告げた現在の主を見送る。ブリーフィングルームに向かった二つの背中は主従関係があるようにはとても見えない。マスターとサーヴァントであり、先輩と後輩でもあるらしい。先輩と後輩というのはよくわからないが、明確な主従を示した方が何事も便利だというのに今の主はそれをしたがらなかった。他のサーヴァントに対してもあくまでも対等な関係を築こうと努力している姿をよく見受けられる。実際信長が仕えていると聞くと違和感があるものだし、今まで上に立ってきたもの達が多いここでは主従に拘らない姿勢は正しく受け入れられているようだ。
     極力平等に、対等に、特別を作ろうとしない主。それでもあの二人は特別で、最期まで共にしたいと互いに思える関係なのだろう。

    「相変わらずだな、君は」
     ポタポタと滴り落ちてきた血を煩わしく思い始めた頃、気配を消すでもなく近づいてきた男が声をかけてきた。
    「鬼武蔵の名に恥じない血塗れっぷりだが、返り血ぐらい落としてきたまえ」
     悠然と距離を詰めてきた男が、血だらけの顔に手を伸ばす。それを避けて自室に向かう。振り返りもせず、滴り落ちる血も無視して歩を進める。
    「・・・・・・?」
     一言も発さず去っていったバーサーカーに、春色の髪がほんの少しの困惑を見せた。

    ***

    「まさかと思ってきてみれば、予想通りだったな」
     それから一刻の後、長可のいる自室を尋ねた晋作は呆れた声を漏らした。
    「ああ? 何しにきたんだよ」
    「見てわかるだろ。手当てだよ、手当て」
     手持ちの救急セットを彼の眼前につきつける。あのあと、どうにも様子がおかしいと判断した晋作は軽くマスターから話を聞いた後医務室から簡易救急セットを借りてきたのだ。見つかったら面倒なことになる医療班がいなかったことが幸いし、すんなりと拝借できたそれを置く。
    「マスター君に知られたくないんだろ。大人しくしていたまえ」
     自身で巻こうとしたのか、彼の手から包帯を抜き取り隣に座った。バーサーカーであってもなくても彼の意図を察するのは容易ではない。読めないからこそ面白くあるが、こういうのは頂けない。少しではなく憤りを感じていた晋作は何か文句でも言ってやろうと口を開いたが、先に出た長可の一言で思い留まった。
    「喜ばないのか」
     手に余る、と言外に思われていることを長可は知っていた。味方にも敵にもいてほしくないようだった。幸いこれまでの主君には恵まれて、自由にやらせてもらっていた方だろう。直接聞き入ったわけではないが、死後残っている逸話が事実であったことを裏付けていた。故に長可のことを手下にしたい、なんて言うものがいるなんて思ってもみなかったのだ。
    「そんなの、マスター君だってそうだろ」
     長可の意図したところをどこまで読み取ったのか。そう一言返した晋作は、当たり前のことを聞くなとでも言うように長可を睨んだ。
     それからどちらも言葉を発することなく、黙々と傷の手当てをした晋作は、最後に強めに背中を叩いた。
    「二度と言うなよ」
     その声が存外に弱々しく、不意をつかれた長可は視線だけを隣に向けた。微かに視界に入った彼の表情はまるで置いていかれた子供のようで。聞きもしないのに大まかに話してきた先のサイタマでの出来事が頭に過った。
     当然長可は死ぬつもりはない。それの第一はマスターがいるからだが、それはここでの答えとしては適切じゃない。
     珍しく発する言葉を逡巡し、
    「お前を殺すまではな」
     言わせたくなかったら死ぬな、と彼に一つの楔を与えた。
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    ii0314

    DONE長晋3本目
    特異点SAITAMA以来の遭遇をカルデアで果たした二人が、最終的に二人で深夜にラーメン食べる話。
    二度目のラーメンも優しさの味がした。「うわっ」
     カルデア内の曲がり角、何か面白いことでも思いつかないかと当てもなく歩いていた昼下がり。角から現れた大男とぶつかる寸前で一歩足を引いた。カルデア内はもっと巨体の、人だかそうじゃないんだかなものも多いが高杉の知っている基準では十分大男に入る人物が角から顔を出した。
     反射的に出た声は何もぶつかりそうになったからだけではない。真っ赤な髪との境目がわからなくなるほど血濡れた顔や鎧。その装いに少なからず驚きを得たからだった。
    「一応聞くがそれは全て返り血か?」
     一体どこまでが返り血でどこからが彼の血なのかまるで判別がつかない装いの彼に声をかける。彼の逸話を聞く限りでは全て返り血でも不思議ではない。ましてやマスターとのシミュレーション帰りであるならば治療もせずに廊下を闊歩しているわけもなかろうことは予想ついていた。気に留めるほどでもないと思いつつ、それでも声をかけてしまったのは、認識した手前無視するのもどうなのかという気持ちと、幾ばくかの興味。SAITAMAで初めて出会った彼のことを少しばかり気にかけていた。あわよくばもう少し話してみたいとも思っていたのだ。
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