拳兄が、こんな枕作ったんだって弟たちに見せても誰もほめてくれないよね。そもそも拳兄はどういうつもりで作ったんだ? てか拳兄以外にこれ作ろうって人いないよね? 野球拳の意思表示が枕の時点でもう前戯なんだよ拳兄ったら!
あとは妄想。
拳「見ろ!その名も野球拳大好き枕である!!」
透「うわサイテー」
ミカ「悪趣味極まりない」
拳「一刀両断だなオイ。で、物は相談なんだが」
透「却下」
ミカ「断る」
拳「聞けよ!まずは聞けよ!」
透「ウチには置かないよ。あっちゃんの教育に悪い」
ミカ「インテリア・コーディネイトという観念を持て愚兄」
拳「そんなこと言うなよー。俺置いとくとこないじゃん」
透「じゃあ聞くけど、こんなかさばるもん、置き場所って棺じゃないよね? そしたらあっちゃんのお布団かミカ兄のベッドだよね? はい、ミカ兄にパス!」
ミカ「透?!」
透「ミカ兄は、あっちゃんのお布団にこんなもの並べてもいいって言うの?」
ミカ「それは……」
透「はい、消去法でミカ兄にパス!」
ミカ「そんな……!」
心の中で(ナイスアシスト!透!)とか思っている拳。
結局ビキニ御殿のミカエラの寝室に置かれる羽目になる。既存の枕の下にボスボスと押し込むミカエラ。
拳「ちゃんと表に出しとけよー、これは大事な意思表示になるわけだから」
ミカ「何が意思表示だ!見栄えが悪い!」 ボスボス
拳「……ここで捨てねえでちゃんとベッドに置いてくれちゃうところがおまえだよなー」
ミカ「何か言ったか!」
拳「いえなんでもございません」
ミカ「む……? そうか!」
急に明るい表情になり、野球拳大好き枕を表に出して並び替えるミカエラ。【NO】【よ良い!】【良い!!】の順番。
ミカ「フハハハハ!どうだ愚兄!これで貴様の野球拳は封じたぞ!NOよよいよいだ!」
勝ち誇るミカエラに、反応に困る拳兄。
拳「うーん……ソウダネ(棒)」
ミカ「?」
拳「ミカエラおまえ、もしかしてYes/No枕って知らない?」
ミカ「? なんだそれは」
拳「マジかよ。おまえ人生のルートどう通って生きてきたんだよ」
がっくりと肩を落としつつも、丁寧に説明を開始する拳。
ミカ「……バッ、愚兄、じゃあいったい貴様、これ……えっ?!なんで?」
拳「うんうん」
ミカ「貴様がっ!『野球拳大好き枕』だと言ったんだろうが!!」
拳「うんうん」
ミカ「原型がどうあれこれは野球拳なんだろう? そうだな!」
拳「うーん、そうでもあり、そうでもなし」
ミカ「そんなものをっ!透とあっちゃんの家に置こうとしていたのか貴様は!!」
拳「うーん、あの時点では、ジョークグッズ?」
ミカ「あの時点では……?」
しばしの沈黙。通り過ぎる天使(詩的表現)
ミカ「……そういう、色気のある代物なら」
急に覇気が無くなったミカエラに「?」となる拳。
ミカ「誰か、いいひとのところに、置くべきなのでは……」
拳「ミカエラ!!おまえ! おまえなあ!!」
ミカ「うえーん!なんで怒るんだー!」
拳「いやもう俺が悪いんですけども!!」
ぐしぐし涙目のミカエラと、天を仰いで降参姿勢の拳。観念して正対し、ミカエラの手を取る。
拳「……ちゃんと説明しないとだよな。説明させてくれるかミカエラ?」
――――いつの間にか両片思い拳ミカの話になってしまうのは仕様です。スミマセン。(何をどう書き出してもここに着地するんです。おかしいなあ!)