「寒いな」「寒いの」ブリッジから艦長室に休息に戻ったブライトは、灯りの付いていない無人の部屋で、そう呟いた。空調は有るので、本来寒い筈も無いが、暗闇がそう言わせた。
先程のブリッジ内の賑かさ。クリスマスだからと大尉にサンタの衣装を着せ、細やかなゲームに興じ久方ぶりの笑いに包まれた後。
独りに戻り、闇の部屋に置かれた写真に語る。
「…貴女達に幸有らんことを…」
甦る、貴方の声、眼差し。
優しく触れた、指先。そして思い返す、温かな肌の温もり。
そっと、触れ、ためらい、ゆっくりと重なりあった心と身体。
私の身体は、貴方を思い出し、焦がれ求め、せんないことと思いつつ、寂しさに切なさに、打ち震える。
「この聖なる夜、貴方に、ひとときの、安らぎが、あります様に。」
祈りは闇に融け、私は貴方を想い、自らを切なく、両腕で抱くだけ。