開けっぱなしの窓の向こうから、どこかの家の風鈴の音が風に乗ってリンリンと流れてくるのがカーテン越しに聞こえる。
梅雨入り前の六月の土曜日、外は快晴、予想最高気温は二十七度。
昼のニュース番組のお天気キャスターが、水分と塩分を十分に摂って熱中症に注意してくださいねと今日の天気を伝えていたのを思い出す。午後五時を過ぎてもまだ外は明るくて、時折入ってくる風が気持ち良い。
今日は午前中の仕事が終わった後、事務所でばったり会ったはざまさんと一緒に昼飯を食べて、なんとなく流れでそのまま二人でうちに帰って来た。
ひと息つくついでに淹れたコーヒーを飲みながら、俺は事務所で受け取ったファンレターや自分のインタビュー記事が載ってる今月号の音楽雑誌を確認して、はざまさんは月末から収録が始まるドラマの台本をページの端にメモ書きしながらじっくり読み込んでいた。
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