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    黒羽(DQアカ)

    Twitterに流しにくいものを垂れ流します。

    2023.05.17 Twitter垢 乗っ取りに合っています…
    近いうちに連携切る事になるかと…。
    無念。

    からの、復活!!!
    ヒィーーーハァーーー!!!

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    黒羽(DQアカ)

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    ※ネタバレご注意下さい!

    DQ7 後半 シャークアイ合流辺り。
    初の全滅を体験して、責任に潰されそうなアルスを、復帰したマリベルが励ます話。

    ・マリベルがキーファを好きだった描写があります。

    表題まんまです笑
    うん億年前、漫画にしてましたが、小説でちと整理リメイク…。

    お好みに合う方どうぞ!

    #アルマリ
    almari

    アルス君を励ますはなし【アルマリ】



    …ここ、どこかしら。
    薄暗い中に、意識だけあるような。
    そんな感じ。


    …?
    人…が見える。

    ちょっと長い、ブロンドの髪。
    赤い、格式ある服。
    その人が、ゆっくりこっちを向いて、申し訳無さそうに微笑む。


    あぁ…そうね。
    この顔が、私が最後に見た…あんたの表情(かお)だったわね。

    …あんたの遊びのせいで、こっちは今すっごく大変なんだからね。
    アルス達が神様を復活させたり、エスタード島が封印されたり。

    あんたは、ずっと探していた自分の道を見つけて、さぞや満足でしょうけど。

    私達を巻き込んだ責任、ちゃんと取りなさいよね。

    私の事いいのよ、私の事はアルスが守るから。
    …その代わり、ちゃんと守んなさいよ…アルスの事。

    いい?キーファ…あんたが守るのよ。
    アルスの事は、あんたが……。









    「…………ばか…王子。」
    「!マリベル!」

    すぅ、と意識が浮上し、目の前に船の天井が見える。
    同時に聞こえた声の方を見れば、ガボとそのオオカミが心配そうに覗き込んでいる。

    「…ガボ?私…。」
    「よかったぁ…マリベル、なかなか意識が戻らないから心配したぞ。」
    「あぁ…私、死んじゃったんだったわね。」

    そう言い、私はゆっくりとベッドから上半身を起こす。

    「全く…このマリベル様を殺すなんて許さないわよ!あの魔物…なんて言ったっけ?リベンジしなきゃ気が済まないわ!」
    「あ〜…アレは、その、アルスがめちゃくちゃにやっつけたから大丈夫だぞ。」
    「は?アルスが?めちゃくちゃに?」
    「めちゃくちゃに。…ちょっと怖かったぞ。」

    そう言い、ガボが少しオオカミと視線を交える。

    「…なんか引っ掛かる言い方するわね。どういうこと?」
    「あーなんつーか、魔物が死んだ後も…その…アルスが攻撃を辞めなくて。アイラが止めるまで…我を失った感じで。」
    「…え。」
    「そのまま、次の戦闘に入って…。でも…アルス…全然いつもと違くて…。声かけても全然こっち見なくて。」
    「……。」
    「…そしたら、全滅しちまった。」

    そう言い、ガボがショボ…と肩を落とす。


    「嘘でしょ?」
    「なっ?信じらんないよな?オイラもあんなアルス初めてで…実は今もちょっと怖いぞ。」
    「だってあの…ふにゃふにゃ優男代表!みたいなアルスよ?」
    「そうなんだけどさぁ…まぁ、会ってみれば分かるよ。」
    「え?待って、その状態が今も続いてるわけ?」
    「あぁ。アルス、起きてからずっと一人で船の近くで魔物倒してる。一応アイラが側で見てるけど、声かけれる雰囲気じゃなくてさ。」
    「………。」
    「あんなアルス初めてで、オイラ達どうしたらいいか分からないよ。」


    来てしまった、この時が。

    ずっとずっと、嫌な予感はしていた。
    アルスは限界だったんだわ。
    …私は分かっていたはずなのに。

    たしかに、元々アルスは争い事は好きじゃない。
    自分が馬鹿にされても、へらへら笑ってる、そんなヤツ。
    でも、大切なもの…自分の家族が傷つけられるような事があると、途端に牙を剥く一面があった。

    今回、仲間(私)の死が…そのきっかけになってしまったんだ。


    この世界を救う闘いも、アルスは自分に無理をさせて進んで来ていたはず。
    力及ばず、悲しい結末を嫌でも見ることがある。

    そんな所で、私が…私がアルスを独りにしてしまった。
    キーファがいない分、私が近くにいなきゃって思っていたはずなのに。
    ここに来て、私が…。



    「あー、大丈夫。ちょっと私が話つけてくるから。」
    「ちょ、マリベル、まだ寝てた方がいいぞ!今回の怪我…本当にすごい怪我だったんだ。」

    そう言い、立ち上がる私の腕をガボが掴む。
    行かないで、と母を引き留める子供のようで、その目は立派な仲間を心配する大人のそれだった。

    「ガボ。心配してくれてありがと。大丈夫よ。」
    「でも、オイラ…マリベルにまでなんかあったら…。」
    「安心して。ちゃんと無理しないようにするわ。」
    「そうか?本当に大丈夫か?」

    不安そうなガボの頭を、私は優しく撫でる。

    「ちょっと行って来るわね。っていうか、あんたもちょっと寝なさいよ?子供らしくないクマ出来てるじゃない。」
    「うん。」
    「アルスは私に任せて。」
    「…うん。」

    ガボが珍しくしょぼくれている。
    一刻も早く、この子にこんな顔をさせた張本人に会いに行かなければ。

    そのまま、私は船の外へ向かった。








    「…っく!」

    敵が、倒しても倒しても向かってくる。

    これは今に始まった事じゃない。
    こちらに向けられる、敵意と殺意。
    命の取り合い。
    …僕の1番嫌いな事だ。


    それでも、自分で始めた事だから。
    ……君と、開いた未来だったから。
    最後までちゃんとやらなきゃって、思っていたんだ。

    でも…大切な人が血だらけで動かない。
    この恐怖が、一瞬でこの覚悟を揺らがせた。

    こんな事をしてまで、僕がしなきゃいけない事なの?
    なんで、僕じゃなきゃいけないの?

    水龍の一族の血、過去と未来が交わる不思議な運命。

    なんで僕なの。
    昔から継がれてる運命…。


    ……キーファ、
    君はこんなものが欲しかったのかい?




    …ザシュ!

    「ぅ…ぐ!」

    敵の爪が僕の肩を切り裂いた。

    普段なら、こんなの当たらないのに…!
    ちゃんと弾けるはずなのに…全てがうまく行かない。


    「…く、そお!!」

    水龍の剣をぎゅうとつかみ、斬りかかる。
    …肩から血が吹き出してる気がするけど、痛みが無いんだ。

    やれる。まだ大丈夫。

    敵の心臓を狙い、確実に息の根を止める。

    できる。
    殺せる。

    大丈夫…僕はまだやれる。



    「…っ次!「次、じゃないわよ!バカアルス!!」
    「ってぇ!」

    息を整えて、次に備えようと顔を上げた時だ。
    後ろから声が被り、何かに頭をべし!と平手打ちされた。


    「…っ!?まりべ…。」
    「ひぃい!あんた何その肩の傷!死ぬわよ!?」
    「いつ起きたの!?そんな事より、傷は…。」
    「バカ!あんたの方が重傷でしょ!こっち来なさい!」
    「いて、いてててっ!耳やめてってば!」

    僕の発言お構いなしに、マリベルは僕の耳をぐいぐいとひっぱる。
    そのまま僕は、強制的に船の甲板まで引きずり戻された。



    「ほら、そこ大人しく座んなさい。」
    「……。」
    「そんな怪我で、いつまで戦うつもり?」

    甲板に胡座をかいて座る。
    その隣にマリベルがちょこんと座った。
    …その身体の動きを見ると、傷の後遺症はなさそうだ。

    「マリベル、身体は大丈夫なの?」
    「お陰様で。この通り、ピンピンしてるわ。」
    「そっか…よかった。」

    いつも通りの彼女を見て、今まで張ってた気持ちが、少し緩んだ気がした。

    今回はかつて無い酷い怪我だったから、意識が戻るのが誰より遅かった。
    …ふと、もう2度と目覚めないんじゃ無いかと思った。
    だから、今すごくほっとしている。


    「そんな事より、あんたの方よ。全く…何してんのよ。」
    「どういう事?」
    「ガボに聞いたの。みんなに心配かけて…あんた鏡見た?今すごく酷い顔してるわよ。」
    「……。」
    「あんたらしく無いわ。」


    …らしく、無い?
    僕らしいって、なんだっけ。

    マリベルの言葉が、頭の中をふわふわしている。
    その中で、脳内を1番占めている言葉が口に出ていた。

    「……まだ、足りないよ。」
    「え?」
    「足りないんだ。もっと倒さなきゃ。魔物を殺さなきゃ。」
    「アルス?」
    「マリベル、ごめん。僕が弱いから、君を傷付けてしまった。僕はもっと強くならなきゃいけない。みんなを守れるくらいに。もっと…もっと。」
    「……。」
    「だから、僕はもっと闘わなきゃいけない。みんなの為に、強くならなきゃいけないんだ。」

    そう言い、僕はまた水龍の剣に手を伸ばす。
    その手を、マリベルがカルタみたいにバシー!と叩いた。

    「いったぁ!」
    「いいから、落ち着きなさいって言ってるの。」
    「言ってないじゃん!叩いてるじゃん!」
    「うっるさいわねー!アルスのくせに口ごたえするんじゃないわよ!」

    マリベルはいつも僕に容赦ない。すぐ叩く。
    網元のお嬢様なのに、昔から本当に手が早い。
    口も悪いし…アミットさんもおばさんもとても穏やかな人なのに、マリベルだけ攻撃的なのはなんでなんだろうといつも思う。

    そう、心でごねながら、僕はマリベルに叩かれた手を、もう片方の手でさすった。
    そのまま、さする僕の手に、マリベルの手がそっと添えられる。

    …添えられた手が、思いの外小さくてびっくりした。


    「…そうよ。あんた、アルスのくせに生意気なのよ。」
    「え?」
    「仲間のために、世界のために?あんた一人でやろうとしてるわけ?冗談じゃない。」
    「……。」
    「あんた一人じゃ何もできない。あんたは強いけど、あんただけでやる事じゃない。あんたが一人で背負う事じゃない。」
    「…まり…。」
    「忘れたの?これは…あのバカ王子と、みんなで始めた事なのよ。」


    久々にキーファが言葉に出て、ハッとした。

    キーファと別れてから、マリベルはあまりキーファを話題に出さなくなった。
    昔はキーファの事ばっかりだったから、余計にそう感じる。

    …多分、マリベルはキーファの事が好きだったんだと思う。
    だから、急にあんな別れ方になって、苦しかったんだろうな。

    そう思っていたから、僕もあえて話題には出さなかった。
    僕にとってキーファは特別な人だったけど、マリベルにとってもキーファは特別だったんだ。


    「…だからだよ。僕がやらなきゃ。」
    「バカね。そこに私も入れなさいって言ってるの。」
    「マリベルは僕たちに巻き込まれただけでしょ。」
    「はぁ?私を仲間外れにする気?」
    「そうじゃないよ。もー、すぐ捻くれて受け取るんだから。」
    「うるさい。あんたがなんと言おうと、私はあんたとバカ王子と同じ立場に立つし、足は引っ張らないって決めてるの。」
    「……。」
    「だから…あんたは1人じゃ無いんだから。もっと私の事…頼んなさいよ。」

    そう言い、マリベルが顔を下に向ける。
    声が小さくなったように聞こえた。


    「で、も。」
    「いい?あんたは私の事をこれからも守る。そしたら…今度は私もあんたの事守るから。」
    「……。」
    「私も、もっと強くなるから。」
    「……。」
    「1人で、どんどん先に行かないで。」


    …あぁ。
    マリベルの手、あったかい。

    とても小さいけど、あったかいな。

    生きて、側に居てくれる。
    僕の事、ちゃんと見ててくれる。

    …そう思ったら、なんだか背中の力がカクンと抜けた。


    「そっかぁ…。」
    「…は?あ、ちょ!?」

    フラ…と体が後ろに倒れ、僕はゴンと甲板に頭を打った。
    そのまま僕は胡座の脚を解き、全身仰向けになった。

    目の前には、広い大空が見える。
    色は変わらず澱んでいるはずなのに、なぜだろう…少し軽くなった気がする。


    「バカアルス!急に倒れてびっくりしたでしょ!」
    「あーごめん…なんかチカラ抜けちゃって。」
    「安心しなさい。あんたはいつも抜けてるわよ。」
    「なにそれ…って、いてて!腕、痛い!」
    「気が抜けたからでしょ。ほら、ベホマ!」
    「ありがと…。いや…急にふらってしたんだよね…気が抜けたからなのか、血が抜けたからなのか(笑)」
    「バカ。全然笑えないわよ。笑わせ師やり直しなさいよ。」

    そう言い、マリベルの手が僕の手から離れた。

    …その小さな手を、僕は追いかけてぎゅうと握る。


    「…!」
    「…ごめんね、マリベル。ありがとう…。」
    「……私も。心配かけて…悪かったわよ。」
    「うん。」

    そう言い、僕はゆっくり目を閉じた。
    マリベルは大人しく、僕に手を握られている。


    「そういえばさ…さっき泣いてた?」
    「はぁ!?泣くわけないでしょ!」
    「ほら…1人で行かないで、の辺り。泣いてたでしょ?」
    「っばーーかばかばか!アルスの為に!?このマリベル様が!?!?はーーぁ??泣くわけないでしょ!!」
    「…素直じゃないなぁ〜もう。」

    そう言い、2人でアハハ、と笑った。








    「みんな、ごめんなさい。僕、ちょっと心配かけちゃって。」

    その日の夕食時、久々に4人集まった食卓で、アルスがいつもの顔で謝罪した。

    「アルス、元気になって良かったぞ!」
    「そうね。私こそ、知らない間にアルスに責任を押し付けていたわよね。ごめんなさい。」

    ガボとアイラがアルスにそう声をかけた。

    「ふん!アルスのくせに生意気なのよ。色々1人で背負うとか。100年早いわ。」
    「ひゃー!マリベルもっと優しい言葉言えねーのかよ〜アルスはマリベルの事スッゲェ心配してたんだぞ?」
    「大丈夫だよ、ガボ。マリベルからはさっき、泣きながら心配したよ〜って言われたから。」
    「ちょっと!誰が泣いたって言ったのよ!泣いてないって言ったでしょ!?」

    食卓の真向かいからアルスにツッコミを入れた。

    「ふふ!この言い方がマリベルなのよね。ガボの心配はいらないみたいよ。」
    「そうなのか??ニンゲンの感情は難しいなぁ?」

    そう言い、ガボが頭を捻る。

    「で、せめてもの気持ちに、今日は実家から生きのいいヤツ貰ってきました〜!みんな沢山食べてね。」
    「ウガァ!これアルスが捌いたのか!?うまそうだな!」
    「じゃあ遠慮なく頂きましょうか。」

    そして、各々が豪華な食卓に箸をつける。


    …アルスに闘いは似合わない。

    アルスは、こうして漁師の息子として、みんなを笑顔にさせる事が天職なんだと、見ていて思う。

    今はまだ、その時ではないけれど。
    いつかみんなで、世界を平和に出来たなら。

    アルスには、私が剣は持たせない。
    …一生ね。


    「ん??…マリベル、食べないのか?この魚のタタキ?うまいぞ?」
    「え?食べるわよ。」
    「でも、マリベルは病み上がりだから無理しちゃだめよ?」
    「アイラ、ありがと。」
    「大丈夫だよ。マリベルが食欲ないとか、滅多にないもんね。」
    「ばっ!あんたが私の何を知ってんのよ!!」

    そう、私がいつもの口調で言うと、アルスがまたいつもの顔で笑った。

    その笑顔は、
    キーファがいた時より、少し大人びた顔。

    ちょっとだけ…たくましい海の男の人に見えた。





    【完】


    アルマリ…導入編。
    そのくらい淡い恋心。

    幼馴染からの恋心…いつ変化するか難しいよな。
    どっちが先に気づくのか…。
    うーん、分からない笑

    ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


    2022.08.30 黒羽

    追伸
    2022.08.31 くうとむ様(@kkei998)より、この小説のファンアートを頂きました!
    Twitterにあるので皆様是非ご覧下さい!
    挿絵許可を頂きましたが、ポイピクに挿絵機能がなく…無念です。
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