想いは言葉にせず綴るカリカリとサニーは机に向かい、ノートに文字を綴っていた。
日記を書くことを日課にしているのである。
今日あったこと、楽しかったこと、新しく覚えたこと、失敗したこと。
自分自身に問いかけるように、「答えは、いつ?」と書いた文字を眺めた。
メンバーと出会って、アルバーンと出会って、
自分の世界がぱっと明るくなった気がしていた。
最初は友情だった。それが家族のような愛情にかわり、だんだんそれだけでは物足りなくなってしまった。
日記を閉じると部屋の明かりを消してベッドへ潜り込む。
月の光が部屋と自分を優しく照らす。
ネギの形の抱きまくらを抱きしめながら目を閉じる。
そこには優しく微笑むアルバーンの顔。
抱きまくらに顔を擦り寄せて、込み上げてくる感情を押し殺した。
一度アルバーンにこれからもずっと一緒にいれるといいな、と言ったことがあった。
その時彼は目を見開いて数秒黙った後で、ニッコリ笑って「そうだね!」と。
サニーはその微かな目の光の揺らぎを逃すことはなかった。
彼にはきっと元の未来で待っているものがあるのかもしれない。
彼は元いた世界のことは話さない。
一度メンバーで遊びながらピュアリティテストをしたときにあまりのアルバーンの点数の低さにみんなが笑ったが、彼の生きるためには必要だったんだという言葉は、嘘ではないのだとサニーは思っていた。
比較的裕福に過ごした自分には抱えきれない程の苦労と努力をしてきたに違いない。
それを安易に笑い話にしてしまったことをサニーは後悔していた。
しかし、それを受け止めて、抱きしめてあげたいとも思った。
毎日アルバーンへの想いが募る。
この想いは生涯胸の奥に秘めると決めたサニーは今日も彼の前で笑う。
自分が笑えば、彼も楽しそうに笑ってくれるから。
笑ってないと、苦しくて泣いてしまいそうだから。
何度「好き」と口に出そうになったか。
この想いを伝えられたら楽になるのだろうか。
でもそれ以上に今の生活を壊したくなくて。
サニーは日記に誰にも言えない気持ちを毎日綴り、ベッドで眠る。
気持ちを伝えられなくても、一緒に居られる日々を噛み締めて、今日もまた朝を迎えた。