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    TTK_gentei

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    赤い糸大作戦シリーズ(告白大作戦)https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17474345
    のおまけです。

    告白大作戦、のおまけ あの糸が消えてからしばらく、すっかりクリアになってしまった視界の中で自分と類は順調なお付き合いというものを行なっていた。スキンシップ…は別に減ってはいないしどちらかと増えてはいるが、まぁきちんとお互いが好き合って恋人になっているのだからあの時よりはよい関係を築いているのだと思う。

    「類、言っていた映画のパンフレットはこれだったよな」
    「あぁありがとう!あの時一緒に見た映画の前進はいつの間にか上映が終わっていてね…配信が始まってから見てはいたんだけどできれば監督のコメントが見たかったから助かるよ」
    「気にするな、オレも好きでたまたま買っていたものだったから」

     あれから数回、今度は自分達らしいデートも行なって、ようやく自分としてもしっくりくる関係性になった気がしている。今は昼休み。こういう関係になる前から一緒にランチを取ることはどちらが言わずとも定番化していたものだが、今は約束として二人の時間をなるべく取るようにしていた。相変わらずショーの話が9割ではあるが、残りの1割でお互いの話もするようになって、より近づけたような気がする。
     赤い糸がいなくなって、もう自分達を繋ぐものは見えないものだけになってしまった。けれど見えないからこそ、こうして話をしたり、同じ時間を共有することで確かなものを感じることができるようになっている。それはあの経験があったからこそ気付けたことなので、いつも思い出す度にあの小指で揺れていた糸へありがとうと心の中で伝えていた。そうとうな紆余曲折があったけれど、なんだかんだここにいられるのはあいつのおかげだから。

    「あれ、司くん。これ何か挟まっているようだけど…」
    「え?レシートでも挟めていた…か…」

     類の言葉にパンフレットを見ると、合間から一枚の白い便箋が躍り出てきた。はて、そんなものをいつこのパンフレットに挟んだものだったか。類がその紙を手に取り目を通してびしりと固まる。
     …うん?なんだかまずいものだっただろうか。自分もその紙を覗き込んでびしりと固まった。

    「る、る、類!!いいかその紙を見るなすぐ渡せ今すぐ返せそして記憶を消せ!!!!」
    「絶対に嫌だ僕はこれをスキャンしてデータ化したのちに紙が劣化しないようにラミネート加工する事に決めたから今すぐ家に帰る」
    「やめろ!!おいこら服の中に入れるな脱がすぞ!!」
    「やめてここは学校だよ!不健全だよ!」
    「どの口が言うんだ!!!!」

     告白をどうするかと考えた時、そう言えば勢い余ってラブレターのようなものを書いて、でもこれじゃないとおもって手近なパンフレットに挟み込んだ気がする。あとで捨てようと思っていた。それをすっかり忘れていた…が本人に見つかるなど想定外だった。こんな小っ恥ずかしいもの今すぐ焼却処分したいのに一足先に硬直から抜け出した類に奪われてしまい、絶対的抗戦のかまえを取られている。やめろ、返してくれ。このタイミングで取り返せなかったら一生保存されそうで怖い。

    「司くん!愛してるよ!」
    「オレだって愛してるけどそれとこれとは別だわ!」

     馬乗りになって逃してなるものかと本気で抵抗する。があちらも本気でこの攻防は決着がなかなか着きそうになかった。そんなことをしていると授業の開始5分前を告げる予鈴がなる。それに気を取られて一瞬力を抜いたせいで、類は自分の元から抜け出し走り出してしまった。やばい、このまま逃したら大変なことになる!主にオレが!

    「授業がはじまるから早く帰ったほうがいいんじゃないかな!僕はこのまますこしお暇するよ!」
    「馬鹿をいうな死ぬまで追いかけてやる誰が逃すか!」
    「フフ、そうは言ってももう糸はいないから一度見失って仕舞えば僕のことは見つけられないだろう?!」
    「オレをあまり舐めるなよ、糸が無くとも絶対に見つけ出してその紙は塵にしてくれる!」
    「あ、今いい感じで悪役っぽかったね」
    「うるさい!その話がしたくば止まれ!」

     走りながら軽口を叩き合う。すれ違った教師や風紀委員から咎める声が聞こえてくるが今だけは見逃してほしい、だって死活問題なのだ。まったく、ロマンチックもドラマチックも一切ない馬鹿みたいな日常だが、なんだかんだでこうしてさわがしいコメディショーのような毎日だが。結局それがオレ達らしいということなのだろう。

     馬鹿馬鹿しくって笑えてくる。前を行く類も笑っているのが見えた。でもそれとこれとは別なので逃したりはしないが、いつまでこの追いかけっこを続ければいいのだろうか。

     本鈴がなった。でも走る足は止まらない。
     本日も、オレ達の日常は非常に平和である。
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    PAST赤い糸大作戦シリーズ(告白大作戦)https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17474345
    のおまけです。
    告白大作戦、のおまけ あの糸が消えてからしばらく、すっかりクリアになってしまった視界の中で自分と類は順調なお付き合いというものを行なっていた。スキンシップ…は別に減ってはいないしどちらかと増えてはいるが、まぁきちんとお互いが好き合って恋人になっているのだからあの時よりはよい関係を築いているのだと思う。

    「類、言っていた映画のパンフレットはこれだったよな」
    「あぁありがとう!あの時一緒に見た映画の前進はいつの間にか上映が終わっていてね…配信が始まってから見てはいたんだけどできれば監督のコメントが見たかったから助かるよ」
    「気にするな、オレも好きでたまたま買っていたものだったから」

     あれから数回、今度は自分達らしいデートも行なって、ようやく自分としてもしっくりくる関係性になった気がしている。今は昼休み。こういう関係になる前から一緒にランチを取ることはどちらが言わずとも定番化していたものだが、今は約束として二人の時間をなるべく取るようにしていた。相変わらずショーの話が9割ではあるが、残りの1割でお互いの話もするようになって、より近づけたような気がする。
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