きす、まい、ふっとー。 大災害の後、世界は新しくなった。
人々が突然燃えることは無くなったし、精神の強さが肉体の強さに反映されてあべこべ強くなったり。見たこともない巨大生物が出現したり。それを討伐したり、なんだりかんだりと忙しい。
色々な変化があった中で、最近シンラが1番驚いたというか、唖然としたというか、とにかく度肝を抜かれたのは、恋人の桜備大隊長が極度のーー
ーーー「脚フェチ」、だったことだ。
「…すまん!」
固いだろうに、フローリングに直に座り込み、パンッと顔の前で大きな手のひらを合わせた桜備に、初めシンラは何を謝られているのか全く見当がつかなかった。
今朝も裏返しで洗濯機に入っていた靴下のことか、それとも明日の休みが流れたのか、はたまた、まさかとは思うが浮気でもしたのか、、いや一万歩以上譲ってもそれはないから、付き合いでキャバクラ行ったとかかな。
思考はどんどん悪い方に向かっていく。
「何のことですか?」
シンラはむんと唇を曲げて、すまんと謝ったあと無言になっている恋人に先を促す。
すると桜備は大きな身体縮こめ、いつもは快活な声をひそめて、ものすごーく小さな声で「その事」を白状した。
「俺…お前の脚が凄い好きなんだ」
「……?ありがとうございます」
シンラはなんだかよくわからないが褒められたと思って、反射的にお礼を口にした。すると桜備は意図したことが上手く伝わらなかった事を察したのか、さらに言葉を重ねる。
「あ、いや。つまり、前は感情が高まって発火すると危ないからって、エッチのときは脚あんまり触らせてくれなかっただろ?でも今はそうじゃない。だから、その、」
ーーもっと脚触らせて欲しいんだ。
思い切った様子でもう一度手を合わせる桜備のお願いに、シンラが抱いた感想は、『微妙にマニアックだな…』だった。
別にとんでもない性癖ってわけでもない、と思う。そんなに恥ずかしがって、床に正座してまで言うことかな?縛らせてとか叩かせてとかあるいは叩いてとかより全然マシじゃないか。
シンラは桜備が何故そんなに思い悩んでいたのか理解できなかった。だから、あっさりと了承した。
「そんなことで、今日帰ってきてから無言がちだったんですか?」
「あぁ。すまん」
「別に構いませんよ。もう発火はしないですし」
軽い気持ちで、どうぞと、ソファーに座ったまま膝を伸ばして、かたくなに正座で座り続ける桜備の目の前に足先を差し出した。ちょうど風呂にも入ったし躊躇いはそんなになかった。ちょっと「触られる」くらいなんてことないと油断していた。
すると桜備は、
「?!本当か?!」
と、ここ最近ちょっと見ないくらいに目を輝かせた。大好物の獲物を目の前に差し出されたライオンみたいに元気よくずいずいと近寄ってきた巨体に、シンラの伸ばした足先は動揺で揺れた。だが、勢いに負けて引っ込めようとする前にシンラの足は、嬉々として伸びてきた大きな両手に大事に包み込まれてしまった。
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「…ッ。まだ、ですか?」
「ウン。まだ…まだ触りたい」
先ほどから、桜備はシンラの脚に夢中だ。
ーシンラの脚は本当に珍しいくらい真っ直ぐで綺麗で、膝下からの長さもいいし、足首の細さも最高だし、ハムストリングも弾力あるから、腓腹筋から下とか足裏もこうやって触ってみるとーうんぬん、かんぬん、
口では小声と早口でシンラの脚について忙しく感想を述べながら、両手はうっとりと膝裏からふくらはぎをするするとさすっている。
特に発火能力があったときは特に触(さわ)れなかった足先と足裏に特にご執心のようだった。ぴちゃぴちゃ、とへこんでいる土踏まずを舐めてから甘く噛まれた。
「..ンっあ」
シンラはぞわっと駆け上がってきた感覚につい声を出してしまった。触られまくって分かったが、実は、脚はシンラの弱点でもあったらしい。もちろん性的な意味合いで。
ソファーの上に乗り上げた桜備が、シンラの漏らした吐息を拾って、息だけで笑った。
「脚だって丁寧に開発すれば気持ち良くなれるんだぞ」
そう言って、ちゅっ、ちゅっと足の爪の生え際(きわ)を小指から順に舐めていく。指の間も余さずにゆっくり、見せつけるように丁寧に熱い舌になぶられて、シンラはわなないた。
「あっ…….ッ…ぅ〜〜っ」
最初はくすぐったいだけだったのに、次第に腰に這い上がってき始めた快感の波をなんとか解消しようと身をよじったり、頭を振ったり、手のひらを握ったり開いたりして気を紛らわす。
甘かった。脚くらい別に好きに触ってもらっても構わない、と軽く考えていた先程の自分に強い警告をしてあげたい。というかこんなに舐められるなんて聞いてない。これはへんたいなプレイだ。そしてそれでしっかり感じてしまう自分も大概だ。既に血が集まり始めている自身を恨めしく思い呻く。
「...ッぅ、うぁぁ」
足の甲の骨の浮き上がったところをれろっと舐められてシンラはついに仰け反って裏返った悲鳴をあげた。「ひぃ.んっ」背筋から尻の辺りがぞくっとして。ぴんと足が突っ張る。
ギブアップ、と革張りのソファーを数回叩く。一旦止まった動きに、はぁ、はぁと完全に上がった息をなんとか整えて、シンラは桜備の方を見てギョッとした。
あ、やばい。桜備さん、目が完全にキマってる。
普段は割とエッチの最中も喋ることの多い桜備だが、本当に興奮した時は獣みたいな目をして、無言で責めてくるのだ。そうなると、シンラがどんなに本気で泣いても絶対離してくれなくなる。シンラだけが知ってる桜備の悪癖だ。
「秋樽さん、あの、そろそろフツーにしましょ?」
「ンー。うん」
桜備は名残惜しそうに足から手を離したが、返ってきたのは明らかな生返事。直後、抱き上げられ、すたすたと寝室に連れていかれる。安定を求めて大人しく逞しい首筋に縋りついたシンラの耳に届いたのは、
「もうちょっとだけ頑張ろ?な?」
第二ラウンド開始の合図だった。
あぁ、終わった。
シンラは明日行こうと思っていた映画のチケットが無駄になる事を静かに嘆いた。
続、。かない。
第二ラウンドでは、脚に構われすぎて、挙げ句の果てに自分の脚に嫉妬し始めるシンラ、を書こうと思ってたけど、オチが思いつかないのでここで一旦終了に、しました。はい。11月のゴリゴリ作文に戻ります。
いやホントはね、しょくて、にヤられてしまうシンラくんを書こうと思って支部でhow to しょくて小説の書き方なんてものも読んで見たんですが(検索したら本当にあったんです)
そしたら、シンラくんとんでもないことになった挙句、え、ちょ、これ、桜さんにどうやって助けてもらうん?これ?え?ってなって書く前に挫折した。
代わりにえっちなの書きたい欲を発散させるために、これを書きました。
脚フェチの方に捧げます。
あと桜さん靴下裏返しネタは民の呟きから頂いております🙇♀️毎度スミマセン。私は民の呟きを食べて生きながら得てます。