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    サネキチ(隔離)

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    サネキチ(隔離)

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    上杉と主人公の話

    悪魔との会話 薬局の前。一足先に買い物を終えた上杉と一緒に皆を待ちながら、ぼんやりとうす暗いアーケード街を眺める。
     先ほど、上杉の交渉でうまく切り抜けられた闘いがあった。それについて自慢げに語る上杉に俺はテキトーな相槌を打つ。しばらくそうしていると上杉が突然しゃがみ込み、大きなため息と共に発した。

    「たまにさぁ ノリ良いやついるじゃん」

     一瞬何のことかと思ったが、今までの話の流れからして悪魔のことを指しているのだと察することができた。

    「おれ様のダジャレに笑ったり、ナンパに乗ったり、普通に話せるやつとかいるじゃん。なーんか嫌なんだよなー、それが」
    「…嫌?ネタが尽きそうって話か?」
    「ちがーう!ちがう!」
    「じゃあなんなんだよ」

     上杉の言わんとすることがいまいち掴みきれず小さく息を吐きながら、俺も上杉にあわせてしゃがみ込む。上杉はその様子をちらと見ながら話を続ける。

    「人間みたいじゃん。倒すのしんどくならない?倒すならもっと言葉も通じない怪物みたいなのがいいぜ、おれ様は」

     そんなの、考えたこともなかった。

    「でも見た目は全然人間じゃないし、殺さなきゃこっちが殺されるんだ。そんなこと言ってる場合でもないだろ」

     自分がそんなことを気にしない冷たい人間だと言われたようで、少しムキになって言い訳をするみたいに捲し立ててしまう。
     でひゃひゃと笑いながら「分かってる、分かってるって」と話を終わらせようとする上杉になんだか焦る気持ちになった。違う、上杉の気持ちを否定したいわけじゃない。
     咄嗟に訂正したくて上杉のほうへ身体を向けると、それに驚いた上杉は思い切り転び、ちょうど薬局のドアから出てきた南条の足へとぶつかっていった。あ、やばい、と思わず笑みが溢れたところで、南条の怒りの声がアーケード街に響き渡っていった。


    「たしかに、南条より悪魔のほうが可愛げがあるときはあるよな」

     上杉の耳元でそう呟くと、しーっ!と言いながら、楽しそうに唇の前に人差し指を持ってきて笑っていた。
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    もえ(BPB)

    DONEブ主で前に上げたものの再掲ですが。
    拙宅受けピアスは基本的に輪王寺咲也で統一してますが、書いたものによって微妙に世界線がズレてますね。今回はあんまり自分から仕掛けていかないピアスのようです。
    二人の休みと満月と ザーン…ザザーン…
     パチパチパチ…
     潮騒と薪のはぜる音が響く静かな海岸。暗い雲間から覗く仄かな月明かりと焚き火が咲也と秀彦を照らしていた。
    「みんな寝ちゃったっスね−」
     長い枝で薪をつつく秀彦がのんびりと言う。咲也はステンレス製のマグカップを両手で包みながら答えた。
    「そりゃもう夜中だしな」
     日のある内はぽつりぽつりといたキャンパーは、今はもうテントの中だ。日暮れ近くなって海岸にやってきた二人をさして気にするでもなく、それぞれバーベキューにいそしんでいたが、朧な満月が天頂に差しかかる頃には寝るか引き上げるかのどちらかだった。
     今日は秀彦のたまの休みで。前々から満月の日に浜辺で焚き火をしたいと言っていたのだが、奇跡的に咲也の休日とも重なって、このチャンスを逃すまじと出かけてきた。何しろ二人とも忙しい。秀彦は中堅のタレントとして活躍中、咲也は心理学の准教授をしているがやりたいことが多すぎて大学から戻らない日が多々あった。一緒に暮らしているのに互いの顔を見ない日が続くこともままあって、だから何というかこの時間は天からの贈り物のようだった。
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