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    しきる

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    しきる

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    🛸🤘💫心中ネタ。

    #Renkyoster
    Lucake

    月の兄弟は新月に沈む〈誰そ彼時〉

    「キョウは僕とレン、両方が同時に溺れてたらどっちを助けてくれる?」
    夕日が射す教室の中、アスターは課題の手を止めて、机の向かい側に座るキョウにぽつりと投げかけた。
    「なんだ、それ」
    スマホの画面を見つめていたキョウは顔を上げ、訝しげな顔でアスターに向き合う。
    しかし、天つ人は陽に照らされた空を見つめており、キョウと視線が交わることは無く、ただ無言の空間に答えを促された。

    「俺は、」


    〈彼は誰時〉

    「キョウはさ、俺とアスター、両方が同時に崖から落ちそうになったら」
    気怠く、だけど淡い光が清々しさを感じさせる朝の空気の中で、隣に並ぶレンはふとキョウに喋りかけた。
    ドクンと心臓が鳴る。この質問は、どこかで。
    「どっちを助ける?」
    思わず歩が止まり、キョウはその場に立ち尽くした。
    レンは何も言わず、キョウの少し前で、彼を振り返り返事を待っている。

    「…俺は、」


    〈夜陰〉
    月のない夜だった。雲ではなく、地球が月を隠していた。
    だから、風がいくら雲を運んでも、キョウが一番望むそれだけは見えることは無かった。
    闇に伸ばした手をだらりと落とし、キョウはゆっくりと振り返る。
    兄弟たちは何も言わず、虚ろな瞳のキョウの元へと向かう。
    「一緒だよ、何も怖くない」
    キョウの震える右手を、アスターが掬い、そっと包み込む。
    「大丈夫。…一緒に、いこうね」
    レンは後ろからキョウを覆うように優しく抱き締めた。

    『俺は、どっちも助けない。俺も一緒に飛び込んで、それで終わりだ』
    『俺も、一緒に逝く』

    地面から足が離れる。浮遊感、のち逆さまの景色。


    ──どうして、最期の時に月は見えないのだろう。
    陽の光は、全て闇にかき消された。
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