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    ruruyuduru

    @ruruyuduru

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    ruruyuduru

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    玖エイ。ダーリン呼び最高~~の気持ちで思うがまま書いてたら仕上がってた産物。玖夜が女に化けてる。

    ##玖エイ

    ヤマもオチも意味もない遠く聞こえる活気ある市場の喧騒をBGMに、エイトは心のそこからゲンナリしていた。人目につかないように細心の注意を払っていたはずだ。目的の裏通りに入るときには、何度も周りを見渡した。近くに誰もいないことを確かめてから、不定期にひっそり営業していると噂の怪しげな露店にようやくたどり着いたのだ。
    食料の買い出しや街の見回りついでに何度か足を運んでみたが、これまではずっと空振りで無人の通りを覗き込むだけに留まっていた。
    そしてようやく訪れた念願の日。エイトはあえて店主に声をかけることも目を合わせることもせずに、雑然と並ぶ商品のひとつひとつを入念に吟味していた。
    薄汚れた敷物の上に広げられているのは、動物や植物などが彫刻されたワインの栓に似た道具、それから低温で溶ける蝋燭に柔らかな素材でできたロープなど、エイトがもといた世界でも馴染みのあった品々──もといアダルトグッズである。エイト同様なんらかの拍子で紛れ込んできたものもありそうだが、大半は異世界感のある斬新なデザインが取り入れられている。現状はニートさながらの生活を送ってはいるが、ときにインスピレーションを得たい衝動に駆られるのは職業病のようなものだろうか。
    モンスターの性器を参考にしたと思われる見た目にもおぞましいオナホや凶器じみた形状のディルドを目の当たりにしたときは、股間がヒュンと縮んだような気がしたが。
    とにもかくにも、目新しいアダルトグッズの数々をエイトは夢中で眺めていた。さらに言えば、可愛い八雲や好奇心旺盛なオリビンと楽しむためのお土産のひとつやふたつ買って帰るのもいいかもしれないと考えていた。
    だからまったく気付かなかった。いつの間にか隣に立っていた人物の気配に。無愛想だったはずの店主が鼻の下を伸ばしていたことに。
    「こんなところにいたのね、ダーリン」
    とろりとした甘い声を耳の中に流し込まれる。反射的に飛び退いていた。焦りとも恐怖ともつかない感覚に掻き立てられて。全身に鳥肌が立っていた。“ダーリン”という呼称に大袈裟なまでに反応した事実が証明している。いつの間にか隣に立っていた美しい女の正体は、自分のよく知る妖狐だと。
    「……私宛の贈り物を選んでくださっていたの?」
    頬を赤らめて、ゆったりとした袖口で唇を隠すようにしながら発せられた恥じらいと期待の両方を孕んだ艶やかな声はやはり女性的で。妖術で声も姿形も変えているのか、いつもより低い位置からエイトを上目使いで見つめる色違いの両目は涙の膜で潤んでいた。
    とんだ役者である。同性愛者のエイトにはまったく効果がないが、妖艶な美女の出現に店主のテンションが急上昇していることは想像に難くない。今頃は脳内で淫らな妄想が繰り広げられているのだろう。
    「よし、帰るか!!」
    エイトは努めて明るい声を出す。先ほど本能的な恐怖を覚えた“オモチャ”が玖夜の視界に入らないことだけを祈りながら、大股でその場を立ち去ろうと試みる。
    「そんな、遠慮なさらないで。ダーリンが使いたいなら……私……」
    しかし、三歩も進まないうちに色付いた指先に囚われた。よりにもよって右手首を。捕まれたのが服ならば、破けるのも覚悟で全力逃亡を図っただろうに。
    「兄ちゃん、こんな健気で美人なお嬢さんの申し出を無下にしちゃあいけないぜ」
    「いや、そういうんじゃないから」
    健気じゃないしお嬢さんじゃないし、他にもいろいろ誤解がありそうだが逐一訂正している暇はない。どうすればこの窮地を脱せるのか。エイトはいつにないハイスピードで頭を回転させる。
    「シャイな彼氏だなあ……でもわざわざ見に来たってことは興味あるんだろ? 仕方ねえ、お嬢さんが好きなやつどれでも好きなもん1個くれてやる」
    エイトの目論みは、店主の一言で阻止される。今夜の“オカズ”、もとい妄想の糧を得るためだけに。この上品な見た目の女が、みずから選んだオモチャに乱される。その様子を想像すれば、店主の欲は満たされるに違いない。実際に喘がされて泣かされるのは他でもないエイトであるとも知らずに。
    「よろしいんですか……? じゃあ私、精いっぱいサービスしますね」
    ダーリン。まるでハートマークでもついていそうな声色で、受け入れがたい呼称を用いられる。その単語に、あるいは声に魔力でも込められていたのか。強引に背後を振り向かされたその先では、身の毛もよだつおぞましいアイテムが、華奢な手の中に握られていた。





    22.04.29
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