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    穴沢弐段

    @toxic_for_us

    日々是修行中

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    穴沢弐段

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    夏イベアークティック・サマーワールド二次小説
    リンぐだ♀/道ぐだ♀
    ほん怖(ほんのり怖い)
    『お つ か れ さ ま で し た。』

    #FGO
    #リンぐだ♀
    #道ぐだ♀

    ほーんてっど蘆屋今夏の微少特異点修復。紆余曲折ありながらもせっかくだから(?)と数々の施設を堪能しその中のひとつホーンテッド鬼屋に1人でお化け屋敷を探索することになった藤丸立香。
    「う~、やだなぁ。怖いの本当は苦手なのに…」
    恐怖を紛らわすためかついつい独り言が多くなる。
    赤く彩られた薄暗い照明のある廊下を渋々と1人で歩み進んでいく。

    「…ッ!!」
    廊下の先に人の気配があった。そこには見覚えのある女性の後ろ姿。腰まで伸びた薄い鈍色の髪。女性がゆっくりと此方に振り返る。
    「藤丸…?」
    「オルガマリー所長…!?」
    気が付けば所長の後ろにカルデアスが現れる。所長の身体が浮き上がりカルデアスの方向へ吸い込まれるように遠ざかって行く。
    「やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいや……! だってまだ何もしていない!生まれてからずっと、ただの一度も、誰にも認めてもらえなかったのに―――!」
    「所長…!!」
    思わず所長に近付きその手を掴み引き戻そうと考えた。
    だがその手は届かず所長はカルデアスに飲み込まれていった。
    「…!!」
    目映い光が放たれ目が眩む──。
    目を開けた時にはお化け屋敷の薄暗い廊下の景色があった。

    「…そう、だよね…今ここにオルガマリー所長がいるわけ無い…よね。」
    そう自分に言い聞かせるように呟く。
    「自分に合わせたお化け屋敷って言うけど始めからコレかぁ…」
    この先は何が来るのだろう…と不安になり既に引き返したい気持ちを何とか押し退け先へ進む。
    その先にまた人影が見えた。

    「黒いジャンヌ…!?」

    まさか今までの特異点全部…!?

    冬木、フランス、古代ローマ、、ロンドン、四海オケアノス、北米、キャメロット、エジプト、ソロモン。
    新宿、アガルタ、下総国、セイレム。
    ロシア異聞帯、北欧異聞帯、中国異聞帯、インド異聞帯、ギリシャ異聞帯、ブリテン異聞帯…
    平安京、シベリア、ローマ帝国…

    「うぇ…何か吐きそう…」
    思えばとてつもない冒険劇を繰り広げて来たとは思う。
    今はあの時のように頼れるサーヴァントやマシュもいない。大小様々な数々の特異点。そこにいた人達の思い。自分達がおこなった所業を思い起こされ常人ならば目を瞑り、耳を塞ぎ逃げ出したくなる衝動に駆られ辟易し、意識朦朧になりそうな中、立香は毅然と先へ進んでいく。
    大丈夫、みんなの事は忘れていない。私は本当の君達を見ているから、知っているから。今だってこれからだって怖いけど取り敢えず今はこの屋敷から出なくちゃだから!コレはただのお化け屋敷!
    そう自分を奮い起たせゴールを目指し先へ進んで行く。そう思いながらもこの赤い、紅い、朱いこの色はあの時の血の色と同じ月の色を思い起こさせる…

    「おや、ようやっと来なすった」
    「酒呑童子…!」
    やっとゴールに来た!終わった…!と安堵しながら酒呑童子の元へ駆け寄って行く。
    「あらら、そんなに可愛らしく来られるとウチ辛抱できなくなってまうわぁ…」
    酒呑童子が立香の眼前まで迫りその手が腹部に軽く触れる。
    「あんさんの赤くて熱ぅい血が見とうなってしまいますやろ…」
    「ひっ…」
    思わず息を呑みその場にへたり、と座り込む。
    「どう…して…?」
    走り出して逃げたいが身体が恐怖で動かない。
    見上げた酒呑童子が不穏な笑みを浮かべながら此方を見下ろしている。その指先の爪が鋭く刃のように伸び立香の首もとに触れそうな程近付き──

    ふ、とその姿が欠き消える。

    『おつかれさまでした』

    聞き覚えのある声の方に目を向ければ薄暗く赤い光の中身の丈2mはあるであろう人影が此方に歩み寄ってくる。暗がりの中でもわかるその体躯、近付く程にその姿が鮮明になり肩脱ぎに五条袈裟を身に付けうす笑みを浮かべた男に見下ろされていた。鋭く長い爪を持つ男の手が立香の方へ伸ばされていく。
    立香は喉の奥から絞り出すようにやっとの思いでその男の名を呼ぶ。

    「……、リンボ?」

    男の動きが止まり一瞬面を食らったような表情になるが再び笑みを浮かべた表情に戻る。
    『さて?はて?如何いたしましたかな?あとらくしょんは終わりましてございますよ、マイ・マスター』
    男がおどけたように語りかけてきた。
    『どうやら手違いで設定が高れべるにされてしまったようで…些か堪えたかと思われお疲れのご様子。さて、立てますかな?』
    男が大きな手を差し伸べてきた。
    その物言いに立香は少し落ち着きを取り戻し助けて貰おうと差し伸べられた手を取る。

    「あ…道満、本物の道満だよね?」
    自分でも何を言っているかと思ったが道満の顔を見上げ助けを受けゆっくりと立ち上がる。

    男は立香の手を取りもう片方の手を立香の腰元にのばし抱き寄せる様に少女の身体を支える。
    男の口角が更に上がり犬歯を覗かせた笑みで応える。

    『はい。貴方の蘆屋道満ですとも…』

    ~了~

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