炎紛争と聖杯戦争が重なった世界軸
とあるマスターはこの紛争を聖杯の力で終わらせようとサーヴァントを召喚する。
そこで召喚されるアシュヴァッターマン
共に戦い抜く中、ふたりに主従以上の関係が芽生える。
初めての夜。互いの吐息は熱く体温は熱く想いは熱かった。
戦い続ける中、マスターはある思いに至っていた。その思いをアシュには悟らせぬように。
苦戦を強いられながらもアシュの力の源が“怒り”だと気付いたマスターは戦いの中危険に身を晒し己の身体を故意に傷つける。
自ら危険に近づくマスターに怒るアシュ。
マスターが告げる。
【この戦に怒れ、死地に赴く無知で無力で愚かな私に怒れ、私を守れないお前の不甲斐なさを怒れ】
痕が増えていくマスター、傷だらけの私なぞ…と拒むがそれでもマスターを抱きその痕に優しく口づけるアシュ。【早くこの戦を終わらせなければ】と怒りを沸かす。
そして最後の戦。窮地に立たされ息も絶え絶えなマスターとアシュ。自らの死を糧にアシュを奮い起たせようとするマスター。死の間際『この戦いを終わらせろ』と命ずる。
《絶望か怒りか》
我を忘れて憤怒の炎で無尽蔵に辺りを焼き付くす。敵か味方か、何が正しく何が間違っていたのか
それでも自軍の勝利で戦が終る。
現れる聖杯
【戦を終らせるかマスターを生かすか】
戦は終っている。虫の息ながらもまだ生を保っていたマスター。今ならまだ間に合うかも、と聖杯を使おうとするアシュ。
それを拒絶するマスター。
『この戦を早く終らせたかったがそこに至っても何処かで怒りと悲しみは残る。戦を終らせるために戦をする、何と不毛な事か』
(サーヴァントは座に帰せば“いま”の記憶は失くなると聴いた。もう怒りに身をやつすことは無い、私の事など忘れて欲しい。)
『私の自分勝手な怒りに付き合わせてしまって本当に申し訳なかった。その聖杯は君に託す。』
─聖杯などいらぬ。貴方のいない世の中なぞ燃え尽きてしまえばいい─
辺りは焼け野原、そこにふたりの人影。その身を焼き焦がす─。
─そして誰もいなくなった─
またいつか《俺》は《何処か》で怒るのだろう。理不尽に、悲しみに、傲慢に─
守れなかったことに、己に、この世界に─
──それでも戦い続ける──
『あん? おめーが俺のマスターか?腑抜けたツラしてんなぁ。』
『まあいいや、アシュヴァッターマンだ。戦いに行くぞ、ついてこい。』
~終~