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    エリンギ猫

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    エリンギ猫

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    宣言通りサクッと読めるほんのりどむさぶ🔥❄️
    いつも通りです。誤字脱字チェックしてません。日本語のチェックもしてません!!

    輝きをのせる煌びやかなシャンデリアの下に置かれたたくさんのワイングラス。他にも軽食やスイーツなどが所狭しと大きなテーブルの上には並べられていた。美しく着飾られた貴婦人方が若き当主の登場を、今か今かと心待ちにしているのを横目に、ガイアは夜会の準備をしているメイドへ近寄った。

    「こんばんは。旦那様はお部屋か?」

    「ガイア様、こんばんは。ディルック様はお支度中かと思われます」

    「そうか。ありがとう」

    恭しく頭を下げるメイドに笑顔で礼を述べ、勝手知ったる屋敷の中をズンズンと突き進む。ラグヴィンド印の扉の前に立ち、ゆっくりと三回、扉を叩けばすぐに入室を促す声が掛る。扉を押し開けた先で、如何にも不機嫌だということを隠しもしない仏頂面をしたディルックが立っていた。

    「こんばんは。準備はできたか?」

    「……見ての通りだ」

    ムスッとしたままアデリンに装飾品を着けられているディルックに思わず小さく笑ってしまう。昔から煌びやかな場所には慣れている癖に、いつだって嫌そうな顔をするのだ。

    「旦那様がご機嫌ナナメだということはよく分かったぜ」

    「君はどうしてその格好なんだ」

    「俺はあくまで仕事だからな」

    「……君も正装をして僕の隣に居ればいいのに」

    拗ねたようにそっぽを向くディルックの背を、そんなことなどお構い無しにグイグイとアデリンが押す。さすがにアデリンには逆らえないディルックが、渋々といった様子で押されるままドレッサーの前へ移動した。
    その隣へガイアが立つと控えめに手を握られる。

    「アデリンも忙しいんだぞ?いつまでも愚図ってないで、さっさと支度をしてくれ」

    「愚図ってはないだろ」

    「同じようなもんだろ?……アデリン、あとは髪だけか?」

    ディルックがガイアの手を握って、指を絡めて、爪先を撫でる。完全にいじけている己のパートナーのふわふわと揺れる髪を掬い上げて、ブラシや香油の用意をしているアデリンの背に声をかけた。

    「そうです。ディルック様が素直に髪を結わせてくだされば終わりです」

    「仕方ないな。ここは俺に任せて、向こうの手伝いをしてやってくれ」

    「まぁ…!では、ここはお言葉に甘えて。よろしくお願い致します」

    ニコニコと笑顔を浮かべるアデリンから手渡されたブラシを受け取る。やはりやることは山積みのようで、慌ただしく部屋を後にする多忙なメイド長の背を見送った。そうしてディルックの真っ赤な瞳を覗き込み、皺が刻まれている眉間へ口付ける。

    「そんなにムスッとしてたらせっかくの可愛い顔が台無しだぞ?」

    「それはどうも」

    「ほら、手を離せ。髪やってやるから」

    握られた手を揺らせば、キュッと力を込められた後にゆっくりと温かな手が離れていく。
    アデリンの用意した香油を手に垂らし、手のひらをこすり合わせて、ディルックの髪へ指を通す。満遍なく揉み込むように香油を髪へ塗り込むと、ふわふわとした髪が少しだけしっとりとして纏まりをもつ。
    柔らかな髪へブラシを通していると大きな犬のブラッシングをしているような気分になるのだが、ガイアは意外とそれを気に入っていた。綺麗な赤毛へ丁寧にブラシをかけ、慣れた手つきでディルックの髪を結い上げる。

    「よし、髪できたぞ」

    「相変わらず器用だね」

    「誰かさんと違ってな」

    引き出しの中へブラシや香油を直していると、何やら四角いパレットがちょこんと置かれている。不思議に思って手に取り、蓋を開けてみればきらりきらりと輝く四色の細やかなパールが入っていた。

    「……ディルック、少しだけ目を閉じてくれないか?」

    「…?これでいいかい?」

    「いいぜ」

    不思議そうにこてりと首を傾げながら、それでもガイアの言う事には素直に従うディルックに少しむず痒い気持ちになる。そっと小指の腹でパールを掬いとると、閉じられたディルックの瞼へぽんぽんとはたく様にして乗せてみる。

    「ガイア……君は何をしているんだ?」

    「んー?よし、これくらいか。目を開けても良いぜ」

    開かれた真っ赤な瞳がきょとりと瞬くのを鏡越しに見つめて、ガイアはいたずらっ子のようにクスクスと笑い声を上げた。真っ赤な睫毛の奥にゴールドとブルーのパールがきらきらと輝いていて、意外にもよく似合っている。

    「僕は男なんだが」

    「知ってるよ」

    「……これは女性が使うものだろう」

    「よく似合ってるぜ?それに……」

    ディルックの背後から手を伸ばして顎を上げさせる。素直にガイアを見上げる赤い瞳に乗る微かな青い輝き。つい微笑みが零れ、耐えきれず柔らかな唇に吸い付いた。

    「ふふ、俺とお揃いだろ?」

    ガイアの首へ嵌められたCollarのルビーを指先でなぞる。パレットの中にあった色はシルバー、ゴールド、レッド、ブルーの四色だった。本来ならばゴールドだけで良い所に、ちょっとした独占欲でブルーを入れてみた。
    ガイアはディルックの色を持っているのに、ディルックはガイアの色を持っていないのだから、たまには良いじゃないかと。

    「あんまり可愛いことをされると、本当に行く気が無くなるのだが」

    「それは困る。みんな、旦那様の登場を心待ちにしてるからな……特にお嬢様方が」

    「何度も断っているのだが……」

    「さすがはモンドの貴公子様だな」

    「はぁ……君はパーティーが終わったら騎士団に戻るのかい?」

    「報告は明日の朝にするから戻らないぜ」

    ガイアの言葉を聞いて、あれだけ不機嫌そうにムスッとしていたのが嘘のように目の前の表情が柔らかくなる。嬉しそうに口元を緩めるディルックが垂れ下がるガイアの髪束を掬いあげると恭しく口付けを落とした。

    「君が一緒に居てくれるならパーティーも頑張るよ」

    「是非ともそうしてくれ。…そろそろ行くぞ」

    時計を見ればそろそろパーティーの開始時間だ。手早く片付けてディルックへスーツの上着を着せてやれば、なおさら嬉しそうに微笑まれる。ガイアと夜も一緒に居られることが嬉しくて仕方がないらしい。

    ディルックの背でふわふわと揺れる赤毛を掴みたい衝動に
    駆られるが、グッと堪えて広い背中を軽く叩いた。
    分かってるとでも言いたげに頭を優しく撫でられて、ガイアは僅かに歯噛みする。ようやくやる気を出したディルックの背を見つめながら、この夜会が一刻も早く終わることを願わずにはいられなかった。





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    DONE「たとえ話だよ、そんな顔しないでってば」/ディルガイ(+ウェン)

    こういう不穏な神様いっぱい吸いたい
     グラスの中の氷がからん、と軽やかな音を立てた。
    「そういえば今日、お前のことを『神に愛されし存在だ』……なんて言ってるやつがいたなあ」
    「……なんだそれは。褒めているのか?」
     酒を片手にニヤニヤと、やけに機嫌のよさそうなガイアに目をやる。その肌の色のせいで分かりにくいが、上気した頬ととろけた声は酔っぱらっている証だった。
    「まあ前後の話からするに、神に愛されて色んなものをもらった人だ、とかいう感じだったな」
    「……そうか。その全てを否定するわけではないが……妙な気分だな」
    「お前は努力家だもんなあ。その実力は神なんかが与えてくれたもんじゃない、って言いたいんだろ?」
    「……『なんか』とは思わないがな。ある程度生まれ持ったものがある上に、研鑽を重ねた結果だよ」
    「ふうん……」
     不愉快、とまではいかないものの、さもつまらなさそうにまた、ちびちび酒を口にする。そうしてガイアはまた、「それじゃあきっと、俺はとんでもなく神に嫌われてるだろうなあ」と。
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    のくたの諸々倉庫

    PROGRESS黎明よ、どうか断罪を(1)/ディルガイ
    現パロ。捏造まみれ。
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    「俺か? 俺はガイア、ガイア・アルベリヒ。この部屋の主を始めて大方300年くらいだ。そしてお前はディルック。俺の、にいさん」
    「僕に弟はいないはずだが」
    「まあまあ、言っただろ? 俺はこの部屋に300年住んでるって」
     言いながら、広げられた両手が白一色の室内を示す。その中央に向かい合う形で、やはり白い椅子がひとつずつ。それらに僕たちは腰掛けていて、僕をにいさんと呼ぶ彼以外には何も、本当に何もない部屋だった。
    「言いたいことはいくつかあるが……窓ひとつない部屋なのに、時間の経過なんて分かるのか」
    「そこらへんはまあ、なんとなくだから間違ってるかもな。いわゆるフィーリングってやつだ」
    「……それ以前に、君は人間なのか? 300年もこんな、何もない部屋に閉じ込められて……退屈だとかそれ以前に、人間としての寿命はどうなっている 8002