あなたを迎える夜のこと ケープ、そして法衣を脱いだテメノスは、その下に身につけているシャツのボタンを外し、鞄より出した洗い替えのものに腕を通していく。項が痛い。刺さるかのような強い視線が、晒している肌をじわじわと焦がした。だが、それも仕方がないことなのかもしれない。彼はまだ若いのだ。呆れるくらいに真っ直ぐでひたむきな男だけれど、色めいた触れ合いに対する興味が、ゼロではないはずだから。
隆々とした筋肉の男らしさとは無縁であるし、力仕事も得意ではない。更には彼より八つも上。どこがいいのだと本人に尋ねてみれば、「沢山あって、ここで一つには絞り切れません!」と真っ赤になって答えたのは、今より三ヶ月ほど前のこと。思い出せば、ぶつけられた熱情ごとよみがえって胸が苦しくなるが、残念ながらまだ職務中だ。甘い囁きは夜まで取っておく必要がある。
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