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    jil85045373

    @jil85045373

    軽めのものもポンポンアップできる場所として。
    使い勝手がよさそうならベッターのもこっちに移行するかも……?

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    jil85045373

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    夜兎高銀アイドルパロです。夜兎高銀アイドルパロってなんですか?

    夜兎高銀アイドルパロ(高銀)数年前に大きな戦争があった。
    それ以降、世界は平和であり、平穏であった。
    醜い戦いや血腥い殺し合いも、もはや過去の遺物となった。
    多くの問題は武力ではなく、対話で解決できるようになった。
    暴力なんてそんな野蛮な、話し合いで解決しましょう。そう言って銃の代わりに契約書を差し出すようになった。
    皆が命を脅かされることなく、幸せに、笑顔で暮らせるようになった。
    ゆえにーー今まで暴力を生業にしていたものたちは淘汰されてしまった。

    「あ、んん」
    街の外れにある、廃墟一歩手前といっても過言ではない古いアパート。
    薄暗い部屋のベッドの上で、二つのしなやかな体が絡み合っていた。
    「もう……だめぇ、限界」
    弱々しく、銀髪の男が唇を震わせる。そして、その目尻から生理的なひとしずくの涙を流す。
    「……腹減った」
    グキュュルルルルという大きな腹の音が、部屋に響き渡った。
    隣で横たわる黒髪の男も、また「うるせェ」とかぼそい声で答えながら、同じくグキュュルルルルという腹の音を鳴らしている。
    「もう一ヶ月もまともに食えてねェ……。そこら辺に生えてる草じゃもう、無理だよ」
    「仕方ねェだろ。仕事も金ねェんだから」
    「なんで仕事も金もねェんだよ」
    「世界が平和になって、俺たちの蓄えも底をついたからだろ」
    グキュュルルルル、とまた盛大な腹の音が虚しく轟く。
    二人の名前は銀時と晋助。
    ともに宇宙最大の傭兵部族「夜兎」である。
    数年前の大戦では、その圧倒的な強さから惑星間を跨いで活躍し、「英雄」とまで称された豪傑だ。
    しかし、ともにやつれた顔で天井を見つめる彼らに、もやはその面影はなかった。
    戦争が終わると世界は手のひらを返した。野蛮で暴力的な彼らを容赦なく切り捨てたのだ。
    さらに裏社会の清浄化も進み、溝鼠の生きられる場所はなくなってしまった。
    だが、夜兎である二人には、戦い以外で生きる術が分からなかった。
    子供のときから戦い続け、誰もほかの生き方を教えてはくれなかった。
    それでも二人は必死に生きようとした。意地悪なお天道様の下で真っ当に働こうとした。
    しかし、血塗られた道を生きてきた脳筋ゴリラたちにとって、それは茨の道だった。主にエンゲル係数的に。
    細々と働いて得る微かな賃金では、二人の体質ゆえの旺盛な食欲を賄うこともできず、気がつけば今をときめいたときの貯蓄は底を尽き、ガスも電気も水道も止められてしまった。
    「バカは工事現場のバイトでブルドーザー壊して、クビなうえに弁償代払う羽目になるし」
    「アホはパチンコで全部すっちまうしな」
    「……なあ、俺めっちゃいいこと思いついた」
    「言ってみろよ」
    「お前、内臓売ってこいよ」
    「ぶち殺すぞ、クソ天パ」
    瞬間、建物の窓ガラスが飛び散り二つの影が外に飛び出た。
    「そもそも、パチンコですったってなんだ!ふざけてんじゃねェぞ、このプー太郎が!」
    「テメェこそ、現場監督のパワハラにイラッとしたからってブルドーザーぶん投げるアホがどこにいるんだ!」
    先程までの覇気のなさはどこへやら。二人は怒鳴りつけるながら、互いの拳を叩きつけ合う。
    「だいたい、テメェが賭け事で勝ったことがあるかよ!それなのにバカみたいに賭けては貯金を食いつぶしやがって!」
    「テメェだって、毎回毎回職場でトラブル起こしては転々としやがって!そのせいで全然金堪らないし、そもそももうブラックリストにのっちまってどこの面接も通らねぇじゃねぇか!」
    獣同士の殴り合いは、周囲を風を飛ばし、地面を抉り、木々をなぎ倒す。
    しかし、そこの住民たちは迷惑そうに眉をひそめながら、またかと呆れたため息を吐くだけだ。
    一日に最低五回はある痴話喧嘩である。
    今回は晋助のほうが優位らしく、銀時を地面に叩きつけるとその上に馬乗りになり、拳を握る。
    その拳が振り下ろされようとしたそのときにーー場違いな拍手の音が鳴り響いた。
    「素晴らしい」
    落ち着いているのに、轟くような圧を持った男の声。二人が顔を上げれば、そこには身なりの良さそうなスーツを着た長髪の男がいた。
    「ああ、よく見れば二人ともいいルックスをしていますね!それに声!!運動神経!そしてなにより体力!!」
    「申し遅れました。私、こういうものです」
    男の差し出した名刺を手に取り、銀時は怪訝そうに眉をひそめる。
    「村塾エンターテインメント。プロデューサー、吉田松陽?」
    「はい!」
    男は二人の手を取り、力強く握りしめる。
    「おふたりとも、私の事務所でアイドルになりませんか?」
    「てか、何してんすか先生」
    「また変な遊びしてんのか松陽」
    「ひどいです!路頭に迷っているであろう弟子たちを助けにきてあげたというのに」
    男ーー松陽は頬を膨らませるとチッチッチと指を振った。
    「戦いのなくなった今、私たちは過去をきっぱりと切り捨て、新しいビジネスモデルを立ち上げる必要があります。それが今流行りの推し活ビジネス。つまりはアイドルですよアイドル。世はアイドル戦国時代。夜兎の双璧と呼ばれた君たちなら
    、必ずやこの乱戦を勝ち抜き、かつてのように今をときめくことになるでしょう。というわけで、銀時、晋助。アイドルになりなさい。これは先生命令です」
    「はぁ!?」
    「ユニット名はもう決めてあるんです。ろくでなしアイドル、ギン&シン」
    「いや、ダセェ」!
    「文句あるなら自分で考えなさい。さあ、行きますよ、ふたりとも!」
    「え、ちょ、まじで?おい、手を離せって、おい!」
    「先生?あの、先生?」
    こうして、ズルズルと引きずられながら、二人のアイドル道のーーその激闘の幕が開いたのだった。
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