HOME 珍しく数日学校を休んだヴォックスに、年度末の書類を届けに行く事になった。流行り病では無いらしいケド。
長い土造りの壁沿いを暫く歩いて、料亭のような向こうを透かす縦格子に引戸の(数寄屋門っていうらしい)門に辿り着く。
車2台分位の門戸の横に、黒いインターフォンが2つ並んでいる。「納品用」では無い方をポチっと押すと、直ぐに門が自動で開いた。
……どうして金持ちの家って門から母屋まで遠いのかな。死ぬわ。庭園の向こうから、ベルジアンマリノアシェパードのジャックと、イーストヨーロピアンシェパードのチャーチルが駆けて来た。
第二次世界大戦の狂戦士に因んだ名前の2匹は、シェパードの中でも大型で攻撃性の強いデカい犬種だ。懐いてくれてるからとてもカワイイしうれしい限り。短毛種特有のベルベットの様なつるつるとした毛並みを堪能しながら2匹に挟まれて歩き、正面玄関が見えてきた頃、チャーチルが俺の服を引っ張って裏手へ誘導しようとする。
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