おやすみショウゴ〜〜♪
『夜勤明けの朝も!』
『正午のお昼寝タイムも!』
『今宵はキミを夢の世界までエスコートするよ』
『ALWAYS WITH YOU!!キャンペーン実施中!抽選でWITHコラボ抱き枕プレゼント!詳細はーー』
「えー!WITHの新しいCMだー!安眠抱き枕か〜」
「お小遣い貯めたら買えるかな〜」
「コヨイの抱き枕欲しい‼︎ベッドに寝かせて…私床で寝る‼︎」
「アサヒのパジャマ姿ってめっちゃレアじゃない⁉︎」
「ショウゴくんかわいい!!」
***
「おーい!ショウゴー!」
ノックと共に呼びかけるも返事が無い。つい先程、レッスンルームで別れたばかりだ。いつもなら『そんなに大きい声出すな!』とすぐに扉を開けてくれるのに。
「どうしたの、アッちゃん」
「ショウゴに漫画貸す約束してたんだけど、返事無くてさー」
「確かにこんなに呼び掛けても、出てこないのは珍しいね」
「マジヤッベー!ことになってたらどうしよう!」
「まさかとは思うけど……鍵が開いてる」
コヨイがドアノブに手をかけると簡単に扉が開く。しっかり者のショウゴはいつも必ず鍵をかけているはず。2人は目を合わせ勢いよく部屋へ押し入った。
「「ショウゴ!」」
2人は思わず息をのんだ。そこには練習着のままベッドで眠るショウゴ…とその腕には先日発売された抱き枕コヨイver.が抱えられていた。
「今日は新曲の振り付け練習もあったし、疲れて寝ちゃったんだね。ひとまず安心ってとこかな」
「マジヤッベー!(小声)ことになってたらどうしようかと思ったぜ!…いや、マジヤッベーことには変わりないんだけどさ…」
「これ確か、この前発売した抱き枕のサンプルだよね」
「そーいえば部屋にでっかい段ボール届いてたような!」
「ふふ…よく眠っているね、かわいい」
いつもセットされている前髪も今は練習終わりで少し崩れていて、額に触れるとほんのり汗ばんでいた。小さな口元からはすうすうと寝息が溢れている。
「コーちゃん!抜け駆けはダメだぞ!」
「分かってるよ、風邪引いたら大変だから毛布掛けておいてあげようか」
「だな!」
「おやすみ、ショウゴ」
パタリと扉は閉められ2人分の足音が遠のいていく。完全に2人の気配が無くなった頃、ショウゴはがばりと体を起こした。
「………ッ」
(『おやすみ』じゃねーよ!さっきのコヨイ…なんなんだよ!アサヒも抜け駆けとかって…あぁぁ‼︎)
部屋に届いていた抱き枕のサンプルを取り出して、思いの外抱き心地良くそのまま眠ってしまった自分を恨んだ。なんでこんな事に。コヨイの細い指が額に優しく触れてきて、それでもっとコヨイの匂いが近付いてきて、てっきり…
「うぁぁぁ!!!!!シャワー浴びてもう寝る!」
続