覚えてられっかそんなもん・





　年の瀬が間近に迫った十一月。極道に繁忙期など……と思うかもしれないが、左馬刻はこの年で一番忙殺されていた。
「テメェ芋引くんじゃねーよクソが」
　暗い寒空の下で腕を折った相手を蹴倒し、その頭を躊躇なく踏み潰した。周りには同じくぼろ雑巾のように男たちが伏している。今日は早朝から目が回るようだった。
「ったく、ちまちま来んじゃねーよ。ガッとまとめて来いや」
　ジッポをカチンと鳴らして溜息と紫煙を同時に吐いた。

　午前四時、抗争相手の事務所へ二ｔトラックで、左馬刻直々にゴアイサツに伺うところから始まった。それからは互いのシマに乗り込んだ害虫駆除に汗を流し、昼時にはいつもの中華屋でチャーハンと餃子をかき込みながら突入してきたコバエを叩き潰した。片手にチャーハンもう片方にレンゲを握り締め、椅子を蹴飛ばし呆気に取られている舎弟に発破をかける。

岡田くんによる櫟さんの取り調べ櫟:(連れられるまま入室、岡田くんを見てふふんと含み笑い)
岡田:…何かおかしい所がありますか？(無表情)
櫟:いんやぁ、今は言わないでおくや。お楽しみは最後まで取っておく主義なんでね(ウィンク)
岡田:では今から取り調べを行います岡田です
櫟:あら、つれないねぇ〜。早漏て言われない？
岡田:言われたことがないです。あなたには黙秘権がありますので、自分の不利になることは無理に言わなくても構いません
櫟:あっ！もしかしなくても童貞？童貞ぽいもんね〜。いいお店紹介しよっか？(哀れみの目)
岡田:結構です。まずあなたのお名前をお願いします
櫟:知ってるだろ〜、忘れちゃった？ボケるにはまだ早いんじゃないの〜？(ケラケラ)