システムの恩恵で到底敵わないと理解していた
だが、頭の片隅で勝てるのではと慢心もしていた
そんな甘い考えで挑んだ結果、圧倒的な機動力と力の差に叩きのめされた
今の俺じゃまだ勝てないー
殴られた反動で柱に背中から激突する
衝撃の余波で舞う土埃の隙間から状況を整理する
赤い騎士ーイグリットは玉座の側で佇んでおり、旬は入口付近まで殴り飛ばされていた
この距離なら・・・いける
いくら速いとはいえ、十分な距離である
エリアボス扱いならば、この部屋から出てしまえばあの騎士は追っては来れない
扉が開かない可能性もあるが、試さないでここで死ぬなんて御免被りたい
逃げるのではない、これは戦略的撤退だ
外に出ても敵はいるが、目前の騎士を相手するよりも遥かに楽である
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