建造物-研究所~第一研究所~
立ち入り禁止「入口」
旅骨、凝補が暮らす微妙に都会な国「ハラデラス」の外縁部の森林に位置する、凝補だけの研究所。中に入るには、隠しスイッチを押して出てくる隠し階段を抜ける必要がある。ただし、スイッチを押すことはおろか、出てきた階段に近づくだけでも罠が発動するので非常に危険極まりない。ちなみに、魔法障壁もしっかりと張られているため、魔法で入ろうとした者に対しても容赦なく攻撃する。凝補は転移で入れるようにしているため、問題はない。
研究所というよりかは研究室「ロビー」
中に入ると、研究室と言わんばかりの白い壁や天井、机や椅子がある。しかし研究所とは言うものの、見た目の大きさは教室一つ分にも満たない。それもそのはず、ここはあくまで見た目だけの研究所だ。凝補が軽く研究をするためにしか存在しない。研究所はこんなものではないのだ。
ただ少し、ここで待ってほしい。もしあなたが凝補に招待されていない者であった場合は、中にいる緑の魔物はすぐにでも君を襲うだろう。それもそのはず、彼らの見た目は子供でもれっきとしたここの職員だ。凝補からは「植物ちゃん」と紹介されるだろう。彼らがこの研究所を縦横無尽に駆け回り、せっせといろんなものを運び、様々なものを生み出している。今日も彼らは忙しいのだ。
さて、話に戻ろう。ここに存在するのは、「クリスタル」や「ゲート」。あとは、パソコンやベッド、謎の飲み物に謎の材料たちだ。材料や飲み物に関しては特に記載する必要はないだろう。それでは、まずは「クリスタル」について話を始めよう。
重要そうな観賞用爆弾「クリスタル」
まず入口から出てきて左に見えるのが、ガラス張りの部屋でくるくると回っている「クリスタル」だろう。周りからビームを受け、虹色に光り輝いているそのプルズムのような結晶は、見ているだけでリラックス効果を与えると周りの植物たちは口をそろえて言う。とても重要そうなものに見えるが、実際は特に何の意味もない。ただの凝補の趣味である。この研究所を作る上で、少し装飾物を作るのも良いかもしれないという思い付きで生まれたらしい。ちなみに破壊すると中の魔力が放出され大爆発を引き起こす。虹色に輝く理由は、中に詰め込まれた魔力によるものなのである。間違っても破壊をしようだなどと思わないこと。
それはまるで樹木のように複雑「ゲート」
研究所のもっとも重要なものと言えば、それこそ「ゲート」だろう。これは所謂ポータルのようなもので、様々な場所に存在する施設をこの「ゲート」で繋げている。その「ゲート」の種類も異常なほどに多く、ここで解説するのはあまりにも厳しい。これは後の「施設」で解説しよう。
この「ゲート」は、縦横2mほどの枠で作られており、この枠が別の枠とつながることで「ゲート」として成り立つ。ただし、これは一つに一つの「ゲート」までしか繋げられない。つまり、一つが複数に繋がることはない。
基本的に全て施設で生産された魔力で維持されており、何か異常がない限り24時間365日開けられる。出入りにも特に制限はなく、強いてあるとするならば2x2の扉を通れる者のみ、というぐらいだろうか。
この「ゲート」から、それぞれの「施設」に移ることが出来る。それぞれ、生産グループ、加工グループ、生産グループとされている。
~第二研究所「施設」~
必要なものは全てここに「施設」
この研究所において、生産から製造まで全てを担っているものが「施設」である。ここであれば、依頼で必要なものはほとんど揃う。それは道端に落ちている小石から地下の有毒水、手で簡単に曲がる樹木や蒼く熟す果実まで、実に様々なものがここから排出され、別の姿に変えられ、研究材料や依頼品として納品される。以下に、それぞれの説明を記載するが、ここに書かれる存在と言うのは全て「植物ちゃん」であることを忘れてはならない。また、チームの中にも部門が存在するが、これに関しての詳細は省略する。
・生産グループ:主に原材料を生み出すグループ。「施設」で消費されるものはほとんどここから作られている。
「農業」チーム:生産グループの中で最も大きいチーム。作物や家畜、林業や漁業まで、様々な材料をここで生み出している。生産量トップでなおかつ速達という二段構え。制作グループのチームはみなお世話になっているといっても過言ではない。主に生まれたばかりの職員がここで活動しており、とても小さくかわいい。
「採掘」チーム:ここで第二に大きいチーム。地下採掘を行い、鉱石などの採掘物を出荷している。崩落や魔物出現と事故が一番に起きやすいため、ここにいる者は誰もがベテランである。主に「農業」か「狩猟」からの職員で構成されており、安全第一が合言葉。
「狩猟」チーム:第三に大きいチーム。魔物の狩りに特化したチームで、依頼された魔物を即座に討伐、出荷を行う戦闘のスペシャリストたちである。魔法だけでなく武具の扱いにも慣れているため、魔素が切れただけでは簡単にはやられない。「農業」から流れてくる職員が多い。ここの職員の夢は旅骨になることらしく、誰もが訓練に熱心である。
「遠征」チーム:一番小さいながらも、縁の下の力持ちとされているチーム。この3つのチームの土地を探す探検部隊であり、数十日かけて様々な国に訪問したりしている。どんな土地でも生き残れるように知識が伝授されており、このグループ内ではトップクラスのスキルを持つ。「採掘」「狩猟」どちらかのチームである一定期間経過後に選ぶことが出来る。「試練」を突破することでその上の「防衛」チームに行くことが出来るという。
・製作グループ:生産グループの生み出した原材料を様々なものに加工し、必要なものを製作する。大半は依頼物になるが、一部は次のサービスグループへと移る。
「魔学」チーム:魔法関連の研究を行っているチーム。日々新しい魔術を探し続け、それを「魔化学」チームや「魔工学」チームに伝えるだけでなく、「採掘」チームや「遠征」チームから送られてきた魔術の解析を行っている。「検定」を受けることで入ることが出来る。ある一定までいると、「魔化学」チームか「魔工学」チーム、または残るかで選択することが出来るようになる。
「魔化学」チーム:主力となる魔法関連のうちでもポーションなどと言った醸造専門のチーム。依頼物である医薬品やポーションだけでなく、「農業」チームや「遠征」チームで使う肥料や回復薬もここで作られている。「魔学」チームから流れてくる職員が全員。
「魔工学」チーム:「魔科学」チームで作らない、主に魔道具となるものを製作する。「採掘」チームから送られたものを加工して魔石にしたり充魔石を作ったりして、それを「科学」チームのものに組み込んだりする。ここで生み出される魔道具はほとんどの「施設」で使われており、依頼者からも評判が良い。「魔学」チームから流れる靴物がほとんどであるが、極稀に憧れてどこかのチームから来ることも。
「科学」チーム:人類の生み出した「科学」を研究、解析するチーム。それによって新しい発明品などを生み出し、「魔工学」チームと利用方法を考案したりする。時々大発明を引き当て、「施設」全体が強化されたりすることもある。「魔工学」チームか「遠征」チームから集まる。
・サービスグループ:他グループの休憩場所や、別チームからの申請を許可したりするグループ。ここがトップ。
「防衛」チーム:「施設」を守るための言わば自衛隊や警察のようなチーム。様々な場所を周り、「施設」の安全を守る。侵入者が来た場合、一番先に対処することになるのはこのチームであり、どんな状況でも防衛できるように日々過酷な訓練を行っている。しかし、これでも旅骨には勝てないらしい。「遠征」チームで「試練」を突破したエリートのみ。
「管理」チーム:依頼の仕分けや発送、納品を管理するチーム。他チームからの新規職員申請というようなものもここで管理されている。依頼を仕分ける速度はかなり早く、なんとこの「施設」の中でもかなり珍しいツタ4本持ちがいるとかいないとか。ただ、夕結には一切歯が立たないと言っている。夕結が直接決めることが多い。
「休憩」チーム:主に職員たちの休憩所を経営するチーム。食事や睡眠、娯楽などといったものがここに配置されている。ただし、どれも職員基準であるため他の者が休憩できるかどうかは不明。旅骨が時々やってくるため、コーヒーだけは用意されている。「管理」チームから選抜される。
「点検」チーム:それぞれの「施設」にて異常がないかどうか確認するチーム。「防衛」チームとは違い、「施設」そのものの異常の修復や、他グループの使用している魔道具の交換などを行っている。その異常や問題は「管理」チームへと報告され、その異常は「魔工学」チームや「魔化学」チームによって解決する。「魔工学」「魔化学」どちらかのチームに居た職員が入れる。
「放浪」チーム:どのグループにもどのチームにも属さない謎のチーム。一体何のためにあるのかが一切不明であり、噂ではアイドルをやっているとか、職員を魔物にしているとか、この研究所を乗っ取ろうとしている悪組織ではないかと言われている。どこからやってくるのかもわからないままである。夕結も特に何も話さないため、全てが謎に包まれている。
~第三研究所「建造物」~
「施設」とややこしい「建造物」
この研究所には、依頼物を生み出すための機能だけが備わっているわけではない。当然、研究するためのものは色々とある。それが「建造物」と呼ばれるものである。本来はこちらも「施設」と呼ぶはずなのだが、依頼物で使う場所と分けた方が良いと思ったらしくこちらを「建造物」と呼ぶことにしたそうだ。ただ、ここを利用する人は夕結と旅骨の二人だけであり、ほぼ二人専用の空間となっている。
「建造物」では第三研究所とされているようにかなりの量の「ゲート」が存在する。これらも一つずつ紹介していこう。ちなみに、これらの場所は全て魔空間で作られているため、外部からの攻撃を受けないという特徴がある。
・訓練所
弓や銃のための的はもちろん、打撃武器の切れ味や威力を調べることのできる柱、魔法やポーションといったものの効果を調べる実験室など、ここでは主に研究所で生み出された物を試すような場所とされている。また、どれだけ轟音を出そうが破壊しようが、外部に対し影響を及ぼさないため、思う存分力を発揮することが出来る。ただし、破壊された空間の分魔素を使用して修復をしなくてはならないため、やりすぎには注意である。
・寝室
第一研究所の「ロビー」には、すぐにでも寝ることのできるベッドが配置されているが、ここではしっかりとしたふかふかのベッドで寝ることが出来る。外の世界と切られているため、寝室に置いてある温湿調整機によって室温や湿度が睡眠に最適な状態にされている。しかし、時間というのをあまり認識できないため、寝すぎてしまうこともある。
・上映室
上映と名はついているものの、映画を見る場所ではなく空間そのものを再現する場所。青空の下の草原、深海の檻の中、吹雪が絶えず吹き続ける雪国、無限に広がる宇宙。設定された世界を忠実に再現し、見た目はもちろんのこと、温度や風、雨や湿度に重力まで、あたかもそこにいるかのような感覚を与える。ちなみに、何も設定せずにそのまま入ると、明かりがないのに暗いわけではなく、壁はあるのに無限に闇が広がっている虚無になる。精神が狂うのでやめよう。
・監視室
研究所の様々な場所を見ることのできる空間。魔法によって空間を視認することが可能であるが、特にそれと言ったぐらいであってやることがない。時々旅骨がここに来るが、コーヒーを一口飲んでから去ってしまう。夕結も自分ですぐに視認できるため、本当に何のために存在しているかわからない。
・休憩所/応接室
応接室とは言うが、一度も使ったことはない休憩室。飲み物や軽食を取ることが出来る。当然、どれもこれも「農業」チームから取れた食材と「魔工学」チームで作られた機械である。夕結が飲むための血も用意してある。
・旅骨の自室
旅骨のための部屋。しかし特に何かがあるわけではなく、強いて言うならば仕事服といつもの服が仕舞ってあるクローゼット、毎日欠かさず寝るためのベッドに、暇な時に読んでいる本が色々入った本棚、自分の帽子をかけるための帽子掛けぐらいである。何かが隠されているわけではないので、旅骨が来る前にさっさと撤退した方が良いだろう。
・凝補の自室
No Data
~研究所における謎~
正式名称は自律型植物性ゴーレム「植物ちゃん」
この研究所では、和服やワンピースを着た子供をよく見かけるだろう。それは「植物ちゃん」という名称がつけられている、この研究所における職員である。正式名称は自律型植物性ゴーレムと言い、主に植物によって構成されている。そのため、日光を浴びれば光合成をして魔素を蓄え、魔素が尽きるとやがて枯れて塵となってしまう。これを生み出しているのは研究所の管理人である夕結凝補本人であり、元々は自分ですべてやっていたが間に合わなくなってきたためこうして生み出したという。人型である理由は「いや...少しぐらい可愛い方が良いじゃないですか」とのことらしい。夕結の指示に従い、この研究所で頑張って働いている。彼らがなぜ従うのか、何のために従うのか、何を想うのか、それは夕結にしかわからない。知らない方が良いこともあるのだ。
404 Not Found「所在地」
複数の「ゲート」で繋がれているこの研究所であるが、その奥の「施設」の場所についてはそれぞれバラバラに配置されており、周りからは隠れている。さらに言えば、制作グループの場所は実はこの世界には存在しない。魔空間という、言わば別世界のようなところに作られているため、情報漏洩や襲撃を受けることがない。ただし、魔素が切れると空間ごと全て止まってしまうため、空間を継続するためには魔素が不可欠である。
魔術で力を証明して見せよ「検定」
研究所において、「魔学」チームに入る時には「検定」が必要になる。「検定」というのは、「魔学」チームにおいて必要となる知識と腕があるかどうかを試す試験であり、担当者は夕結凝補である。内容は魔術に関する学力試験と、魔術を扱えるかどうかの実力試験の二つである。知識試験はよく見るような問題用紙を読んで回答を記入するようなテストであり、合格率は6割になるようにしているらしい。そして別の実力試験は、それぞれ指定された魔術を詠唱し、時間や精度を求められる。これをクリアするために、「施設」を見て回っている先輩の「点検」チームや「防衛」チームに教えてもらう職員がよく見かけられる。
戦闘で力を証明して見せよ「試練」
「防衛」チームに入る時に必要になるのが、「試練」と呼ばれるものだ。「試練」というのはその名の通り、戦いにおいて優秀であるかどうかを見極める者であり、担当は旅骨菓変である。前提条件として「検定」にて魔術の扱いに慣れていなければならず、それなしで「試練」を突破するのは困難を極める。内容はたった一つ、旅骨と戦うことである。しかし旅骨は武器なしの素手である。しかしそれでもその速度や攻撃力は異常であり、合格率は3割を下回るという。それ故に、「防衛」チームにいる者はかなりの強者であり旅骨も認めた実力者であるということである。「防衛」チームに話を聞くこともできるが、まともな回答は来ない。