ゴリムチュウ通りがかりの名前も知らないような男だったら、よかったのに…と今になって思うが、もう既に事後であるからどうしようもない。
酔った席での戯れと、お互いがすっぱりと忘れてしまえばよいのに、何故この男は俺の前にいるのか。
恋の相手なら、救いがあったのかもしれない。
だが、君とはそんな可愛らしい関係ではないはすだ。
ジョークだと、笑い合えばいいのに。
なぜ、そうやって、俺を煽りにくるのか。
このまま、どこまで堕ちるつもりなのか。
………………
事の発端は、気の合う仲間が集まった、ただの飲み会だ。
久しぶりに酔って、気分が開放的になっていて、隙があったのだろう。そう、この飲み会の直前に、魔界に行っていたのもよくない。奔放だった妖狐の頃の感覚が蘇っていたのかもしれない。
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