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    iori_uziyama

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    捧げ物の進捗。sub🖋がお仕置きでCornerを受ける話

    👹🖋アイクが原稿を書きながら5本も10本もエナドリをガブガブ飲んで、ヴォックスがそれを止めたのにうるさいな!関係ないでしょ!黙ってて!ってブチギレて、挙げ句に放っておいたらカフェイン中毒で死ぬほど体調悪くなって倒れてヴォックスに介抱される。

    「ああ、アイク起きたのか。体調はどうだい」

    ああ、原稿で気が立ってて酷いこといっちゃったな、自業自得で倒れたのに嫌味の一つも言わずに看病してくれて、ほんとうにかれは優しい、謝らなくっちゃ。

    「うん、大丈夫だよ、ありがとう」

    「本当にもう大丈夫なんだな、」

    「うん、もうどこも悪いところはないよ。」

    「そうか、じゃあ、仕置きの時間だ」

    寝耳に水、アイクは弾かれたようにヴォックスの顔を見た。「嫌だ!」反射的に叫んでいた。
    逃げようとしたのに首根っこを掴まれて、引きずられるように屋敷の奥に連れて行かれる。最悪だ、最悪だ、最悪だ!!!頭の中で、警鐘がなる。
    抵抗虚しく無情にもドアは重い音を立てて閉まった。

    冷たい打ちっぱなしの床にぺしゃりと落とされ、ヴォックスを見あげる。

    「何が悪かったかわかるか?」

    「、君の忠告を突っぱねた上にカフェイン中毒を起こしたことでしょ……」

    「そうだな、こちらの言うことを聞かなかった挙げ句に倒れた。俺は優しいからお前の自由を許してやってる。許してやっているだけで、本来はお前に一ミリたりとも権利はないんだよ。わかるかい、アイク。君は俺の所有物を傷つけたんだ。」

    『Corner』

    「躾直しの時間だ」

    ■■■

    コマンドが耳に入った瞬間反射的に立ち上がって、ヴォックスに背を向けた。壁につま先を合わせるようにして直立する。アイクは普段かなりヴォックスに甘やかされているから、お仕置きを受けた回数はそこまで多くない。しかし、姿勢が崩れたら一本鞭で引っ叩かれることは脳みそに刻み込まれていた。そしてその死を予感するほどの痛みも。
    アイクは尽くされたい気質で、痛みへの耐性がかなり低い。だから打たれないように体中の神経を研ぎ澄ませて一点のブレもなく気を付け姿勢を取ったのだった。____しかしそれも長くは続かない。
    セメントの冷たさが足裏から伝わって段々と温度を奪っていく。体重を支え続けた膝が軋む。足裏に血が溜まって、たまらず動きたくなる。なのに、少しでも身動ぎをしようとすれば背後から鞭をしならせる音が聞こえる。次の瞬間には落雷のような轟音が真後ろで弾ける。警告だった。アイクのギリギリで保っているCornerの緩みを、痛みへの恐怖で無理やり立て直させていた。アイクはヴォックスの思惑通り決してそれに打たれまいと姿勢を正すしか無いのだ。脂汗が額から伝って目に入る。拭うこともできなくてアイクはもうほぼ何も見えていなかった。ただ、壁を見て、動かず、じっとしていなければならない。眼の前の壁は灰色一色で、焦点が合わなくなってからは自分がきちんと立てているのかの指標にすらならなかった。時計もないから今仕置きが始まって何時間経ったのかはたまたまだ十分足らずしか経っていないのか、それすらもわからず、そしていつまで続くのかもわからない。それが辛くて、怖くて、苦しくて、アイクは子供みたいに大声で叫び始めた。

    「ごめんなさい!ごめんなさい!ヴォックス!もう許して!お願いします!許してください!ヴォックス、お願い!言うこと聞かなくてごめんなさい!」

    虚勢を張る余裕なんてどこにもなかった。脳みそはとっくの昔に仕事を放棄していて、うまく考えられなかった。大声を出したのに鞭のしなる音さえしない、返事だって聞こえない。ヴォックスがいつの間にか部屋を出ていったのではないかと、ひゅっと喉を鳴らした。びゅうびゅう鳴るアイクの呼吸音以外が聞こえない、不気味なほどの無音で、気が狂いそうになる。汗か涙かわからない液体が瞳からボロボロ溢れて、舌っ足らずにひたすら叫ぶ。

    「ゔぉっくす、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、今度はちゃんと気をつけるから、ちゃんと言うこと聞くから、ゆるして、」

    段々と脹脛が震えて、限界が近づく。崩折れる寸前、「ok.」と低い許しが聞こえた。
    その声が鼓膜に響いた瞬間、ふっ、とアイクの全身から力が抜ける。冷たくて固いセメントの床に叩きつけられるだろうが、アイクはもう指一本も動かせる気がしなかった。が、太い腕が腹に回ってアイクの体を受け止める。眼鏡だけが重力に従って床に吸い込まれてカシャン、と高い音を立てた。

    「good boy. よく頑張ったね、辛かったろ」

    甘いバリトンが耳に注がれる。重度のストレスからの開放は、あまりにも暴力的な快楽だった。脳髄まで砂糖漬けにされた気分で、コポコポと多幸感が溢れる。許されたこと、お仕置きをキチンと受けたこと、認められたこと、褒められたこと。その事実一つ一つが幸せで、嬉しくて、気持ちよくて、薬物を投与されたみたいだった。アイクの冷えた体にヴォックスの体がピッタリと寄り添い温度を分け与える。甘えるようにうまく動かない身体で擦り寄った。じわじわとゆっくり体温が移るにつれて、凍ったような爪先や、軋む膝が解けていく。

    「賢いな、いいぞアイク、たくさん反省したからな、もっと気持ちよくなろうな」

    ゆるゆると指を絡めて、ゆっくりと体を揺らされる。微睡みに似た多幸感への溺死だった。アイクはもうなんにも考えられなくて、ただ、幸せだなぁとゆっくりとまばたきをしてふわふわした海でたゆたっていた。その海はサブスペースと言われるものだった。
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