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    サイカ

    @SaitaSaika_ii

    オリジナルや、二次創作(FGOくん、ポモモンくん)で字書きしてます。
    ソナーズくん→https://sonar-s.com/authors/899ba17c-283f-49e6-8a1c-b9ffe7d859e6

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    サイカ

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    「アカシア」が書きあがってなくてゴメンナサイ。ハート一杯くれた方ありがとうございます!
    こちら、自分の考えや胸中を表した一作になりました。
    今日で猫が空になって1ヶ月。こちらにもあげておきます。
    ポケモンが亡くなっている描写があります、ご注意ください。キバナさんちょい役、初書きオニオンくん。ユウリちゃんに自分の気持ちを託しました。

    #ポケモン
    Pokémon
    #ポケットモンスター
    Pocket Monster (Pokémon)
    #ポケモン剣盾
    Pokémon SS
    #キバナ
    Raihan
    #オニオン
    #ユウリ
    Gloria (JP: Yuuri)
    #ペットロス

    アカシアの日々 ずっと傍に居たチョロネコが空になって、一ヶ月が経った。ポケモンロスというものは覚悟していたけれど、思っていた以上に衝撃が少なくて驚きすぎている。もっと、もっと後悔して、むせび泣く日々を思っていたから。
     私は、いつも誰かの気配を感じている。温かい気配。視えない者。チョロネコなのか。わからない。
    「それは、お前がチョロネコに、最善を尽くせたからじゃないか」
     一緒に食事をしているキバナさんに言われ、それは考えました。と、返す。ウーロン茶を口にしながら、目を伏せて続ける。「でも、何か違う気がして」
    「あの子、本当に空に行けたのかな。私、ずっと一緒だよ、ずっと姉妹だよって最期の時まで言っていたから、虹の橋に行けないで、傍に居るから。だから私、あまり寂しくないのかもしれない」
     虹の橋。天国の手前にある、死んだポケモンたちが行く場所だ。感謝の花、グラシデアの花が咲き乱れ、幻のポケモンセレビィも飲むきれいな水があり、たくさんの美味しい食事がある楽園だという。死んだポケモンたちは、トレーナーや飼い主たちが空に来るまで、そこでひとときを過ごすというのだ。これはガラルだけでなく、全世界のポケモン愛好家たちに語り継がれる話なんだ。
    「ずっと、か。……確かに重い言葉だな、些細に見えて」
    「ですよね。死の間際まで、ずっと一緒だよ、ずっと家族だよ、離れないでねって言ってたから。……脅迫にさえ思える言葉ですよね、はは」
     チャンピオン業も放り出して二徹三徹して、看取ろうと、看病していた私だ。もう頭がおかしくなって、気の利く言葉かけられなかった。だめだめだ。
    「──オニオン。どうだ?」
    「へ?」
     キバナさんが、ジムリーダーたちのなかで飲んでいる中で、傍のテーブルでお茶を飲んでいたオニオンくんに声を掛ける。オニオンは、少し戸惑った様子だけれど、こくりと頷いた。え、それって。
    「チョロネコが視えるの、オニオン!?」
    「……ユウリさんの傍に、この一ヶ月ずっと居るのは気が付いていました。だから寂しくないと言うのも、一理、あると思います」
    「今も居る?」
     オニオンくは、一拍おいた。
    「それを言ってしまったら、ユウリさんはどうされますか?」
     え? ──どうするって、喜ぶか、虹の橋に行けていないことを嘆くか。わからない、突然のことに、言葉を失ってしまう。
     エースバーンたちが、窺うように、私を見つめて来る。わかってる、きみたちにも迷惑をかけたよね。きみいたちと出会う前から家に居たチョロネコだからって、ずっと構ってきたから、寂しい思いもさせたよね。
    「……わからない。どういう言葉を言えばいいかなんて」
     胸がぐあっと熱くなる。炎の玉を飲み込んだかのように、身体じゅうが熱くなる。熱を持つ。
    「今更、私なんて……弱くて、貴女を喪って、生きているだけで良かったって思う程だよ。延命治療を選ばなかった己を、怨むほどだったんだよ。生きているって、生きていることって、それほど素晴らしいことだったんだって。チョロネコが死んじゃってから、気が付いたんです。若輩ながらに」
     だから、パーティのエースバーンたちが時間が経って、次最期を迎えるときも、延命は大げさかもしれないけれど、生きていることに最善を尽くして看取ろうとは思えるようになれた。
    「私、チョロネコが居たから、鬱陶しくて辛い朝も、悲しくて泣いちゃう夜も、乗り越えられてきたんです。チャンピオンになれたのはよかった、でもその後の多忙で謀殺されるなかで、しんどいとき、あの子が居たから、強くなれた。強く〝在れた〟」
     涙が溢れ、零れだす。別れが初めてであったわけではないけれど、年頃になっての別れは初めてだ。祖父祖母が亡くなったときより悲しかったと言ったら怒られるだろうか? でも、内側に抉り込むような哀しみは、ずばりそれなんだ。
    「……結局は、感謝しか、ない。なぁ。」
     泣きながら笑って、床と対面しながら居ると。そこに、〝誰かのシルエット〟。
    「チョロネコは、虹の橋に行けないわけじゃないですよ。まだこっちに居ようかな、って思ってる程度です。行こうと思えば行ける子です。ユウリさんやご家族を、最期まで支え続けた、小さな体をして、大きな子、立派な子です。大丈夫、まだ一ヶ月なら身近に居るささやかな気配を感じても、それは自然のことだ。ユウリさんがもう少し、〝大丈夫〟になったら。きっと、自ら虹の橋にこっそり行きますよ。そこで、ずっと、天寿を全うするユウリさんを待つって。心づもりみたいです。何たって、姉妹だから。家族だから、だそうです。」
     涙が止まらなくなった。次々溢れて、堰を切ったかのよう。今まで、チョロネコが死んでも、一人ではどうしても泣けなくて、人に思い出話をしてやっと泣けていたくらいで。
     かなしすぎたのか、涙腺が壊れかけてるのかもわからなかったけれど。
    「チョロネコぉー……。」
     机に突っ伏し、むせび泣く、貴女のことだから、すまなそうに笑っているんだろう。それか、しょうがない妹ねと笑うのか。いずれにしても、笑っているんだろう。可憐な笑みそのもので。
    「ありがとう、オニオン」
     私は、いつも誰かの気配を感じている。温かい気配。視えない者。ひとりではない、たくさんだ。きっと私の生まれる前の誰かさんだったりとか、私を大事に思って守ってくれる存在だったりとか、そう思うようにしている。
     エースバーンたちパーティが、寄り添ってくれる。そうだ、ひとりではない。この世の誰も、ひとりぼっちじゃない。誰が居るから自分が居て、周囲の人だったり、視えない誰かにも見守られて。そうやって、やっていくんだろう。
     ポップコーンのようにどこへ弾けかわからないいような、とっておきの日々を待ち、それを経て、また舞い戻って、ポップコーンの弾ける日々を待つ。
     透明よりもかがやくものを、幼いころから傍に感じて、時折それにチカラをもらって生きてきた。泣いたり笑ったりするたび、生命が揺れて。魂が震える勝負をするときも、生命は燃えあがって、生きたい、行きたい、往きたいと震えている。
     ゴールは未だで、此処で終わりというわけではない。
     けれど、もう死ぬまで居たい場所に居る。──
    「ありがとう、オニオン」
     もう大丈夫、転んで手を差し出されるより大切なことをしてもらえた。また起き上がれるって信じてもらうこと。同時に、自分はまた起き上がれると、己を信じること。
     どんな最後が待っていようと、もう放せない手をつないだよ。(それはきっと生きてる子、そうでない子、関係ないんだろうな。)無彩限の、透明よりかがやく生命たちが、寄り添いあって。このガラルを超えて、世界一周するくらいに手をつないでいる。そういうことだよね、チョロネコ。
     きっと、「大丈夫」という言葉は不用意に本当は、遣ってはいけないとは思うけれど。いまの私は。
    「大丈夫、大丈夫なんだ。祈るように結末や未来を待つのは、旅立った日から、もうとっくにやめてるんだ。最初から、そうだった。未来を、迎えに行く心づもりだよ」
     キバナさんが、「その調子だ」と私の涙を指で拭い、頭をぽんぽんと撫でて来る。オニオンも、仮面の奥で笑ってくれたようだ。雰囲気が、とてもとても、やさしい。
     なにか伝えるとしたら。
    「〝見守らなくていい〟から、〝見ててほしい〟って。伝えてくれないかな」
     いつも、守られていることは知っているから。だから、心配性な貴女には、私の往く姿を見ていてほしい。オニオンは、クスリと笑った。
    「もう、言葉にした時点で。姿の見えない子にも届くって、ユウリさんは気づいてますよね?」
    「ふふ。そうだね」
     そうだと思ってるよ。言葉には、声にしたら、チカラが宿るから。
     ──もう死ぬまで居たい場所。チャンピオンの玉座っていう特等席じゃあ、ないんだ。この、ガラル。ガラルを含む、この星に居られる奇跡。
    「貴女との時間は、奇跡そのものだったよ。」
     噛み締めるように笑ったら、涙が少し零れて、〝誰かのシルエット〟がクスリと笑った気がした。わかってるならいいわと。その調子よと。
     貴女亡き世界で、これからも生きていこう。
    「ありがとね、みんな」
     つくづく心配してくれていたパーティのパートナーたちを、ひとりひとりハグして、改めて。〝この瞬間。この人やポケモンたち、この場所で〟居られる奇跡に、感謝した。
    (進め、進め。振り返る日のために。)人生は。ポケ生は。奇跡と偶然が重なって出来上がった、透明よりかがやき、きらめく、お宝だってこと!
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    サイカ

    DONE「アカシア」が書きあがってなくてゴメンナサイ。ハート一杯くれた方ありがとうございます!
    こちら、自分の考えや胸中を表した一作になりました。
    今日で猫が空になって1ヶ月。こちらにもあげておきます。
    ポケモンが亡くなっている描写があります、ご注意ください。キバナさんちょい役、初書きオニオンくん。ユウリちゃんに自分の気持ちを託しました。
    アカシアの日々 ずっと傍に居たチョロネコが空になって、一ヶ月が経った。ポケモンロスというものは覚悟していたけれど、思っていた以上に衝撃が少なくて驚きすぎている。もっと、もっと後悔して、むせび泣く日々を思っていたから。
     私は、いつも誰かの気配を感じている。温かい気配。視えない者。チョロネコなのか。わからない。
    「それは、お前がチョロネコに、最善を尽くせたからじゃないか」
     一緒に食事をしているキバナさんに言われ、それは考えました。と、返す。ウーロン茶を口にしながら、目を伏せて続ける。「でも、何か違う気がして」
    「あの子、本当に空に行けたのかな。私、ずっと一緒だよ、ずっと姉妹だよって最期の時まで言っていたから、虹の橋に行けないで、傍に居るから。だから私、あまり寂しくないのかもしれない」
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    サイカ

    DONE「アカシア」が書きあがってなくてゴメンナサイ。ハート一杯くれた方ありがとうございます!
    こちら、自分の考えや胸中を表した一作になりました。
    今日で猫が空になって1ヶ月。こちらにもあげておきます。
    ポケモンが亡くなっている描写があります、ご注意ください。キバナさんちょい役、初書きオニオンくん。ユウリちゃんに自分の気持ちを託しました。
    アカシアの日々 ずっと傍に居たチョロネコが空になって、一ヶ月が経った。ポケモンロスというものは覚悟していたけれど、思っていた以上に衝撃が少なくて驚きすぎている。もっと、もっと後悔して、むせび泣く日々を思っていたから。
     私は、いつも誰かの気配を感じている。温かい気配。視えない者。チョロネコなのか。わからない。
    「それは、お前がチョロネコに、最善を尽くせたからじゃないか」
     一緒に食事をしているキバナさんに言われ、それは考えました。と、返す。ウーロン茶を口にしながら、目を伏せて続ける。「でも、何か違う気がして」
    「あの子、本当に空に行けたのかな。私、ずっと一緒だよ、ずっと姉妹だよって最期の時まで言っていたから、虹の橋に行けないで、傍に居るから。だから私、あまり寂しくないのかもしれない」
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