ジューンブライド「それで、濡れ鼠になって予定より早く帰ってきたのか」
窓際にあるハンモックで優雅に読書をしていたアルジュナは、部屋着姿でソファーに座り髪を拭いているカルナにそう言った。
結婚式に呼ばれたものの着ていくものがなく貸してほしいと言われたのが数日前。それを着てスコールに見舞われながら帰ってきたのは前世からの宿敵、カルナだ。家の周辺では特に雨は降っておらず、ピンポイントで彼は濡れて帰ってきたわけだが。
「すまない。借り物を駄目にした」
風呂から上がった彼に、濡れて色がすっかり変わり雨のにおいを付けたスーツを手渡されながらアルジュナが首を振る。着る機会はそうないので構わない。正直、大して祝いの気持ちもないのに呼ばれて行ったところで相手にも悪いし時間の無駄だ。カルナにあげるつもりですらいた。
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