胃袋だけじゃ足りない②「少し君の手を借りる事になるんだが…」
そう言って杏寿郎はチョコレートをくれたのだが、これは。
「ブロックのチョコレート?」
大量のそれを渡された猗窩座は首を傾げる。
「手は尽くしてみたのだが、全部黒コゲになってしまってな…」
少し落ち込んでいるのだろうか…伏し目がちになる杏寿郎も美しいな。たまらない。
元は俺が手作りが欲しい、とおねだりしたんだ。お前が作ってくれた物なら黒コゲだろうが何でも平らげるのにっ!
そして杏寿郎も今年のバレンタインを特別だと思っていてくれたのが、俺は嬉しいぞ。
デレっと猗窩座は相好を崩した。
「大丈夫!杏寿郎がくれるなら何でも嬉しいって俺、言っただろ?」
「…うむ。だからこのブロックチョコレートを人肌ぐらいの温度に溶かしてくれ」
1530