恋の相談にのる話類の彼女になりたいから色々教えてほしい?
おお!我がワンダーランズ×ショウタイムのメンバーほどアイツに詳しい者はそうそういないからな。
あまりプライベートなことは話せないが、それで良ければこのオレに任せるといい!!
まず、類と付き合いたいならば何をおいてもショーだ。
何せ四六時中ショーの演出について考えてる奴だからな。間違っても「ショーより自分を優先してほしい 」などと言ってはいけない。
実は以前、類の気を引こうとしていた子が「たまには練習より2人で出かけないか」と誘っていたところを目撃してな……。
あの時の目の冷たさときたら!いやもう思い出すまい。
とにかくショーが最優先なのは絶対だと思ってくれ。
もしかしたら寂しいと感じることもあるかもしれん。だが最高のショーを生み出すためだ。そこは理解してもらいたい。
次に、実験に巻き込まれる覚悟をもつことだ。
良い演出のためならばどんなことにもついていく気概がなくてはな。
たまに死の恐怖を感じることがあるかもしれないが、ちゃんと安全性の確保はされているから信じてやってほしい。
あぁ!でもそこまで心配する必要はないぞ。危険がともなう実験はオレ相手がメインだからな。あくまで巻き込まれないようにとの注意だ。
オレが傍に居なければそこまで無茶はしないだろうが大抵いつもいるからな……。
ん?何故いつも一緒かって?
素晴らしいショーを作るためには時間を無駄にするわけにはいかないからな!せっかく同じ学校なのだし可能な限り打ち合わせはしておくべきだろう。
チャンスは休日だな。オレがバイトや家の予定がある時のみにはなるが安心して2人きりを満喫してくれ。
そうだ!重要なことを忘れていた!!
類はあれで中々寂しがり屋でな、交友関係に厳しい時がある。
あぁ、勘違いはしないでくれ。何も連絡先を全て消されるわけじゃない。未来のスターたるもの他者とのコミュニケーションも大事だからな!
たまにチェックは入るが必要な連絡先はちゃんと残してくれる男だぞ。
NGは類が知らない奴と2人で出かけることだ。
この間エキストラのバイトが終わった後に先輩から食事に誘われてな。その後の予定もないから承諾したのだが突然類がやってきて断ってしまったんだ。
どうしてそこに類が来たのかって?またドローンとかで見てたんじゃないのか?あまり考えたことがなかったからよくわからんが。
ちなみに大変だったのはその後だ。
無理やりその場から連れ出されたかと思えば「あまり妬かせないでほしい」とキスをしてきてな……それからしばらくはショーの練習以外ひっついて離れなかった。
男のオレですらこうなんだから彼女はもっと大変かもしれないが、類のメンタル安定はショーの大成功に必須だからな!どうか受けとめてやってくれ!
どうした?あぁキスで間違いないぞ。我が劇団はあまり恋愛劇をやることは無いが、いざ演じる時にカッコ良くできなければスターとして問題だと類が言うからよく練習していてな。
まだ類の方が上手くて悔しいが息継ぎは中々のものになってきたと自負している!!さすがオレだな!公演の際はオレのスターとしての新しい一面を是非観に来てくれ!
な、なんで怒ってるんだ?!オレと類が付き合ってる??いや何を言ってるんだ、あるわけないだろう。
オレ達はお互い必要不可欠な相手なだけだからな。
え、もういい?あ……行ってしまった……。
うーむ、力になれなかったのは残念だが、類のファンならショーを観に来るよな。
よし!オレが主演のキューピット役で見事彼女を笑顔にしてみせようじゃないか!
ハーッハッハッハッハ!!
※※※※
「ねぇ……アレな顔になるの怖いからやめて」
うっかり一連の流れを目撃してしまった寧々は、隣で楽しげに瞳孔を開いている幼馴染を見やり嫌そうに告げた。
「……どうやら司くんにはそろそろ自覚してもらう必要があるみたいだね」
腰に腕をあて呑気に笑っている自称未来のスターに少し同情しつつ、またうるさくなるのかと寧々はため息をつくのだった。