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    massun_gs

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    はね学マリィ
    はばチャの新人記者でNanaを取材

    …書くのしんどくなったので一旦供養。

    はばチャの新人記者として活動を始めて早3ヶ月。はばたき市のいろんな所を巡り、イチオシスポットや注目のトレンドなどの記事を書かせてもらっていたが、今回初めて特定の人物にインタビューする記事を書かせてもらえることになった。
    編集部の白羽マヨさんに「なんで私なんですか!?」って聞いたら、「あなたの記事、すごく好評なのよ。それに今回の取材対象の彼はあなたと同年代の人だから、歳が近い人の方が等身大のインタビューができるんじゃないかと思ってね?期待してるわよ〜!」って言われてしまった。
    期待、か。うう、これは責任重大だ…!

    インタビューの場所は公園通りにある喫茶店。待ち合わせの15分前に到着し、今回取材を受けてくれる彼がくるのを待つ。
    ああ、緊張してきた…。うまく話聞けるかな?それにしても…私、初めてのインタビューなのになんで1人で取材なんだろう?これまでも取材はだいたい1人だったけど、人のインタビューと景色の取材は全然違うんじゃ…。
    少々モヤッとしつつ緊張した面持ちで待つこと10分。カランカラン、とドアのベルが鳴り、一際背の高い男性が入ってきた。キョロキョロと店内を見回し、私の取材腕章を見つけると
    「えっと、はばチャの記者さんですか?」
    と声をかけてきた。私はガタッと立ち上がり、名刺を差し出して挨拶をする。

    「あっ、はい!小波と申します。あの…Nanaさん、ですよね?本日はインタビュー、よろしくお願いします!」
    「声デカ…。元気だねぇ。ここ店ン中だから、そんな大声じゃなくても聞こえるから。」

    Nanaさんは私が出した名刺を受け取りながら、ププッと笑った。

    「あ、ごめんなさい。つい…」
    「いいよ。この業界ってアイサツ、特に大事だしな?…んじゃ、俺も。…モデルのNanaです。今日はよろしくお願いします。」

    これが彼と私の、最初の出会いだった。

    向かい合って席につき、飲み物を注文する。
    しばらくしてオーダーした飲み物が運ばれてきた後、カチッとレコーダーの録音ボタンを押した。

    「…それでは、早速インタビュー始めさせていただきます。Nanaさん、よろしくお願いします」
    「よろしくお願いします」
    「では、まず初めに…」

    ーーーーー

    滞りなくインタビューは進み、あらかじめ編集部から言われていた質問は全部できた。モデルを始めたきっかけ、モデルという仕事のやりがい、今後どんな活動をしていきたいか、理想とするモデル像や憧れの人のことなど。
    ちなみにだが、会話の中で私と彼は同学年だということが判明した。

    「ではこれでインタビューを終了します。Nanaさん、本日はありがとうございました。」
    「ありがとうございました」

    カチッとレコーダーのスイッチを切り、インタビューを終える。

    「…ふぅ。緊張した…」
    無事にインタビューを終えてホッとした私がつぶやく。
    「そ?そんなふうには見えなかったケド?」
    「えー、そんなことないよ!すっごく緊張してたんだから…。あ、ごめんなさい、なんか馴れ馴れしく喋って…」

    つい学校のクラスメイトに話すような口調で喋りかけてしまった。焦る私を見て彼はニヤリと笑いながら、

    「いいよ。同い年じゃん?俺ら。インタビューも終わったし、そんな気ィ使わなくてもさ。」
    「そ、そう?じゃ、気兼ねなく。」
    「ん。そうしてくれると俺も助かる。」

    記事にするインタビューが終わった後も2人で話をしていた。話し込むうちにNanaくんは食べ物の好みやよく見るTV、スポーツはしているか、なんていうプライベートなことも気さくに話してくれた。「これはオフレコ」と言って、寒がりだとか虫が嫌いなことも教えてくれた。なんでそれがオフレコなの?って聞いたら「Nanaのイメージに合わないデショ」って言われた。まぁ確かに。

    雑誌の誌面を飾るモデル・Nanaはクールというか、ファッションの着こなしもワイルド系でちょっと近寄り難いような感じがしていた。同世代だけどどこか遠い人のように思っていたから、普段の彼の様子を知ることができたような気がしてとても嬉しかった。

    ふと、普段の学生生活の話になり、話題はお互いの通っている学校の話になった。

    「へぇ。あんた、はね学なんだ?」
    「うん。Nanaくんは?」
    「…知りたい?」
    「知りたい!」
    「そうだな〜…。まぁヒントくらいなら」
    「ください!ヒント!」
    「ハハッ。必死じゃん。じゃ、ヒントは〜…。“花椿ツインズ“、知ってる?あの2人と一緒。…って、あー。これもう答え言ってるな?」
    「花椿ツインズと一緒…ってことは…!」
    「シーッ。ま、そういうコト。」
    「ふふっ。そっか。あっ!じゃNanaくん、憧れだって言ってたあの葉月珪さんの後輩になるってこと!?」

    事務所も学校も直属の後輩なんだ…。なんだかすごいかも。

    「まぁ、そうだな。ちょっと意識してたとこもあるけど。」
    「意識?」
    「さっきのインタビューでも言ったけどさ、今の事務所の人にスカウトされて、その事務所が葉月さんがいた事務所で。モデルやるためにはばたき市のガッコに通うことになって、最初ははね学と迷ったんだよ。けど、どっかで憧れの人に近づきたいって意識、あったんだと思う。」
    「そうなんだ…。」
    「まぁ、よく受かったなとは思う。実際、進学校だしさ、ウチのガッコ。マジ奇跡だわー」

    そう言うとNanaくんは少し温くなったであろうコーヒーカップに手を伸ばしてひと口啜った後、ふっと笑う。

    「ハァ…不思議だ。初対面なのに、なんかあんた相手だと妙に気が緩むっていうか…俺、結構いろんなことしゃべった気がする。」
    「えっ、ほんと?」
    「ホント。最初はさ、もちろん仕事だからと思って話してたんだけど…。」
    「?」
    「いつの間にか、素の自分で話してた。ハァ、こんなアッサリとガード突破されるとは…。」
    「ふふっ。ダメだった?」

    そう聞くとNanaくんは困ったように優しく微笑んで言った。

    「いいや。普段はさ、仕事でもプライベートでも、必要以上に人に踏み込まれるのスゲーイヤなんだけど。」
    「うっ、ごめんなさい。私、ズケズケ聞きすぎたかな…?」
    「いや、いいよ。あんたはなんかイヤじゃなかったし。それにイロイロ聞くのは記者さんのお仕事じゃん?」
    「そうでした。」

    彼が少し伏し目がちに続ける。わー、まつ毛長い…。本当にキレイだな…。

    「俺、基本的に人と関わるの苦手なとこあってさ。普段の生活…まぁ主にガッコとかだけど、そういうとこではほとんど人としゃべんないんだ。」
    「ええっ!意外…。Nanaくん、すごく話しやすいのに」
    「ハハッ。そんなこと思うのあんだだけだよ。」
    「じゃ、学校ではNanaだってことは話してない?」
    「ああ。面割れすると色々メンドくさいだろ?できればガッコでは静かに過ごしたいし。」

    やっぱり内緒にしてるんだ…。そうだよね、どこの学校か知られちゃうとファンの人とかたくさん来そうだし。ってことは普段の学校ではNanaってバレないようにしてるのかな?

    「でも、見た目ですぐバレるんじゃない?どうやって隠してるの?」
    「割とバレないよ。制服キッチリ着てるし、髪型も全然違うし。俺、目悪いから普段はメガネだしな」

    え…それだけでバレないものなの?顔は隠せてもそのスタイルはごまかせないと思うんだけど…。もしかして本人がバレてないと思ってるだけで、本当はみんな気づいてるんじゃ…。まぁ、本人が隠せてると思ってるなら深くつっこまないようにしよう…。

    「へ、へぇ〜…そういうものなんだ…。じゃ、私も秘密にしないとね?」
    「そ。俺とあんたの、2人だけのヒミツな?」

    そう言うとNanaくんは人差し指を口に当て、シーッという仕草をした。

    「……!!」

    うわ、やっぱりカッコいいなぁ…Nanaくん。なんか普通に話してたけど、よく考えたらキラキラ具合がもう私みたいな凡人とは全然違うんだった…。
    つい見惚れてドキドキしてるのを悟られないよう、できるだけ平静を装う。

    「…じゃ、学校では別人って感じなんだね?」
    「ああ。おかげさまで静かに過ごせてますよ?」
    「ふふっ、学校の人たち、実は身近にNanaくんがいるって知ったら驚くんだろうなぁ」
    「ハハッ。そうかもだけど、そうならないようにしてるし。それにウチのガッコには他にも有名人?いっぱいいるからさ。」
    「有名人?花椿ツインズとか?」
    「ツインズもそうだし、クイズ王や陸上界のキング、劇団の看板役者。それと…」
    「まだいるの?」
    「雑貨屋シモンのカリスマ店員で、"はばたき市の若様"」

    ん?それって…

    「…風真くん?」
    「お、知ってんの?さすが。」
    「知ってるも何も…。風真くんは、私の幼馴染だから。」
    「エッ!?マジ?」

    Nanaくんが目を見開いて驚いている。

    「うん。て言っても風真くんは小学校1年生の時にイギリスに引っ越しちゃったから、そんなに長い時間一緒にいたわけじゃないんだよね。引っ越す前はよく遊んでたんだけど。」
    「へー、そっか〜…。ていうか世間せまっ」
    「ふふっ、ほんとだね?」

    2人して吹き出して笑う。

    「Nanaくん、風真くんと知り合いなの?」
    「ああ、まぁな。あとさっきいったクイズ王のヤツ…本好きの本多ってやつと3人で結構つるんでるよ。あいつらは俺の仕事のこと知ってるし、知ってもバラしたりしない奴らだから」

    彼らを信用してる、というNanaくんの表情は、“モデルのNana“ではなく等身大の男子高校生という顔をしていた。

    「へぇ…!なんかいいなー。男の子同士の、そういう友情?みたいなの」
    「そうか?でも話してる内容は女子には聞かせられないことばっかだけど?」
    「え…?」
    「ま、俺らも"健全な男子高校生"ですし?」

    これは詳しく聞かない方がいいやつかな…?

    「う…気になるけど、それは…」
    「聞かない方がいいな?」

    意地悪くニヤリと笑ってNanaくんはまたカップに目を落とした。
    ほんの少し、会話が途切れたところでNanaくんのスマホが鳴る。

    「あ、事務所からだ。」

    ちょっとゴメン、と言って彼が席を外し店の外に出て行った。私は飲みかけの紅茶に手を伸ばし、ぬるくなった残りを飲み干した。
    カランカラン、と入り口のドア音が鳴り、Nanaくんが戻ってきた。

    「…悪い、そろそろ撮りの時間だわ。」
    「えっ、もうそんな時間!?なんかインタビュー終わった後も引き留めちゃったみたいでごめんね?」

    インタビュー後に撮影が入っているのは取材前にモデル事務所の人から聞いていた。撮影までの時間に余裕があるようにスケジュール組んでもらってたのに、私ったら…!

    「いいよ、あんたのせいじゃないから。俺があんたとお話したかっただけ。な?」
    そう言って優しく微笑んで伝票を取ろうとする。

    「待って!お会計は私が!取材させてもらってるし、編集部からも経費もらってるから!」

    ギュッと彼の手首を掴んで制止する。いきなりの私の行動にびっくりしたのか、Nanaくんは目をまん丸にして固まった。

    「あっ、ごめんなさい。つい…」

    ゆっくり手を離して伝票を自分の胸に引き寄せると、Nanaくんはプッと吹き出して笑った。その顔があんまりにも綺麗だったから、伝票を握りしめて今度は私が固まってしまった。

    「わかった。じゃ、ココはお願いしマス。そんじゃ、またな。記事、楽しみにしてる」

    そう言って彼は、1度も振り返らずに店を出て行った。
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    tang_soliloquy

    DONE卒業後7月末。順調にお付き合いしている七マリちゃん、カレカノ初めての夏休みのひとコマ。
    Words Pallet kiss!(@torinaxx 様)のお題の13『遠雷に酔う』のワード「ぞわり」、「何度も」、「気持ちいい」を七マリちゃんで!とリクエストを頂戴しました。お題も含めて組み込んであります。
    ⚠がっつりキスするおはなしなので、苦手な方はご注意ください
    遠雷に酔う 今年の夏は多忙な予定だ。仕事も課題もあって忙しいのももちろんだが、それ以上に、恋人になった美奈子とのデートをたくさんする予定だからだ。今までの夏休みはお互いに遠慮して日曜日にしかデートをしなかったけれど、今年は違う。平日だろうが夕方だろうが夜だろうが、会いたい時に「会いたい」と言えるし、会いにだって行けるし、お泊まりだってできてしまう。
     それはさておき、せっかく恋人になれたのだから、ただ会うだけじゃない夏らしい思い出も欲しくなる訳で。夏休みが始まったばかりの今日は、ふたりのスケジュールを確認しながら予定を立てるため、実の家でデートをする。

    「あー……あちぃ……」
     いつもどおり近所の公園に美奈子を迎えに行く道中、思わず口をついて出てしまうくらいの暑さだ。真っ青な空に、真っ白な雲。照りつける太陽は眩しすぎて、辺り一面が白っぽく見える。強い日差しに目がやられそうだと胸元に引っ掛けていたサングラスをかけた実は、ふう、と熱を逃すように息を吐いた。天気予報によると、この先しばらくこんな天気が続くという。
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    tang_soliloquy

    DONE二年二月十四日の七マリ。時期外れですがバレンタインネタ。
    以前アンケを取った『CP創作お題をアンケで決める』で1位だった『熱があるのに』をクリアするのにこれしか思い浮かばなかった。
    七ツ森くんに逆チョコ用意して欲しいのは私だけではないはず……。あと七ツ森くんあの食生活とか睡眠時間とかでも滅多に体調崩さない、さりげなく健康優良児なイメージがあります(熱出し慣れてないタイプ)。
    「……ん?」
     目覚まし時計を止めてあくびをしようとして、ふと喉に覚えた違和感。「あー」と声を出してみても咳払いをしてもそれは消えず、洗顔と歯磨きを済ませて水を飲んで、やっといつもの声に近くなった。
    (湿度は……ヤバいな、四十パーセント切ってる)
     部屋の片隅に置いてある温室計に目をやると、室内はカラカラ。寝ている間に乾燥で喉をやられたのだろうと頷きながら加湿器をつけた実は、普段使いの化粧水に手を伸ばしかけて止め、その隣のボトルに――スペシャルケアのラインナップに指先をかける。
    (こんだけ乾燥してるし、ちゃんと保湿しとかないと……って、気合い入れたい言い訳なんですけど)
     今日は二月十四日。少し――いや、だいぶ期待している、特別な日だ。ほんの一週間ほど前にも実の誕生日という特別な日があったのだが、それはそれ、これはこれ。バレンタインをこんなに心待ちにするだなんて、去年までの自分に言っても信じてもらえないだろう。
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