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    kureha_shizu

    普段はpixivで創作してます。

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    kureha_shizu

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    同タイトルのハニワを七マリちゃんで。
    と、思ってたんです…

    #七マリ
    #ときメモGS4
    tokiMemoGs4

    告白予行練習side:M

    放課後の教室に2人っきり。
    私が日誌を書き終わるのを待つ彼は持ち主のいない前の先に座って、長い足を投げ出したまま携帯を操作している。そんな姿すら絵になって、私の心臓はドキドキとうるさくなっている。
    彼、七ツ森くんと知り合って2年が過ぎた。徐々に私の中で積み重なった思い出は知らぬ間に形を変え、恋心と名前がついていた。彼と一緒に過ごすだけで満足していたはずの私の心は、もっと先を望んでしまっている。
    チラリと前を伺えば、携帯に落としていた彼の視線がゆっくりと私へと向けられてパチリと視線が重なった。
    「なに?どうしたの?」
    そう言って細められる目の優しさに胸がギュッと締め付けられる。
    「待たせちゃってごめんね?」
    「いいって。俺がスキであんたを待ってるだけだから」
    唐突に投げられた“スキ”に咄嗟に視線を日誌へと落とした。頭の上に七ツ森くんがクスリと笑ったのがわかったけれど、私は一心不乱にペンを日誌の上に走らせることしかできない。
    七ツ森くんはよく「スキ」だと口にする。食べ物だったり、服装であったりその時々で様々だけれど私に「スキ」を伝えてくれる。その度に私の心臓はうるさいくらいに鼓動し、身体が熱を帯びていく。勘違いしていまいそうなほど、彼の言葉はまっすぐに届くから期待してしまう。
    私の知る限り、七ツ森くんの側にいる女の子の中で1番近くにいるのは私で、休日まで会っているのは私だけ。そう知ってしまった日から私は彼に想いを告げることを決めていた。
    パタンと書き終えた日誌を閉じれば、七ツ森くんの視線が私へと向けられるのがわかった。
    「終わった?」
    「うん。お待たせ」
    「じゃ、放課後デート、しましょ」
    夕暮れの教室に2人っきり。
    手早く帰り支度をして日誌を抱くように持つ。私より先に帰り支度を終えた七ツ森くんがそんな私を見てから歩き出す。
    一歩一歩、教室の外へと向かう彼の背を見ているだけで私の耳は自分の鼓動の音だけがやけに耳をつく。
    「な、七ツ森くん…」
    「ん?どーした?」
    緊張で掠れた私の声に振り返った七ツ森くんは笑って待っていてくれる。ドキドキとうるさいくらいに跳ねる鼓動に胸は苦しく、カラカラに渇いた喉からはうまく言葉が出てこない。それでも大切な気持ちを教えてくれた彼に目を背けたくなくて、まっすぐに七ツ森くんを見上げる。
    放課後の教室に差し込む柔らかな日差しがメガネ越しの優しい翡翠をきらりと輝かせ、私の心臓は壊れてしまったと疑いたくなるくらいその速度を上げていく。
    もう一度だけ大きく息を吐いて、ギュッと手に力を込めて口を開いた。
    「好きです」
    やっとの想いで口にした精一杯の私の想いは、上擦ったものだったけれど確かに彼に届いた。まっすぐ見つめていた目が大きく見開かれ、そして逸らされた。
    (あ…)
    困らせてしまっている。それと同時に、七ツ森くんが私と同じ気持ちを抱いているとどこかで期待していた自分にも気がついた。彼との関係が気まずいものになってしまう。そう気づいた瞬間に私は七ツ森くんより先に口を開く。
    「よ、予行練習なの!」
    「は?予行練習…?」
    ギュッと日誌を持つ手に力を込めて、無理やり笑顔を浮かべる。七ツ森くんの表情は困惑しているけど、仕方ない。私と彼が恋人になれないのなら、気まずく疎遠されるよりも今のまま友達でもそばにいたい。
    「告白の、予行練習。ドキドキした?」
    「“告白の予行練習”…」
    必死に紡いだ私の言葉を七ツ森くんが小さく復唱する。それをなんとか手に力を込めて耐えていると一度閉じられた目が再び私を捉えた。その目は見たことがない色に染まって見えて思わずコクリと喉を鳴らした。
    「告白したい好きな人が、いるってこと?」
    「そ、だよ」
    告白したい。好きな人。目の前のあなただよ。そう口にしてしまいたいけれど、困らせたくないのも本当で私にできることは最低限の返答だけだった。
    そんな私の返答にも納得したのか「そ、か…」なんて小さく答えてくれた七ツ森くんがまた小さく口を開いた。
    「俺の知ってるヤツ?」
    「う、うん…」
    「仲良いの?」
    「うん、学校以外でも会ってくれてる」
    「そ、か…」
    「うん…」
    いつもの会話と違い、チクチクと心が痛む。七ツ森くんとの会話はどんな話題でも楽しくて、弾むようなやりとりが大好きだけど、沈黙だって苦にならないそんな雰囲気があるのに、今はそのどれもが苦しくて辛い。
    また、七ツ森くんが「そうか…」と繰り返した。
    「俺に何ができるわけじゃないけど、応援する。今日はもう、帰ろ。送ってやりたいけど、誤解されるとなんだから俺、先行くな」
    「あ…」
    いうが早いか七ツ森くんは私に背を向けて、そそくさと教室を出て行ってしまった。徐々に聞こえなくなる足音にプツリと張り詰めていた糸が切れたことを感じた。ぐらりと視界が歪み、足元が崩れ落ちるような錯覚と共にその場に座り込んだ。ボロボロと溢れる涙と一緒に私の気持ちも流れてしまえば楽になれるのに。そんなバカなことを思いながらも涙は止まってはくれず、私は薄暗くなるまでそこから動けなかった。
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