1/fゆらぎ 日付をまたいだ頃、銀時は万事屋の玄関の戸を開けた。すると、めずらしい履き物に目が止まった。新八の草履だ。泊まると言っていただろうか。出掛け際に何か言われたような気もするが、詳しい内容は思い出せない。酔っ払った頭なら尚更だ。しかし、泥酔するまでは飲んでいなかったため、銀時は音を立てないようにブーツを脱いで家に上がった。
真っ暗な床を進み、スーッと襖を開けた。部屋には2組の布団が敷かれていて、片方はこんもりと小さな山になっていた。銀時は部屋に入って静かに襖を閉めると、摺り足で移動した。しかし、向かったのは自分の布団ではなく、もう片方にある新八の寝ている布団だった。新八の顔がよく見える場所に胡座をかいて座り、膝に頬杖を付いて新八の顔を見つめた。
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