扇風機で涼めるあの夏に戻りたい 新八は真夏の日差しを存分に浴びながら歩いていた。右手に日用品、左手に食材の入った買い物袋を持っているため、頬を伝う汗を拭う事もできない。
「暑い」
思わず独り言が漏れてしまう。それぐらい暑さにやられていた。何故自分だけがこんな苦行に耐えなければならないのかと、新八は歯ぎしりしたい気持ちに駆られた。神楽はよっちゃんたちとの約束があると事前に言われていたから問題ない。腹立たしいのは、昼飯が終わるとともに出掛けて行った銀時である。新八が買い物の手伝いをお願いする前に万事屋からいなくなっていた。今日の夕飯の餃子は絶対に1つ、いや3つ減らしてやると心に決め、新八は勢いよく玄関を開けた。
「うわ」
家の中に入っても日差しを浴びなくなっただけで暑さはほぼ変わらなかった。新八は足早に台所へ向かうと冷蔵庫を開けた。
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