搭乗時間て意外と長い 空港の待合室にはたくさんの人が飛行機の搭乗時間までの暇を潰していた。新八は目立たない隅の空いている椅子に腰を下ろした。無事に手続きを終えることが出来て、思わずフゥと息を吐き出した。あとは飛行機が安全に飛んでくれるのを待つばかりだ。3月に入ったばかりの東京はまだまだ肌寒い。そこから更に北上するのだから、万が一大雪によって欠航になる可能性もある。どうか問題なく飛んでくれますようにと、新八は心の中で祈った。そして、リュックサックから本を1冊取り出した。それは、旅行雑誌だった。大きくポップな字体で『北海道』と書かれ、美味しそうなグルメや広大な自然の写真が所狭しと載っている。食べてみたい、行ってみたいという気持ちが沸き立つような表紙なのに、新八の心は少しも弾まなかった。
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