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    有吉ヒナコ

    @arihina_2go

    MHRise/20↑/ウツハン♂・ハンウツ・他ハン♂受け/基本小説たまに絵/

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    有吉ヒナコ

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    ヒバハン♂習作。恋人同士になったばかりの二人。

    悪い大人には敵わない それはヒバサとサクヤが恋人同士になって、初めての二人きりの休日の日の事。

    「なあ、ヒバサ兄」
    「……」
    「ヒバサ兄?」
    「……」
    「なあって!」

     読書するヒバサの傍らで、不満げにわめくサクヤ。ヒバサは本は開いたまま、チラリとサクヤに目を向けた。

    「……今、本を読んでるんだが?」
    「本を読んでるんだが?じゃねーよっ! せっかく、二人揃っての休日なんだぜ!?」
    「そうだな」
    「もっと、恋人同士っぽい事したりとか……そういうの、ないのかよ!?」

     その叫ぶような声にも、ヒバサの態度は変わらない。サクヤがそれに苛立ちを見せ始めた頃、不意にヒバサは言った。

    「例えば、どういう事をして欲しいんだ?」
    「えっ?」
    「お前の言う、恋人らしい事だよ」

     途端、サクヤから先程までの勢いが消えた。顔は赤く染まり、視線は所在無さげにあちらこちらを彷徨う。

    「……例えば……キス……とか」
    「して欲しいのか?」
    「……ん」

     躊躇うように頷いた、それを見てヒバサはやっと本を閉じ、傍らに置いた。そしてサクヤに、もっと近付くようにと指でジェスチャーをする。
     素直に身を寄せたサクヤを、ヒバサは深く抱き寄せる。サクヤの瞳は自然に閉じて、これから与えられるものを受け入れる準備をする。

     サクヤは知らないのだ。ここまでが全て、ヒバサのシナリオ通りである事を。
     サクヤはどうにも素直とは言いがたい。まともに迫れば、反発するのは目に見えている。
     だからヒバサは、わざとサクヤに素っ気なく接して、自分から欲しがるように仕向けるのだ。

     そんな狡い大人の思惑など知る由もない、まだまだ大人になったばかりの元子供は。

    「——いい子だな、サクヤ」

     満足げな笑みと共に与えられた口付けを、思う様に甘受するのであった。
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