ある日、集会所を訪れると、いつもなら闘技大会の受付をしてるはずの教官がいなかった。
「あ、サクヤ、おはようニャ」
「オテマエさん、教官は?」
「今日は休むって連絡があったらしいニャ。昨日までは元気だったのに、珍しい事もあるものニャ」
オテマエさんにそう言われると、途端に心配になる。体調を崩すなんて滅多にない人だから、なおさらだ。
「……俺、教官の家に行ってくる」
「それがいいニャ。サクヤ、頼んだニャ」
俺はオテマエさんに別れを告げると、急ぎ教官の家へ向かった。
辿り着いた教官の家は、シンと静まり返っていた。人の気配自体はあるから、教官はとりあえず中にいる事はいるらしい。
「きょうかーん? ……寝てんのか?」
「まっ、愛弟子!?」
戸を叩き、中に声をかける。すると教官の声が、妙に慌てた感じで返ってきた。
「ど、どうしたんだい、愛弟子!?」
「どうしたって、アンタが珍しく休んだって言うから、心配で様子見に来たんだろうが」
「そ、そうかありがとう! でも、俺の事なら心配いらないよ! 少し食当たりを起こしただけだからね!」
……怪しい。クッソ怪しい。
さすが嘘を吐くのが下手な教官だ、体調不良なんて嘘だってすぐ解る。何たって、声がメチャクチャ元気だからな!
それでいて、俺を家に入れたがらない。そんなもん、家に何かありますと言ってるようなもんだ。
「……入るぞ」
一応一言そう断って、家の中に入る。そのままズンズンと奥に進んでいけば、部屋の奥で布団を羽織っている教官が目に付いた。
「何だ、元気そうじゃねえか」
「ま、愛弟子、来ないで……っ!」
俺を見ると教官は胸元を隠しながら、泣きそうな顔で後ずさった。普段見せないその様子に、思わず嗜虐心が煽られる。
「何胸隠してんだよ。見られて困るものでもあんのか?」
「い、いや別に……!」
「いいから見せろ……って!」
ずかずかと教官との距離を一気に詰め、胸を隠す手を一息に剥ぐ。そこにあったのは——。
「……は?」
「……ま、愛弟子っ……」
何かの液体をじわじわと滲ませ続ける、教官の両乳首だった。
「母乳が出るようになったあ?」
信じられない思いで問い返すと、教官は困ったように小さく頷いた。その丸まった背中には、普段の頼もしさのカケラもない。
「いやまあ実際何か滲んでるし、そうなんだろうが……何でそんな事になったんだ?」
「解らないんだ……起きたら、いきなりこうなってて……」
泣きそうな目で、今も母乳を滲ませる胸を見つめる教官。そりゃまあ妊娠もしてないのに、つーか男なのに、母乳が出てきたら泣きたくもなるだろう。俺だったら泣く。
しかしどうすりゃいいんだこれ。いかに名医のゼンチ先生でも、これをすぐにどうこうってのは出来ねえ気がする。
そう俺が、悩み始めた時だった。
「……愛弟子……どうかこの事は、みんなには秘密にっ……」
……ムラッ。
正直に言おう。胸から母乳滲ませながら上目遣いに懇願してくる教官を見てたら、勃った。
いやしょうがなくねえ? 普段は確かに抱かれてる身だが、もともとこっちは教官を抱きたくて夜のおかずにまでしてたんだ。こんな弱気になってる教官見て、反応しねえ訳がねえだろ?
「……じゃあさ、教官」
教官の手を取り、押し倒す。ああ、いつもだったら絶対こんな素直に押し倒されてくれねえのに、よっぽど動揺してるんだな。
「ま、愛弟子?」
「みんなに知られる前に、俺が飲み尽くしてやるよ。……アンタの母乳」
「え、えっ、ちょっと待って愛弟子ちょっ……!」
教官の制止を無視し、俺は、教官の母乳を思う存分味わう事にしたのだった。
その後、母乳は止まったが、教官は翌日も仕事を休む事になったのだった。……興奮してやり過ぎた。