イザ武がベットを買うまでの話カラン、カラン
朝のまだ早い時間にも関わらず来客を告げる
ベルの音が響きドアの方を見る。
今日の天気は曇りで、どんより空気が重たい。
開けられたドアの隙間から見えた空は仄暗い灰色でお世辞にも"天気が良い"とは言えなかった。
"あ、またあの人だ"
武道は静かにそう思いながら笑顔で挨拶する。
「いらっしゃいませ」
天気が悪い日や雨の日、気圧の重い日など決まって天候の悪い日のみにやってくる整った容姿のお客さん。
平均的なサイズより大きいであろう目と、薄い唇にバランスの良い小さい鼻。 肌は異国の血も流れているのか薄い褐色で、透き通るような美しい銀髪がよく映える。おまけに瞳の色は朝焼けを思わせる薄紫。
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