Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    refrain0411

    ☆quiet follow Yell with Emoji 👏 💙 💜 😍
    POIPOI 25

    refrain0411

    ☆quiet follow

    素敵なタグがあったので、かなり短いSSですが参加させていただきます!

    #曦澄520Day

    素直になるのは難しい今日は愛を伝える日だと言う。
    江澄は普段自らの気持ちを言葉で伝えることが苦手だ。
    情人である藍曦臣は、江澄と正反対で会う度に「好きです。」「愛しています。」と言ってくれる。
    江澄が最後にちゃんと言葉にして言ったのはいつだったか。こんなにも愛を伝えられない俺では愛想を尽かされるのではと不安になった。
    愛を伝える日だからときっかけがあれば、普段よりは言いやすいのかもしれない。
    今日は元々藍曦臣が蓮花塢にくる予定があった。宗主としてではなく、私的に。言ってしまえば逢瀬である。


    しかし、いざ本人を目の前にすれば想いを伝えることができない。
    両思いになって数年が経つというのに、自ら気持ちを表出することに羞恥を覚えなかなか言えないのである。

    「…曦臣?」
    「阿澄?どうしました?」
    「きょっ今日は愛を伝える日らしい。」
    「そうなのですね。貴方を愛していますよ、阿澄。」

    ほら、藍曦臣はすぐに言葉にすることができる。なのに俺は口にしたくとも、結局口に出るのは可愛くもない言葉ばかり。

    「知っている。」
    「はい!」

    何故、この返事で藍曦臣が嬉しそうにするのかは分からない。

    「俺は素直じゃない。」
    「…? どうしました?」
    「俺は貴方みたいに想いを素直に口にできない!」

    ああ、言いたいことはそんなことではない。想いを伝えたい、愛想をつかれたくないだけなのに…。上手く言葉にできない。

    「ええ、知っていますよ。そんなことを気にされていたのですか?」
    「そんなことって…人が悩んでいることを。」

    江澄が拗ねたように言えば、藍曦臣に腕を引っ張られて逞しい腕の中に閉じ込められた。

    「言葉を口にできないとは言いますが、阿澄は表情に出るので私を想ってくれていることはきちんと伝わっていますよ。」
    「…!」

    藍曦臣の言葉に驚いた。そんなに俺は分かりやすいのだろうか?

    「そのようなことを気にされている阿澄は、なんて可愛い人なのでしょう。」
    「…」

    藍曦臣は嬉しそうである。まあ、このことで悩んでいると言った時点で既に、想いを伝えたこととほぼ同等なのかもしれない。

    「それにね、阿澄?私は耐えられずに想いをすぐ口にしてしまうけれど、中々言えない貴方の口から紡がれた愛を聞くことができた時というのは喜びも一入です。」

    江澄は藍曦臣の想いを聞いて照れた。そんな風に思っていたとは知らなかった。愛想を尽かす心配はしなくても良さそうだ。

    「貴方は俺のことを甘やかしすぎだ。」
    「そんなことはありません。全て私の本当の思いです。」





    「曦臣、…貴方を愛している。」






    囁くような小さな声ではあったが、想いを言えた。あれだけ悩んでいたのは何だったのか、口が言うのを渋っていたのは何だったのか。今まででは考えられないほどすんなりと言えた。
    藍曦臣は耳が良い。どんなに小さな声だろうと必ず拾い上げてくれる。勿論、抱きしめられたままの状態で至近距離にいる今の江澄の声もしっかりと聞こえていた。

    「阿澄!!!」

    藍曦臣は破顔してぎゅっと抱きしめていた腕に力が入った。

    「おい、痛い!」

    姑蘇藍氏の馬鹿力に呆れながらも、内心嬉しかった。
    こんなに喜ぶのならもう少し頻繁に想いを言葉にしてやった方が良いのだろうとは思いつつも、こんなに喜んでもらえるなら中々言えない状態というのも良いのかもしれないと思い直した。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💜💙💜💙💜☺☺☺💙💜💜🙏💞👏👏💖💖👏💙💜💙💜🙏💜💖💯💖❤👏☺👏💙💜💏🚶🚶🚶🚶🚶☺💜💜💜💜💜💜♓🅰🅿🅿🌱🇪📈↩♥♥💜☺💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    takami180

    PROGRESS長編曦澄11
    兄上やらかしの全貌
    (重要なネタバレを含みます)
     蓮花塢の風は夏の名残をはらみ、まとわりつくようにして通りすぎる。
     江澄は自室の窓辺から暗い蓮花湖を見下ろした。片手には盃を、片手には酒壺を持っている。
     一口、二口、酒を含む。雲夢の酒である。
     天子笑はこれもまた美味であるが、雲夢の酒はもう少し辛い。
     もう、三日前になる。雲深不知処で天子笑を飲み、浮かれた自分はこともあろうに藍曦臣に酒をすすめた。
     まったく余計なことをしたものだ。
     江澄は舌を打った。
     
     酒を飲んだ藍曦臣は、しばらくはただにこにことしていただけだった。
    「味はどうだ?」
    「味、ですか」
    「うまいだろう?」
    「そうですね。おいしい……」
     突然、藍曦臣の目から涙が落ちた。ぽたぽたと流れ落ちていく涙に、江澄はぎょっとした。
    「ど、どうかしたか」
    「ここで、おいしいお茶をいただきました。二人で」
    「二人?」
    「阿瑶と二人です」
     胸を衝かれた。
    「阿瑶は本当に優しい」
     息がうまく吸えない。どうして奴の名前が出てくる。
    「私が蘭陵のお茶を好むことを覚えていてくれて、おみやげにといただいたことがありました」
     動転する江澄をよそに、藍曦臣は泣きながら、またにっこり 1527

    takami180

    PROGRESS続長編曦澄10
    あなたに言えなかったことがある
     魏無羨は結局、藍曦臣からの伝言とやらを口に出さなかった。尋ねても、「同じようなことは伝えた」の一点張りである。
     江澄は聞き出すことを早々に諦めた。片付けを終えて私室に戻る、その途中で行き先を変えた。
     泊まる者のいない客坊は、当然なら静かである。闇に沈む室内を見回しても、誰かの名残は見当たらない。
     藍曦臣の滞在中、彼はいつも江澄の私室にいた。茶を楽しみ、楽を合わせ、碁を打った。
     それでも、ここは彼が使っていた部屋である。
     江澄は暗闇の中を進み、牀榻に腰掛けた。
     藍曦臣はここで何を思っていたのだろうか。
     彼が幸福を味わっていたとは思えない。魏無羨を遣いに出すくらいである。江澄の気持ちはすでに気取られているのではないだろうか。
     ふいに窓からぼんやりとした光が入った。細い月が山の端から顔を出している。
     江澄はごろりと寝転がった。
     聞きたいことがある。あの夜、藍曦臣が残した言葉の意味がいまだに理解できていない。
     いったい何に対しての礼を言われたのか。
     藍曦臣は微笑んでいたのに、悲しげだった。
     苦しめたいわけでも、悲しませたいわけでもない。
     魏無羨の言った「別れたいの 1909