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    refrain0411

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    refrain0411

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    素敵なタグがあったので、かなり短いSSですが参加させていただきます!

    #曦澄520Day

    素直になるのは難しい今日は愛を伝える日だと言う。
    江澄は普段自らの気持ちを言葉で伝えることが苦手だ。
    情人である藍曦臣は、江澄と正反対で会う度に「好きです。」「愛しています。」と言ってくれる。
    江澄が最後にちゃんと言葉にして言ったのはいつだったか。こんなにも愛を伝えられない俺では愛想を尽かされるのではと不安になった。
    愛を伝える日だからときっかけがあれば、普段よりは言いやすいのかもしれない。
    今日は元々藍曦臣が蓮花塢にくる予定があった。宗主としてではなく、私的に。言ってしまえば逢瀬である。


    しかし、いざ本人を目の前にすれば想いを伝えることができない。
    両思いになって数年が経つというのに、自ら気持ちを表出することに羞恥を覚えなかなか言えないのである。

    「…曦臣?」
    「阿澄?どうしました?」
    「きょっ今日は愛を伝える日らしい。」
    「そうなのですね。貴方を愛していますよ、阿澄。」

    ほら、藍曦臣はすぐに言葉にすることができる。なのに俺は口にしたくとも、結局口に出るのは可愛くもない言葉ばかり。

    「知っている。」
    「はい!」

    何故、この返事で藍曦臣が嬉しそうにするのかは分からない。

    「俺は素直じゃない。」
    「…? どうしました?」
    「俺は貴方みたいに想いを素直に口にできない!」

    ああ、言いたいことはそんなことではない。想いを伝えたい、愛想をつかれたくないだけなのに…。上手く言葉にできない。

    「ええ、知っていますよ。そんなことを気にされていたのですか?」
    「そんなことって…人が悩んでいることを。」

    江澄が拗ねたように言えば、藍曦臣に腕を引っ張られて逞しい腕の中に閉じ込められた。

    「言葉を口にできないとは言いますが、阿澄は表情に出るので私を想ってくれていることはきちんと伝わっていますよ。」
    「…!」

    藍曦臣の言葉に驚いた。そんなに俺は分かりやすいのだろうか?

    「そのようなことを気にされている阿澄は、なんて可愛い人なのでしょう。」
    「…」

    藍曦臣は嬉しそうである。まあ、このことで悩んでいると言った時点で既に、想いを伝えたこととほぼ同等なのかもしれない。

    「それにね、阿澄?私は耐えられずに想いをすぐ口にしてしまうけれど、中々言えない貴方の口から紡がれた愛を聞くことができた時というのは喜びも一入です。」

    江澄は藍曦臣の想いを聞いて照れた。そんな風に思っていたとは知らなかった。愛想を尽かす心配はしなくても良さそうだ。

    「貴方は俺のことを甘やかしすぎだ。」
    「そんなことはありません。全て私の本当の思いです。」





    「曦臣、…貴方を愛している。」






    囁くような小さな声ではあったが、想いを言えた。あれだけ悩んでいたのは何だったのか、口が言うのを渋っていたのは何だったのか。今まででは考えられないほどすんなりと言えた。
    藍曦臣は耳が良い。どんなに小さな声だろうと必ず拾い上げてくれる。勿論、抱きしめられたままの状態で至近距離にいる今の江澄の声もしっかりと聞こえていた。

    「阿澄!!!」

    藍曦臣は破顔してぎゅっと抱きしめていた腕に力が入った。

    「おい、痛い!」

    姑蘇藍氏の馬鹿力に呆れながらも、内心嬉しかった。
    こんなに喜ぶのならもう少し頻繁に想いを言葉にしてやった方が良いのだろうとは思いつつも、こんなに喜んでもらえるなら中々言えない状態というのも良いのかもしれないと思い直した。
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     藍曦臣はいつもと同じように起き上がり、ぼんやりとした薄闇を見つめた。違和感がある。自分を見下ろしてみれば、深衣を脱いだだけの格好である。夜着に着替えるのを忘れたのだろうか。
    「うーん」
     ぱたり、と藍曦臣の膝に何かが落ちた。手だ。五指をかるく握り込んだ手である。白い袖を視線でたどると、安らかな寝顔があった。
    「晩吟……」
     藍曦臣は額に手のひらを当てた。
     昨夜、なにがあったのか。
     夕食は藍忘機と魏無羨も一緒だった。白い装束の江澄を、魏無羨がからかっていたから間違いない。
     それから、江澄を客坊に送ろうとしたら、「碁はいいのか?」と誘われた。嬉しくなって、碁盤と碁石と、それから天子笑も出してしまった。
     江澄は驚いた様子だったが、すぐににやりと笑って酒を飲みはじめた。かつて遊学中に居室で酒盛りをした人物はさすがである。
     その後、二人で笑いながら碁を打った。
     碁は藍曦臣が勝った。その頃には亥の刻を迎えていた。
    「もう寝るだけだろう? ひとくち、飲んでみるか? 金丹で消すなよ」
     江澄が差し出した盃を受け取ったところまでは記憶がある。だが、天子笑の味は覚えて 1652

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     江澄は寝返りを打った。
     月はすでに沈み、室内は闇に包まれている。
     暗い中、いくら目を凝らしても何も見えない。星明かりが椅子の影を映すくらいである。
     藍曦臣は江澄が立ち直るとすぐに客坊へと移った。このことで失望するほど不誠実な人ではないが、落胆はしただろうなと思う。
     目をつぶると、まぶたの裏に藍曦臣の顔が浮かぶ。じっとこちらを見る目が恐ろしい。
     秘密は黙っていれば暴かれることはないと思っていた。しかし、こんなことでは露見する日も遠くない。
     江澄は自分の首筋を手のひらでなでた。
     たしかに、藍曦臣はここに唇を当てていた。
     思い出した途端、顔が熱くなった。あのときはうろたえて考えることができなかったが、よくよく思い返すとものすごいことをされたのではないだろうか。
     今までの口付けとは意味が違う。
     もし、あのまま静止できなければ。
    (待て待て待て)
     江澄は頭を振った。恥知らずなことを考えている。何事も起きなかったのだからそれでいいだろう。
     でも、もしかしたら。
     江澄は腕を伸ばした。広い牀榻の内側には自分しかいない。
     隣にいてもらえるのだろうか。寝るときも。起きるときも 1867