ナイスネイチャにうにゃー!って言わせたいやばい……風邪ひいた。
急に寒くなったのと年度末の忙しさで身体が弱っていたのだろう、38度ほどの熱が出てしまった。
身体の節々も痛いしまともに頭も回っていない。
なんとか今日休むことを上司に連絡し、そのまま気を失うように寝てしまったのだった。
――PiPiPi
遠くで携帯が鳴っている。
朝電話をした後ずっと寝てしまったのだろう、外はもう暗くなってしまっている。
まだ身体がだるいがなんとか携帯を引き寄せると電話の相手はナイスネイチャと表示されている。
同僚であるナイスネイチャは先輩でも後輩でも優しく接してくれる面倒見のいいウマ娘だ。
……そして、密かに私が想いを寄せてる子でもある。
少しドキドキしながら(風邪のせいな気もするが)電話を取った。
『おいっす〜。調子どう?』
「ずっと寝てたから少しマシになったかなぁって感じ」
『そかそっか。今さ仕事終わったんだけど救援物資いる?』
家になにか食べ物……なにもないな。
有難くお願いしよう。
『おっけ!近くのコンビニまで来てるからあと5分ぐらいで着くはずだから』
前に飲みまくって家まで送ってもらった嫌な思い出が少し蘇りつつ、家の場所を覚えてもらってたことが嬉しい。
なんとか来るまでに寝癖までは直しておこう……。
――ピンポーン。
「うーまーいーつでーす」
聞き覚えのある声が聞こえてきたので慌てて玄関を開ける。
「どもども。大丈夫?これ食べれそうなやつ買ってきたからよかったら」
スポドリやゼリー、うどんなどが大量に入っているビニール袋を受け取りつつ、今日もきらきらしてるような彼女を見つめる。
まつ毛は長いし、いい匂いするし、かわいいし
「あのさ……全部聞こえてるんですけど……」
「えっ!マジ?!」
どうやら思考が完全に鈍ってるらしい。
思ってることが口からこぼれてるぞ、ダメじゃないか!
「それも聞こえてますよー」
思考がダメダメな自分に注意してくれる、顔が真っ赤な彼女を見つめる。
この短時間で風邪をうつした訳では無いだろう。
「早く元気になってくださいよー……また明日!」
色々言ってしまったせいか真っ赤な顔をした彼女が帰るらしく、途中まで玄関先で見送ってるとふと彼女が振り向く。
「……私もあなたを見てるとドキドキするし、かわいいなって思ってるんで…………じゃ!」
うにゃー!と耳まで赤くした彼女が去っていく。
これは脈アリってことで……いいよね!?
更に熱が上がったような気がするが、早く風邪治して彼女に今日の感謝とちゃんと想いを伝えよう。
彼女の愛が詰まった袋を漁りつつ、どんな言葉をかけようか脳内作戦会議を始めるのだった。