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    yoda_yodaka

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    yoda_yodaka

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    以前途中まで書いてたwdopが完成しました!
    こんなにがっつりなのは久々だ……。

    ##ウマ娘

    ここにいつも君はいるよwdop
    テイエムオペラオーがトゥインクルシリーズを去り、ドリームシリーズを目指す日々が始まって早数年。
    まだ走りたいと思う反面、身体は全盛期をとうに過ぎ、それでもドリームシリーズで幾度も優勝を飾ってきたオペラオーの最後のレースが今日となる。
    控え室にはかつてのライバルたち、後輩たちが来てくれ様々な言葉を掛けてくれた。
    しかし、その中に彼女のかつてのトレーナーはいない。
    「リュージはどうしたんだい?」
    「あ……えっと……トレーナーさんは私の次のレースの準備があるから今日は来れないって言ってました。……すみません」
    赤い星の髪飾りをした少女が申し訳なさそうにオペラオーに告げた。
    どうやら、あの頑固トレーナー――リュージは自分と交わした約束を果たすまで本当に来ないつもりらしい。
    それに少しの寂しさと彼の意志の強さを垣間見てオペラオーは立ち上がる。
    「君が謝る必要は無い。リュージの分までしっかり見てておくれよ」
    いよいよ最後のファンファーレが鳴る。
    そこに彼はいなくとも自分は世紀末覇王として最後まで走り抜けるのだ。

    残りあと400m、最後のコーナーを抜け残すは直線のみだ。
    今回先行策を取っていたオペラオーだが、周りはどのウマ娘も力がある者ばかりで見事に囲まれてしまっている為、抜け出せる隙間はないように見える。
    まるでいつかの有マ記念の再来のようなレースだ。
    以前の時はここで彼の声が聞こえて――
    「オペラオー!行けーっ!」
    ――会場には何千何万の観客がいる。
    その中でただ1人の声を姿を感じるなんて有り得ないだろう。
    それでも、確かにその時オペラオーはかのトレーナーの声を姿を見たのだ。
    次の教え子がトゥインクルシリーズのG1を獲るまで会わない、なんて勝手に約束しておきながらこうして自分の最後のレースに来てくれる、ちょっと抜けてて優しい僕の唯一のトレーナー、リュージ。
    君は僕に何も返せなかったと言ったけれど、僕は君に沢山のものをもらったよ。
    だから!
    「うぉぉおおお!」
    バ群を割るように力強く1歩を踏み出す。
    オペラオーの気迫は凄まじく一気に抜け出した彼女はそのままゴール板まで駆け抜けていった。
    「テイエムオペラオー!全てのウマ娘を従えて勝利し続けるその姿はまさに世紀末覇王!彼女の引退レースに相応しい戦いだった!」
    共に走った者、沢山の観客たちが自分に惜しみない拍手をくれている。
    着順掲示板が確定しオペラオーの番号が映し出されるとさらに盛り上がった。
    オペラオーはそれらに答えるように高らかに笑ったのである。


    ウィニングライブ、引退式を終え、様々なインタビューに答え、ファンに応えているうちにすっかり夜になった競バ場を後にする。
    次にここに来る時は自分が主役ではなく、誰かの応援に来る時だろう。
    後悔はないがなんとなく振り返って入場ゲートを見ていると後ろから声がかかった。
    「……オペさん」
    そこにはなんとなくバツが悪そうなリュージがそこにいた。

    もう何年も直接会ってないにも関わらず何かを語り合うでもなく、リュージが運転する車に乗り込んだ。
    トゥインクル時代はよくこうしてレース後は寮まで送ってくれたし、早い時間であれば祝勝会(あるいは反省会)としてご飯に行くことも多々あった。
    しかし、もうオペラオーは未成年――寮生ではないし一人で暮らしている。
    リュージは以前電話越しに伝えた住所を覚えているのだろう、オペラオーの一人暮らしのアパートへ向かっているようだ。
    夜の街の明かりがすぐ隣を駆け抜けていくのを感じながらふと隣を見ると
    「……ぶっ」
    ガチガチに緊張しているリュージがいたので思わず笑ってしまった。
    「久しぶりだね、リュージ。僕の最後のレース見てくれたんだね」
    「あんな約束しといて、アホらしいんやけどな。オペさんの走ってる姿最後に見ないかんと思ってな」
    「さすがに関係者席は恥ずかしかったから一般の方で頑張って行ったわ」
    「何人かお前のファンで俺の事知ってる人がおってな、場所譲ってくれて前の方まで行くことができたんよ」
    車が赤信号で止まる。
    リュージの顔が赤いのは信号のせいなのか照れてるのか。
    「なあ……今日はこのまま帰るか?」
    こんな時はどこか頼りない情けない顔をする。
    「僕はもう少し君と一緒にいたいと思ってたところだよ」
    そう言うとどこか安心したような表情を見せて、ウインカーを上げる、僕の家ではない、どこか別の場所へ。

    街を一望できる展望台。
    現役時代、何度か2人で訪れたことがある場所で、そこにちょこんとあるベンチに並んで座ることにする。
    自販機で買った温かいお茶がぬるくなってきた時、ようやくリュージは口を開く。
    「ずっとなオペさんに話さなと思ってたことがあんねん」
    あのよくしゃべるリュージがここまでほとんどだんまりだったのはこれから話すことが関係してるのだろう。
    どうぞ、と視線で促す。
    「今までほんまにありがとう。オペさんがおったから今の俺がおる。オペさんのおかげでまだここにおれるよ」
    「僕もね、リュージがいたからここまで頑張れたよ。本当はもっと早く君とこうして直接話したいなと思ってたんだ。でも、君があの約束をしただろう?」
    「あー……あれな。あれはちょっと俺の気持ち的なやつが色々あって……」
    「君の気持ち?せっかくだから聞かせておくれよ」
    もごもご、あーだかうーだが言い出した様子のおかしい元トレーナーと困惑する元担当ウマ娘の図は周りから見たら滑稽に写っただろう。
    「ゆうても引かへん?」
    「君と僕の仲だろう?今更なに言われても引かないよ」
    僕にそう言われてようやく覚悟が決まったらしい彼は僕に向き直って
    「あの約束な、このままオペさんに甘えていいのか、迷ってた時期で。そんでトゥインクル引退してドリームリーグに行くってなって新しいトレーナーがついたやろ?」
    リュージは学園所属のトレーナーであるため、トゥインクルを引退するということはその娘の担当を外れることと同義だ。
    僕もその規則に従ってドリームリーグ在籍中は別のトレーナーが付いていた。
    「当たり前なんやけど、もう俺の担当じゃないんやなぁとか思ったり」
    ふとリュージの方を見ると真剣な彼な瞳と目が合ってどきり、とした。
    「あのトレーナーとオペさんが話すところ見てるとめちゃくちゃ嫉妬した。俺のオペラオーなのにって」
    ここまで言われて気付かないほど、僕は初心ではない。
    「もうな……ただの男としてしかオペラオーのこと考えられんくなった」
    「あのまま気持ちを隠したままお前のそばにいられる自信がなかった。オペさんに頼らんでも絶対勝ってやる!ってなってたし物理的な距離を置けばいつかこの気持ちも消えるやろうって思い込んでた。だけど、ダメやった」
    聞こえてくる心臓の音は彼のか、それとも僕のか。
    「ずっと好きやったよ」
    どうやらこの心音は僕のだったようだ。
    彼の表情が今まで見たことがない色気がある顔で、特にその熱い視線で見られているだけで顔が赤くなっていくのが分かる。
    彼がまだ自分の担当だった時淡い恋心を抱いていた。
    だが、彼は当時きっちり線引きしててそんな素振りは全く見せていなかったので勝手に失恋したんだと思っていたのだ。
    だから、改めて彼も一緒の気持ちだと知って嬉しいし、その気持ちに応えたいと思うのに上手く言葉が出てこない。
    なかなか言葉が出てこないせいか僕が困ってると思ったのだろう、
    「すまんな、困られせてしもうて。俺の気持ちを伝えたいだけやったから無理に答えんでもええよ。寒くなってきたしそろそろ帰ろか」
    そう言って彼がベンチから立ち上がった。
    このまま終わってしまう?何も言わずに?
    ――それは、嫌だ!
    「リュージ!」
    慌てて自分も彼に続いて立ち上がる。
    「僕も君と同じ気持ちだ!」
    精一杯の告白。
    咄嗟に出てきた拙い言葉に彼は嬉しそうにしつつ優しく囁く。
    「ねぇ、オペさん。好きって言ってくれんへんの?」
    突然の甘い囁きにぞわりと肌が粟立つ。
    ちゃんと上手く伝えられるだろうか?
    彼と同じ気持ちをちゃんと伝えられる?
    「………………すきだよ」
    顔が燃えるように熱い。
    心臓も爆発しそう。
    「ありがとう。……なぁ、このままちょっと触ってもええ?」
    爆発した。
    「ななな!!!」
    「変な意味ちゃうよ。そう緊張せんで?」
    僕のあまりの反応を笑いつつ、優しく彼が僕を引き寄せる。
    身長差もあるせいかすっぽりと彼に収まってしまった。
    「……やっと触れる」
    彼の微かな吐息混じりの小声に爆発したはずの心臓がまだうるさい。
    ここまで自分で精一杯だったが彼も相当緊張しているらしい。
    背中に触れている腕も呼吸も震えているし、心臓も早鐘を打っているのも感じる。
    そんな彼に応えたくて僕も彼の背中に手を回す。
    そのまま抱き合ったままどれくらい過ごしただろう。
    「さすがに寒いな。そろそろ帰ろか」
    抱き合ったまま彼はくつくつ笑う。
    だが、妙に離れがたくて黙ったまま彼に抱きついていると、何かを察してくれたらしい彼に髪の毛をゆるく触られる。
    「……キス、してもええ?」
    耳元で甘く囁かれた言葉。
    うん、僕もそうしたいなと思ってたところだよ。
    なんとかそう囁き返すとリュージはすごく嬉しそうにこちらを見てきた。
    少しだけ視線を交わしあって、それから降ってきた優しい感触にしばらく酔いしれることにする。
    僕たちの恋人としての物語はまだ始まったばかりだからね!
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