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    rubbish0514

    @rubbish0514

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    rubbish0514

    DOODLE十郎誕生日のようななにか。くるびSS後の夜十掌編。短いです。「十郎、お出掛けですか?」
     コートを羽織った僕に、夜美が声を掛けた。そう言う彼も上着を腕に引っ掛けている。
    「君もか」
    「困りましたね。マフラー、共同で使うと言いましたが、一緒に出掛けるときはどうしましょう」
    「僕は近所だ。君がしていくといい」
     ニ月も末になり、春めいた日が増えたとはいえ、まだ風は冷たい。帰る頃には陽も落ちているはずだ。
     厚手のそれを手渡すが、押し返されてしまった。
    「十郎が風邪をひいてはいけません」
    「大した距離じゃない」
    「ではこうしましょう」
    「!」
     にっこりと笑った夜美が、マフラーの端を僕の首に巻いた。もう一方を自分の首に回す。マフラーで繋がれたような形だ。
    「……」
     暫しの沈黙の後、顔を見合わせて吹き出す。
    「…ふ、これでは出歩けないな」
    「ふふ、そうですね。十郎はこちらを。自分は前のものをして行きます」
    「ありがとう」
     夜美は自分の首からマフラーを解き、僕の首に念入りに巻き直した。
    「十郎は、原稿の投函ですか」
    「君は買い物か」
    「えぇ、今夜は海老天にしようかと」
    「…「ハガキ職人」に、」
    「…「海老天」ですね」
     また二人同時に笑う。二月の夕暮 509

    rubbish0514

    CAN’T MAKEエンド後に膝枕する夜十短文。漫画で描こうと思ったけど表情が難しすぎて諦めたやつ
     ある朝のことです。
     自分は十郎の頭を膝に乗せ、手慰みにその前髪を弄んでおりました。
     まだ整髪料で整えられていない黒髪はさらさらと零れ、射し込む陽の光で、蛍光灯の下とはまた違った色合いを見せます。
     瑠璃。新緑。紅。――青。その隙間から、漆黒の瞳がこちらを見上げました。
    「……夜美」
     十郎が自分の名を呼びます。揺れる視線がふいと逸らされ、形の良い唇をもじもじと動かします。
    「あまり見ないでくれ」
     その表情は常と変わりませんが、頬が僅かに色づいておりました。どうやら照れていらっしゃるご様子です。
    「なにを今更」
     以前も時折こうしていたことを思い出します。その折は――気が弱っていたこともありましょうが――大人しく収まっていらしたというのに。
    「そんな顔をしていたことはなかった」
    「そんな顔とは?」
    「君が、」
     十郎は何かを言いかけて躊躇い、再び口を閉ざしてしまいます。下唇を口の中に隠し、眉を顰め。ついには左腕で目元を覆ってしまわれました。
     彼が何を言いたいかはわかっています。かつて十郎へ見せまいとしていた愛着は、もう隠す必要はなくなりました。ただ愛おしいと、可愛らしいと思 637