「午前四時の胸懐」.
.
貴方に会う為に私は目を開く
貴方に会う為に今日は文字を習った
貴方に会う為に今日も言葉を知る
貴方に会う為に私は自分に想いを廻らせた
貴方に会う為に自分がしたい事をみつけた
『いまはなにをしていますか? わたしは大きくなったら――』
小さな手で、可能な限り思いつく言葉で。
綴られていく文字の列を眺めた今の私は、幼い頃の自分に語られている。かさりと音を鳴らしながら折り目に沿って再び折りこむと、文字が連なるそれを茶けた封筒へと再び寝かせた。
『はやくあなたに会いたいです』
「早く貴方に会いたい」
様々な事があった中で、頑張って今日まで生き抜いた私に早く会いたい。
〝その時〟にはきっと、「色々あったけど、悪くなかったね」って言いたい。経験が刻まれたしわと笑みによるしわを眺めて「がんばったね」と言いたい。
804