Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

    ・オタクの二次
    ・文章の無断転載・引用・無許可の翻訳を禁じています。
    ・Don't use, repost or translate my Fanfiction Novel without my permission. If you do so, I ask for payment.

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🍰 🎈 🎁 🍮
    POIPOI 148

    @t_utumiiiii

    ☆quiet follow

    探偵パロ泥庭同人誌(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12268948)の時空で、令嬢が忘れてったパイプを助手が勝手に吸ってる二次

    たばこ※探偵パロ泥庭 床に所狭しと物が転がっていて散らかり放題というわけではないが、部屋の主人が思いつきのままに行動するだけして後片付けをしない(し、助手として雇用されている体だが実質雑用係か使い走りに近い身分のピアソンも、お世辞にもきっちりとした性質ではないので、主人に放り出されて床に転がっているものを、とりあえず上に上げておく程度のことしかしない)ことから、依頼人を通すというにはどこか雑然とした雰囲気の事務所は、今は無人だった。昼下がりの黄味がかった陽光が窓から差し込んで、卓上に積まれた諸々の書類や、厚手の本の表面を焼いていた。
     出入口近くのコート掛けからは例のインバネスコートが消えているから、事務所の主人たる探偵は、どこかへ出かけているのだろう。ピアソンは昨晩の夜遊びが祟って、午後になってからようやく、屋根裏に置かれた彼のベッドから起き出してきたところだった。いつになく静かな事務所に降りてみると、そういえば、クリーチャーが一人で、この部屋に残されるのは珍しい(大概は連れまわされるか、そうでなければ、例の大家が憲兵か何かのように目を光らせているかのどちらかだった)。

     あの娘もようやく、私を信頼する気になったのか。あくび混じりにそんなことを考えては、寝癖のついた硬い髪をばりばり掻き毟ってフケを落としながら、自分以外に人のいない事務所を新鮮な気分で見回したピアソンが、目をつけたのは小振りなパイプだった。彼の雇用主であるエマが、普段被っている鹿撃ち帽の上に引っ掛けているものだ。
     それが今、彼女が普段使っている机の上に置き去りにされていた。なんだ、忘れ物か? というか、クリーチャーは常々疑問に思っていたことだが、あいつパイプ吸うのか? あの女が吸っている場面を、クリーチャーは見たことがない。なら、オモチャだろうか。それかアクセサリー? とはいえパイプ型というのは、ハットピンにするにしては可愛げがない形だ。ピアソンがそれを手に取ってよく見ると、サイズは確かに心許なくはあるが、木目は滑らかで、オモチャというには、よほど作りがちゃんとしているように見えた。宝飾品が埋め込まれている風でもない。

     そこで、自分の上着のポケットを漁ってマッチの箱を取り出し、パイプに火を付けたのは出来心からだった。他人のものに口をつけるのに、今更躊躇するような上品な育ち方をしたピアソンではないものの、一応、雇い主のものを勝手に拝借するのだから、何より、まあ、バレないようにしなければ、という具合の心構えを新たにするために、ひとつ息を整えると、おずおずと躊躇いがちにそれを口元に持っていき、吸口を唇で浅く挟んで、吸い込む、と、激しく咳き込んだ。
     タバコというより、砂糖掛けにした香辛料なんかを刻んで、中にたっぷり入れてるんじゃないかという風味があった。趣味の悪い香水、上品ぶったやつがやたらありがたがるが、口の中で下品なぐらいにべたつく異国の菓子の臭い、ゲーッ。ピアソンは甘たるい芳香を放つパイプを遠ざけながら、砂糖焼けした喉からあまたるい煙を追い払おうとゼイゼイとしきりに咳を繰り返していて、階下から登ってくる編み上げブーツの足音に気付かなかった。

     程なくして、ガチャリと気取らない音を立ててドアが開き、出かけていたはずのエマが顔を出す。寝起きの格好で、片手に持ったパイプを自分から遠ざけながら咳き込んでいたところ、雇用主の予期せぬ帰宅を見てぎょっと目を剥かんばかりの有様になったピアソンに、「あら、起きてたの」と、彼女は普段通りの、見てる分には感じのいいぐらいの微笑みのままにそう言った。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
    5388

    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
    8097

    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
    5375

    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
    12853

    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
    3412